10日(日)に開催された〝終戦80年・湯の町湯沢平和の輪発足20年「平和の集い」″のために準備された下記の資料を紹介します。
Ⅰ.「湯の町湯沢平和の輪 この20年」
これは2005年に発足した「湯沢平和の輪」の現在までの活動の概要をごく簡潔に
記したもので、会員のOさんが 御自分で保存していた膨大な会の資料やノートから作
成されました。
Ⅱ.「戦後80年ー『戦争をしない国』 日本の現状は?」
これは戦後 憲法9条で「戦争放棄」を謳い「戦争をしない国」として出発した日本の
現状について、世話人のKさんがまとめた文書です。原文には各項目ごとに出典である
新聞記事等の資料番号が付されていますが、紙面の関係で省略しました。
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Ⅰ. 湯の町湯沢平和の輪 この20年 (2005年から2025年の活動の概要)
1「継続は力なり」・・・定例会の開催、会報の発行を毎月休むことなく続ける
□ 月例会の開催
・毎月第3日曜日(25年6月からは第2目曜日)の13時30分から約2時間。平和
の学習・意見交流、平和取り組みの相談・打ち合わせを行う。
□「通信平和の輪」の発行
・憲法9条に因んで毎月9日付け(25年6月からは憲法記念日に因んで毎月3日付
け)で発行。 25年7月3日付けで第234号
ロ ブログの開設・更新
・http://yuzawaheiwa.blogspot.jp/
24年度:記事数600 アクセス数176,897
2“学び”を大切に、さまざまな形で平和学習の機会をつくる
□ 月例会での学習
・これまでに取り上げ、学習した本
「あたらしい憲法のはなし」(文部省)
「中高生のための憲法教室」・「憲法の力」(伊藤真)
「18人の発言」(岩波ブックレッ.ト)
「憲法の『空語』を充たすために」(内田樹) など
・その他、自民党改憲案の検討や時々の出来事についての意見交流などを行ってきた。
□ 平和講演会・憲法カフェなどの開催
・早乙女腰元さん(来京大空襲のこと)、須田一彦さん(満蒙開拓団のこと)、
成嶋隆さん(「九条が変えられたら」)、佐藤勝治さん(「さまよう日本人の心をどう
取り戻しますか?」)、橘善男さん(「軍歌を封印した父」)、桑原加代子さん(「非
核平和の世界を」)など大小の講演会を開催
・新潟県弁護士会の講師派遣事業を活かして「憲法カフエ」を実施
工藤和雄弁護士、田中津哉弁護士(2回)、コロナで中止(1回)
□ 映画・DVDを見る会の開催など
・「父と暮らせば」、「硫黄島からの手紙」、「軍隊をすてた国-コスタリカ」、
「9条を抱きしめて」・・・ほか「NHKスペシャル」の活用など
・「絵本読み聞かせ」の会の開催も
□ 平和バスツアーの実施
・「無言館」(長野県上田市)へ、松代大本営跡(長野県長野市)ヘマイクロバスで楽
しく交流・視察の旅
3“平和の声を広げる”活動、“平和の声を集める”活動に取り組む
□ 平和のアピール
・越後湯沢駅(東口)前のビルの窓をお借りして、「平和でこそ スキー 温泉 山歩
き・憲法9条を大切に!」の呼びかけ文を掲示
・自動車ステッカー「戦争はしない させない 子らのため - 9条の会」の作製頒布
□ 平和のキャンペーン
・町のイベント:春の「花まつり湯沢」、秋の「収穫祭」にあわせ、会場の入りロ付近
で“平和の風車”配り、シールアンケートの実施、活動募金の訴えなど行う。
□ 新聞折込みチラシ
・憲法記念日(5月3日)、終戦記念日(8月15日)に平和の呼びかけチラシを新聞
折り込みで配布
□ 全国・全県の運動呼びかけに呼応した統一署名等の取り組み
・「安倍9条改憲NO!全国統一署名」(3000万署名)など全国統一署名に取り組む
・2015年9月19日こ安保法制(戦争法)が強行され立憲主義が破壊されたことに対
し、「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める意思表示のスタンディング行動」
(19日行動)が呼びかけられたのを受けて、毎月19日の12時30分から13時まで
の30分間、スーパーのぐちハーツ店前の交差点付近に立つ <戦争への道にストップ
をかける湯沢の会>
・新潟県9条の会呼びかけの「意見広告ポスター運動」に参加し、賛同者を募る取り組
みを行う。(4波)
4 戦争体験を引き継ぎ、風化させずに“平和の力”に
ロ「私の戦争体験」の収集
・湯沢町在住の戦争体験者を中心に、その体験について寄稿いただいたり、お話をお聞
かせいただいたりして、「通信平和の輪」に掲載(39編)
口「私の戦争体験」の冊子化と活用
・収集した戦争体験記を冊子化(150部作製)し、保存、寄贈、頒布。「新潟日報」
「朝日新聞」に報道され、問い合わせ多数
⇒ 湯沢町、湯沢町公民館、湯沢学園のほか、新潟県立図書館にも寄贈
5 町議会・町行政に非核平和のはたらきかけ
□ 町議会への請願取り組み
・湯沢町非核平和都市宣言の実施に向けて署名を集め請願~採択(2010年6月8日
宣言がなされ、非核平和都市宣言自治体となる)
・「安保法制お廃止を求める意見書」の提出(2016年3月)、「核兵器禁止条約の署
名・批准を求める意見書」の提出(2020年12月)で議会請願~採択され提出され
た。
・「『テロ等準備罪』法案の廃案を求める意見書」(2017年6月)についての請願は
否決され、意見書の提出に至らなかった。
口 町行政へめ提案・要請取り組み
・「非核平和都市宣言自治体として相応しい取り組みを」と、町長・教育長との懇談・
意見交換の機会をつくり、具体的な提案や要請を行ってきた。~「非核平和都市宣言の
町」の看板設置(役場と駅西ロ)、原爆パネル展の実施(毎年8月)、平和教育講演会
の開催(3年に1回)、成人式への対応など一部実現
6 県9条の会・近隣9条の会等との交流・連携の努力
□ 新潟県9条の会拡大事務局会議等への参加
・県9粂の会の拡大事務局会議には積極的に参加し、意見交流。県9条の会の「会報」
の活用にも力を入れてきた。
・「九条の会」の全国交流集会にもできる限り参加し、全国的な情勢と活動要請をつか
む努力
□ 近隣(魚沼地域内)9条の会との交流・連携
・会報の相互交換、講演会や学習会への相互案内と相互参加
7 財政・・・“平和への思い”に支えられて
□ 特別例会等での活動募金呼びかけ
・講演会、憲法カフエ、映画会などの際には活動募金の呼びかけ(毎月の例会にも募金
箱を準備)
□ 意見広告ポスター運動の取り組みを通して
・県9条の会からの地域活動助成金は、活動推進の大きな支えの一つとなってきた。
□ 春・秋の平和キャンペーンでの募金呼びかけ
・会員作製の平和グッズを活用し活動募金の呼びかけ。(町のイベント「花まつり湯
沢」も「収穫祭」もなくなり、平和キャンペーンの機会がなくなったことは、運動面
のみならず財政面でもマイナスの影響)
Ⅱ..戦後80年ー「戦争をしない国」 日本の現状は?
(注 関連資料および資料番号は省略します)
1 憲法9条改定の今
〝改憲勢力”は昨年の衆院選では国会発議に必要な3分の2の議席を失いましたが、今
次参院選では事実上、明治憲法の復活を含む「創憲」を主張する参政党が大躍進し、結
果、参議院では必要な議席を確保しました。しかし石破政権は衆参両院選挙で大敗し、改
憲に取り組む余裕を失っているように見えます。
2 自衛隊と軍備拡張の動き
(1)大軍拡と[「装備」の輸出
・岸田前政権は、23~27年度の5年間で、計43兆円を投ずる防衛力の「抜本的強
化」を閣議決定し(‘22/12)、27年度にはGDP比2%(従来は1%未満)の防
衛予算とすることも決定しました。(今年度の予算額は8・7兆円)
・しかしトランプ現米政権は中国の脅威を唱え、日本にGDP比3・5%(約21兆円)
への増額を要求してきており(先に決定したEUと同水準)今後の政府の対応が注目
されます。
・一方で防衛省は英・伊両国と次期戦闘機の共同開発に着手(完成後は輸出)したり、
オーストラリア軍の艦船1隻の新造を受注(8/5発表)したりして、防衛装備品(す
なわち武器)の輸出拡大に注力しています。(武器輸出の原則形骸化)
(2)米軍と一体化が進む自衛隊
・対中国で自衛隊と米軍が一体化しつつあります。日本は全土で米軍に基地を提供する
だけでなく、自ら「台湾有事」に備え南西諸島に展開し、これらの島々の要塞化を図り
つつあり:ます。
・「緊急事態」発生時には自衛塚は米軍の指揮下で行動することになり、事実上日米
両軍の一体化がなされています。ヘグセス米国防長官と中谷防衛相との共同記者会見
(3/30)では、日本の自衛隊は米軍の戦争(西太平洋)の最前線に立つことが確認
されました。
・こうした事態を想定して、陸自は多数の戦死者のために葬祭業界団体と協定を結びま
した。(25/2) また不足する自衛隊員を確保するため、防衛省は毎年17歳~22歳
の若者を対象に住民基本台帳に記載されている氏名、生年月日、住所、性別の4情報を
自治体に求めています。これらの情報を記載した名簿を自衛隊に提供した自治体は全
国で66%に上っています。それでも戦力が不足すると見込まれた時(すでに見込ま
れていますが)どうするのでしょうか?
3 核兵器禁止条約に背を向け続ける日本政府
・2017年核兵器禁止条約という画期的な条約が国連で採択されました。この条約は、
現在94カ国が署名し、うち73カ国が批准を終えて、有効に成立しています。
・しかし、わが国は、唯一の被爆国でありながら未だに署名も批准も拒否し、毎年開か
れる締約告会議にはオブザーバーとしての出席すらしていません。
その理由とされているのは、最大の核保有国アメリカヘの遠慮です。しかし、おなじ
くアメリカの“核の傘”の下にいるドイツはすでにこの会議にオブザーバー参加をして
います。
・ごく最近、日米両政府が外務・防衛当局間で、有事を想定した米軍の核使用につい
て、そのシナリオを論議していたことが判明しました。これは、いわゆる拡大抑止
(力)の強化を図ろうとするもので、軍備を拡大する中国を牽制する狙いがあるとさ
れます。このような日米協議が可能となったのは、日本政府(岸田政権)が22年
12月に安保関連3文書を改定し、そこに敵基地攻撃能力の保有を明記してのことで
す。とはいえ、唯一の被爆国日本が自ら核兵器の使用を前提とする作戦会議を米側に
申し入れるなど、以前には考えられないことでした。
4「台湾有事は日本の有事」(安倍元首相)か?
・現在、わが国の安全を脅かす最大の問題は、中国による台湾侵攻だとされています。
しかしそれがなぜわが国の有事なのか??
・台湾防衛のために出撃する米軍の拠点が日本中にあるからです。その上、米国(米
軍)が攻撃を受けた時は、自衛隊にはその米国(米軍)を防衛する義務(集団安全保
障)があります。
・米軍基地と集団安全保障(拡大抑止も広義にはこの内)は、安全保障条約に基づいて
います。したがって、中国人同士の争いごとにすぎない台湾有事が日本有事になってし
まうのも、この日米安保のゆえということになります。(わが国はすでに中国との間に
日中友好条約を締結しており、かつ日中共同声明によって相互不可侵が確認されてい
ます)
・台湾有事の際に、米国はなぜ中国と戦う(台湾を守る)のか?台湾の民主主義を中国
の専制主義から守るのだという話もありますが、本音のことなのでしょうか?(ならば
なぜアメリカはウクライナの民主主義を守ってロシアと戦わないのか?バイデン前大統
領は武器と資金を投入しましたが、兵士を戦場に送りはしませんでした)
・政府は、口を開けば「わが国を巡る安全保障環境はますます厳しいものになってい
る」と言っていますが、本当でしょうか?本当だとしても、それは外交(「力の外交」
ではない)では解決できないものなのでしょうか?
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。