イスラエル軍は25日、ガザ地区南部のナセル病院をメディアの生放送中に攻撃し、ジャーナリスト、医療従事者や患者、救急隊員ら少なくとも20人を殺害し、数十人を負傷させました。ガザ保健当局は声明で「南部で唯一機能する公立病院を狙った残虐な犯罪であり、医療体制の破壊とジェノサイド(集団殺害)の継続だ」と非難しました。
国連のグテレス事務総長は、報道官を通じて、イスラエルによる攻撃を「強く非難する」「医療従事者やジャーナリストを含めた民間人は常に保護されねばならない」と強調し、「迅速で中立的な調査」を要求しました。
各国政府、民間団体などが25日、いっせいにイスラエルを非難しました。
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ガザ病院攻撃 20人殺害 イスラエル 救急隊員・記者も
しんぶん赤旗 2025年8月27日
【カイロ=米沢博史】イスラエル軍は25日、パレスチナ・ガザ地区南部ハンユニスのナセル病院をメディアの生放送中に攻撃し、ジャーナリスト、医療従事者や患者、救急隊員ら少なくとも20人を殺害し、数十人を負傷させました。ガザ保健当局は声明で「南部で唯一機能する公立病院を狙った残虐な犯罪であり、医療体制の破壊とジェノサイド(集団殺害)の継続だ」と非難しました。
攻撃は2回あり、最初の攻撃が同病院の4階部分を破壊し、ロイター通信の契約カメラマンを殺しました。そこへ駆けつけた救急隊員、医療従事者、ジャーナリストに対し、再び攻撃を加え、殺害しました。
ジャーナリストは眺望がいい病院の上層階で日常的に映像を配信しています。この攻撃で犠牲になったジャーナリスト5人は、ロイター通信のほか、AP通信、米NBCニュース、アルジャジーラ、現地メディアのために働いていました。ガザ保健当局によると、ガザで殺害されたジャーナリストは計246人となりました。
パレスチナ・ジャーナリスト組合は声明で「ジャーナリストを意図的に標的とするのは、イスラエルの犯罪を告発する報道を封じる行為だ」と批判しました。
国連総長「強く非難」
【カイロ=米沢博史】国連のグテレス事務総長は、報道官を通じて、イスラエルによる攻撃を「強く非難する」とした声明を発表しました。「医療従事者やジャーナリストを含めた民間人は常に保護されねばならない」と強調し、「迅速で中立的な調査」を要求しました。声明は「医療従事者やジャーナリストは、国際人道法のもと、干渉、脅迫、危害を受けることなく活動できなければならない」と指摘しました。
世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は「ガザの人々が飢えるなか、すでに制約されている医療へのアクセスが、度重なる攻撃でさらに損なわれている」「医療機関への攻撃をやめよ。今こそ停戦を」と述べました。
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のラザリニ事務局長は「静かに死んでいく子どもや飢饉(ききん)について報道していた最後の声を黙らせる行為は衝撃的だ」と批判し、検問所の無制限開放と報道・医療関係者の保護を求めました。国連のアルバネーゼ特別報告者も「救急隊員の任務中の被害は日常化しているが多くは記録されていない」とし、封鎖の解除やイスラエルの武器禁輸と制裁を訴えました。
イスラエルによる病院攻撃 世界が一斉非難 ジェノサイドの目撃者が標的に
しんぶん赤旗 2025年8月27日
イスラエル軍がパレスチナ・ガザ地区南部のハンユニスの病院を攻撃し、医療従事者や報道関係者を殺害したことについて、国連や各国政府、民間団体などが25日、いっせいに非難しました。
●国際団体
国際的な非営利団体「ジャーナリスト保護委員会」は、イスラエルによる攻撃を「非難する」と表明し、「国際社会に対し、メディアヘの違法な攻撃を続けるイスラエルに責任を取らせることを求める」と訴えました。
ガザ地区の「国境なき医師団」(MSF)緊急コーディネーターは「イスラエルが国際法の順守を意図的に避け続けるなか、ジェノサイド(集団殺害)キャンペーンの唯一の目撃者が意図的に標的にされている。これは今すぐ終わらせねばならない」と強調しました。
●各国政府
フランスのマクロン大統領は「これは容認できない。民間人やジャーナリストはあらゆる状況下で保護されねばならない。メディアは紛争の現実を伝えるため、自由かつ独立した形で使命を遂行できなければならない」と語りました。
カナダ外務省は声明で「イスラエル軍による病院攻撃にぞっとしている」と表明。民間人を標的にした攻撃は「受け入れられない」とイスラエルを非難しました。
カタール外務省は声明で「占領軍(イスラエル軍)がジャーナリストや医療従事者を標的にしたことで、民間人に必要な保護を提供し、残虐行為の執行者が刑罰から逃れられないようにする緊急で決定的な国際行動が求められる」と表明しました。
●イスラエル国内
【カイロ=米沢博史】イスラエル外国人記者協会は各国政府に報道関係者の保護のための介入を呼びかけました。平和団体「ピース・ナウ」は「戦争犯罪であり、閣僚が攻撃の映像を見て喜ぶのも犯罪」と批判。反戦団体「スタンディング・トゥゲザー」は「黙っていられない」と翌日の抗議デモを宣言しました。イスラエル共産党が参加する左翼連合「ハダシュ」も、「国内メディアが沈黙する中で、このような絶滅戦争を行う政権が処罰されず続いている」と非難しました。
●報道機関
【カイロ=時事」ロイターやAPはそれぞれ声明を出し、「訃報に打ちひしがれている」「衝撃を受け、悲しみに暮れている」と述べました。アルジャジーラは、報道関係者の殺害は「真実の声を封じるための組織的作戦だ」と強調。イスラエルが「ガザでのジェノサイド(集団殺害)や飢餓を隠蔽(いんぺい)しようとしている」と非難しました。
餓死累計300人 子どもは117人
しんぶん赤旗 2025年8月27日
【カイロ=米沢博史】ガザ保健当局は25日、過去24時間で子ども2人を含む11人が餓死したと発表しました。餓死者は累計で少なくとも300人に達し、うち18歳未満の子どもは117人となりました。
また、24時間でイスラエルに殺害された人数は53人、負傷者308人で、20223年10月以来の累計の犠牲者数は少なくとも、死者6万2744人、負傷者15万8259人に上ると発表しました
5月までの死者 8割超が民間人
英紙報道
パレスチナ自治区ガザ情勢に関し、英紙ガーディアンは5月時点のイスラエル軍の機密情報を基に、死者の約83%が民間人だったと報じました。民間人の「無差別殺害」が起きたと批判されているシリアやスーダンの内戦と比べても「極めて高い」死亡率だといいます。
21日の同紙報道によると、イスラエルとハマスの戦闘が始まった2023年10月から今年5月までの間に、推定も含め「ガザで死亡した」とイスラエル軍のデータベースに記録されているハマスなどの戦闘員は約8900人でした。
ガザ保健当局は同期間に約5万3000人が死亡したと発表しており、戦闘員の死者は全体の2割以下だったことになります。イスラエル側はガザの死者数を発表しておらず、「戦闘員約2万人を殺害した」などと伝えられています。
イスラエル軍は、同紙と合同取材に当たった地元メディアに対しては、死者数を否定しませんでしたが、同紙には「軍のシステムにあるデータを反映していない」と回答しました。
(時事)
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。