ガザでの人道危機を受けて、欧州でイスラエルとの武器貿易の見直しを求める声が高まっています。8日にはドイツのメルツ首相がイスラエルの「ガザ占領作戦」を受け、イスラエル向けの武器輸出を停止しました。
ドイツは米国に次ぐ対イスラエル武器供給国で総供給量の約30%を占めていました。かつてユダヤ人を大虐殺した歴史的責任からイスラエル支援を続けたようですが、その贖罪行為がパレルチナ人虐殺に直結することに何の抵抗も感じなかったのでしょうか。
ドイツに先立ち中欧スロベニアは7月31日、EU加盟国として初の包括的禁止措置を発表しました。
複数の国の世論調査でも武器貿易の制限への賛成が多数を占めています。
しんぶん赤旗が報じました。
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欧州 高まる「禁輸を」 イスラエルとの武器貿易
しんぶん赤旗 2025年8月11日
【ベルリン=吉本博美】パレスチナ自治区ガザでの人道危機を受けて、欧州でイスラエルとの武器貿易の見直しを求める声が高まっています。8日にはドイツのメルツ首相がイスラエルの「ガザ占領作戦」を受け、イスラエル向けの武器輸出の停止。それに先立ち中欧スロベニアは7月31日、EU加盟国として初の包括的禁止措置を発表しました。複数の国の世論調査でも武器貿易の制限への賛成が多数を占めています。
ドイツ・スロベニアは停止
スロベニア政府は、イスラエルとの武器・軍事装備の輸出入、輸送を禁止すると発表。ゴロブ首相は、ガザで民間人への支援が届かず、深刻な人道危機にあることを受けた措置として「すべての国家が責任ある行動を起こす義務がある」と強調しました。
ベルギーでは、イスラエルとの一部武器貿易が司法判断によって停止されています。6月に国内のアントワープ港で、イスラエルの軍事関連企業宛てのコンテナに戦車や兵員輸送車の部品が入っていたことから、ジェノサイド防止に関する国際法に違反しているとフランデレン地域政府を複数のNGOが提訴しました。ブリュッセル第一審裁判所は7月に同政府に対し、アントワープ港を経由するイスラエルヘの武器・軍事装備の輸送を即時停止するよう命令。輸送される物品が、国際人道法に違反する形で使用される疑いがあると判断しました。
スペインでは議会が今年5月にヘルメット、防弾チョッキ、軍事用の燃料のイスラエル向け輸出を禁止する決議を採択。また6月には政府がイスラエル軍事企業からの弾薬とミサイルの購入契約の破棄を表明し、イスラエルの軍需企業への依存を減らしました。
オランダでは2024年2月、ハーグの控訴裁判所が人権団体の訴えを認め、国際人道法違反の明確なリスクがあるとして、イスラエル向けのF35戦闘機部品の輸出停止を政府に命じました。しかし政府側が上訴。市民らは「人道危機や国際法の義務を軽視している」と批判しています。
イスラエルヘの武器輸出が続いている国でも、世論調査では反対が多数となっています。各国の世論も武器輸出反対に傾いています。フランスは調査会社Odoxaの5月の世論調査で、75%がイスラエルヘの武器供給の停止を支持。イスラエルの攻勢が続く場合、74%が同国への制裁を支持すると回答しました。フランスのマクロン大統領は7月、パレスチナの国家承認への意向を主要7カ国ハG7)として初めて表明しています。イタリアでは国際NGO「Ek
o」による世論調査(6月)で、ガザに対する人道法が尊重されない場合は、イスラエルヘの武器輸出停止に92%が賛成と回答しました。
ドイツでは、ユダヤ人大虐殺の歴史的責任を背景にイスラエル支援を続ける政府への批判が高まっていました。公共放送ARDの世論調査(6月)では、イスラエルヘの武器輸出を「停止」「厳格に粧限すべきだ」との意見が計73%。74%がイスラエルを無条件で支持すべきではないと答え、街頭での抗議行動も続いていました。ドイツ政府による武器輸出停止は欧州メディアの大きな注目を集め、各国にも波及する可能性が出ています。
ガザ市制圧計画 世界各地で抗議「人質への死刑宣告」 イスラエル 10万人デモ
しんぶん赤旗 2025年8月11日
イスラエル政府が治安閣議でパレスチナ・ガザ地区の最大都市ガザ市を制圧する計画を承認したことに対し、世界各地で9日、市民が抗議行動に取り組みました。
イスラエルの商都テルアビブでは、主催者発表で10万人超がデモ行進し、ガザでの軍事作戦の即時停止と人質の解放を求めました。集会にはイスラム組織ハマスに拘束されている人質の家族も参加しました。
今回承認された計画については、軍内部からも人質を危険にさらす可能性があると懸念が出ています。テルアビブ近郊から参加したラミ・ダルさん(69)はロイター通信に対し、「(イスラエルの)ネタニヤフ政権は狂信的だ。彼らは国益に反することをやっている」と語りました。
夫を人質に取られているリシェイ・ミラン・ラビさんは集会で、ネタニヤフ政権が承認した計画について「これは単に軍事的な決定ではない。私たちがもっとも愛する人々にとって死刑宣告になるかもしれない」と批判しました。
スペインでは首都マドリードやバルセロナをはじめ各地で市民が抗議集会を開いたりデモ行進したりしました。スペインのメディアによると、バルセロナでは2000人超がデモ行進し、「(イスラエルの行為は)戦争ではなくジェノサイド(集団殺害)だ」と声をあげました。
ロイター通信によると、このほかロンドン、トルコ最大都市イスタンブール、南米アルゼンチンの首都ブエノスアイレスでも市民が行動しました。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。