イスラエル軍は10日、ガザ市を空爆し 衛星テレビ局アルジャジーラの著名記者アナス・シャリフ氏(28)と同僚4人を殺害し、ほかにも地元記者1人を含む3人を殺しました。
イスラエル軍は標的としたシャリフ氏をハマスの支部指導者だと主張するもののその証拠は示しません。これはイスラエルの常套手段です。
アルジャジーラは「(殺害は)ガザの制圧と占領を暴露する声を封じる必死の試みだ」と非難しました。
国連のグテレス事務総長は、記者の殺害を非難し、独立調査を要求。戦争開始以降、ガザでは少なくとも242人の記者が殺害されているとして「ジャーナリストやメディア関係者は保護され、恐怖や嫌がらせを受けることなく自由に職務にあたれるようにしなければならない」と述べました。
ジャーナリスト保護委員会のサラ・クダ地域局長は、ジャーナリストに対する攻撃や検閲は「イスラエルの行為を隠蔽するための意図的かつ構造的な試みだ」と批判しました。
しんぶん赤旗の7つの記事を紹介します。
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ガザ地区 記者6人を殺害 イスラエル軍空爆 テント直撃
しんぶん赤旗 2025年8月13日
イスラエル軍は10日、パレスチナ・ガザ地区ガザ市を空爆し、衛星テレビ局アルジャジーラの著名記者アナス・シャリフ氏(28)と同僚4人を殺害しました。
イスラエル軍は標的としたシャリフ氏をハマスの支部指導者だと主張。アルジャジーラはこれを否定し、「(殺害は)ガザの制圧と占領を暴露する声を封じる必死の試みだ」と非難しました。
シャリフ氏はXで50万人以上のフォロワーを持ちます。死の数分前に、イスラエルが2時間以上ガザ市を爆撃したと投稿していました。同氏は4月、自身の死後の公表を前提にメッセージを残し、「私は真実をありのままに伝えることを決してためらわなかった」と記していました。
ガザ当局者とアルジャジーラによると、イスラエル軍の空爆はシファ病院近くのテントを直撃。シャリフ氏ら5人のほかにも地元記者1人を含む3人を殺しました。
イスラエル軍は昨年10月、ハマスとパレスチナ・イスラム聖戦のメンバーだと主張するジャーナリスト6人のうちの1人にシャリフ氏を挙げましたが、アルジャジーラはこの主張を否定。国際NPOのジャーナリスト保護委員会(CPJ)は7月、シャリフ氏の身に危険があるとして国際社会に保護を要求。「イスラエルは自身の主張を裏付ける証拠を何も示していない」と述べていました。
CPJによると、イスラエルがガザ地区に侵攻した2023年10月以降、同地区で殺されたジャーナリストは10日の6人を合わせて少なくとも192人に上ります。
記者殺害は戦争犯罪隠蔽 ガザ攻撃 イスラエルに各国から非難
〝国際人道法のもと、取材の安全を″
しんぶん赤旗 2025年8月13日
イスラエルによるパレスチナのガザ地区への攻撃でジャーナリスト6人が殺害されたことを受け、世界各国から非難の声が上がっています。
国連のグテレス事務総長は、記者の殺害を非難し、独立調査を要求。戦争開始以降、ガザでは少なくとも242人の記者が殺害されているとして「ジャーナリストやメディア関係者は保護され、恐怖や嫌がらせを受けることなく自由に職務にあたれるようにしなければならない」と指摘しました。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、イスラエルの行為は「国際人道法の重大な違反だ」と強く批判。「記者を含む全ての民間人を尊重し保護しなければならない」と述べ、記者の迅速かつ安全で、妨げられないガザヘのアクセスを許可するようイスラエルに求めました。
欧州連合(EU)のカラス外相はイスラエルを非難し、同国が殺害された記者の一人をイスラム組織ハマスの一員だと主張していることに対し「明確な証拠を示し、法の支配を尊重しなければならない」と強調しました。
英国のスターマー首相は、報道官を通じて、ガザでジャーナリストを標的とした攻撃が繰り返されていることに「深刻な懸念」を表明。「紛争を取材する記者たちは国際人道法の下で保護されており、恐れることなく独立して取材できるようにしなければならない」として、記者の安全を確保するようイスラエルに求めました。
国境なき記者団のブルティン局長は「ジャーナリストのテロ行為を装って再び実行された殺害を強く非難する」と強調。「この虐殺と報道管制はイスラエル軍による犯罪を隠すためのものであり、直ちに止めさせなければならない」として、国連安保理に緊急会合の開催を求めました。
ジャーナリスト保護委員会のサラ・クダ地域局長は、ジャーナリストに対する攻撃や検閲は「イスラエルの行為を隠蔽(いんぺい)するための意図的かつ構造的な試みだ」と批判。イスラエルに過去22カ月に殺害された記者の数は、それに先立つ3年間に世界で殺害された記者の総数を上回っていると指摘し、「記者を標的にした攻撃は国際法の下で戦争犯罪であり、この虐殺を止めなければならない」と述べました。
アイルランドの首都ダブリンでは11日に抗議行動が行われ、現地メディアによると、250人以上が参加し、「イスラエルはジャーナリストの殺害を止めろ」と声を合わせました。同様の集会は、アテネやロンドンなどでも行われました。
ガザ人道状況想像絶する 日本など27外相 飢餓へ緊急対応訴え
しんぶん赤旗 2025年8月14日
【カイロ=時事】日本や英国、フランスなど26カ国と欧州連合(EU)の外相は12日、共同声明を出し、パレスチナ自治区ガザの人道状況が「想像を絶する領域に到達した」と強い危機感を表明しました。その上で「拡大する飢餓」を食い止めるための緊急対応を訴えました。
ガザでは、イスラエルと米国が主導する配給所の近くで食料を得ようと殺到した住民が銃撃を受けて死傷するケースが相次いでいます。声明はこれを念頭に、配給所では殺傷目的で武力を用いてはならないと強調しました。
イスラエルはガザヘの支援物資の搬入を制限し、国際社会では「人為的な飢餓」(テドロス世界保健機関=WHO=事務局長)に対する非難が噴出。7月下旬に物資搬入促進の方針を示しましたが、ガザの危機的状況は改善されていません。
物資搬入に協力するエジプトのアブデルアティ外相は12日の記者会見で「十分な食料を搬入していれば問題は起きなかった」と指摘。問題の核心は、イスラエルが食料を「武器」として利用していることだと糾弾しました。
イスラエル ガザ近郊 激しい爆撃
しんぶん赤旗 2025年8月13日
【カイロ=時事】ロイター通信はパレスチナ自治区ガザの主要都市ガザ市近郊で11日、イスラエル軍による激しい空爆などがあったとする目撃証言を伝えました。イスラエルのネタニヤフ政権は先週の治安閣議で、ガザ市の制圧計画を承認。実際の侵攻開始が10月上旬とも伝えられる中、早くも制圧を見据え、ガザ市周辺への攻撃を強化する姿勢を打ち出した形です。
ロイターによると、イスラエル軍はガザ市近郊のシュジャイヤなど3地区を標的に攻撃を実施。多くの住民が避難を余儀なくされました。ガザ市の住民は、過去数週間で最大規模だったと指摘。住民の男性(25)は「戦車が家々に砲撃を加え、飛行機がミサイルを発射した。戦争が再燃したように感じた」と振り返りました。
AFP通信によれば、政権はガザ市とガザ中部のハマスの重要拠点2ヵ所を破壊することを目指しています。
イスラエルのガザ攻撃がやまない中、食料不足は深刻さを増しています。ガザ保健当局は11日、過去24時間で5人が新たに栄養失調や飢餓が原因で死亡したと発表。2023年10月のガザ戦闘開始以降の食料難による死者数は累計222人で、うち101人が子どもといいます。
ガザ制圧方針に 安保理諸国非難 米・イスラエルは反発
しんぶん赤旗 2025年8月13日
【ニューヨーク=時事】国連安全保障理事会は10日、イスラエルが決定したパレスチナ自治区ガザの中心都市ガザ市の制圧方針を巡り、緊急会合を開きました。人道状況の悪化を危惧し、イスラエルヘの非難が相次ぎました。
会合は英国など5カ国が要請。米国以外の理事国も開催を支持しました。英国のカリウキ国連次席大使はイスラエルの決定を「解決ではなく、さらなる流血ヘの道」と述べ、「再考を」と訴えました。
他の理事国からも「既に地球上の地獄であるガザでの一層の事態悪化を招く」(ソマリア)、「人道に対する敵に制裁を科す時だ」(アルジェリア)と強い非難の言葉が続きました。パレスチナのマンスール国連大使は、各国にイスラエルヘの武器提供停止などの具体的な措置を呼び掛けました。
一方、米国のシェイ国連臨時代理大使は、緊急会合は「逆効果」と批判。「イスラエルには自国の安全のために何か必要か決定する権利がある」と擁護しました。
イスラエルのミラー国連次席大使も「圧力をかけられるべきは(イスラム組織)ハマスだ」と反発。紛争終結の要件のーつとして「ハマスでもパレスチナ自治政府でもない平和的な政権樹立」を挙げました。
豪もパレスチナ国家承認ヘ 英仏などと連携 NZも検討
しんぶん赤旗 2025年8月13日
【シドニー=時事】オーストラリアのアルバ二-ジー首相は11日、記者会見し、9月の国連総会でパレスチナを国家承認する方針を表明しました。中東の持続的な和平のためには、イスラエルとパレスチナが共存する「2国家解決」が欠かせないとの立場を改めて強調。先にパレスチナ承認の意向を表明した英国、フランス、カナダなどと連携していく考えです。また、ニュージーランド(NZ)も承認について検討していると発表しました。
アルバ二ージー氏は「2国家解決は暴力の連鎖を断ち切り、(パレスチナ自治区)ガザでの紛争と飢餓を終わらせる人類最善の希望だ」と主張。さらに、「イスラエル政府は国際法に反し、絶望的な状況の人々、とりわけ子どもたちへの十分な援助を拒んでいる」と批判しました。
同氏は、ガザでイスラエルと衝突するイスラム組織ハマスについて「将来のパレスチナ国家でいかなる役割を果たすこともない」との立場を表明。パレスチナ自治政府がハマス排除に向けて尽力していることを評価しました。パレスチナ承認の判断に先立ち、同氏はイスラエルや英仏、日本などの首脳と協議したと説明しました。
一方、NZのピーターズ外相は声明で「今後1カ月かけてパレスチナ国家の承認についての立場を慎重に検討する」と発表。「承認はいつやるかの問題だ。持続可能な国家となる基準に進展があるかを見極める」と述べました。
イスラエル閣議紛糾 人質解放か強硬策か激論
しんぶん赤旗 2025年8月11日
【カイロ=時事】イスラエルのネタニヤフ政権が、パレスチナ自治区ガザの主要都市ガザ市の制圧方針を決めました。実行に移せば、イスラム組織ハマスに狗束されている人質に危険が及ぶ可能性が高く、強硬策を取るかどうかで治安閣議は紛糾しました。イスラエルのメディアが内幕を伝えました。
治安閣議は7日夜から8日未明にかけて約10時間続きました。ハマスとの停戦交渉が停滞する中、政権はネタニヤフ首相が推すガザ市制圧案を含め、複数の案を検討しました。
首相側近のハネグビ国家安全保障顧問は、直前まで交渉してきた人質解放を含む停戦案の実現を優先すべきだと訴えました。人質に被害が出る可能性に触れ、「救出を諦めない」と首相案に反対。ザミール軍参謀総長と対外情報機関モサドのバルネア長官も同案に反対しました。
一方、連立政権の命運を握り、ガザの占領や入植を主張する極右政党のスモトリッチ財務相とペングビール国家治安相は侵攻継続を支持。スモトリッチ氏は「(侵攻を)途中でやめてはいけない。(ハマスとの)一時的合意は敗北だ」と強調しました。極右政党のストローク入植・国家特命相は休憩中、「軍の使命」に人質解放を盛り込むべきだと発言した人質問題担当者に「使命はハマス撲滅だ」と叫びました。
閣議では最終的に、「ハマスを打ち負かすための首相案」が承認されました。ハマスが停戦条件で大幅に譲歩しなければ、ネタニヤフ氏が志向しているとされる「ガザ全域占領」へ段階的に作戦を拡大するとみられています。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。