2018年1月24日水曜日

拉致被害者家族会の願いを完全に無視した安倍首相の演説

 安倍首相が、空疎な文言を羅列しただけの膨大な施政方針演説の中で、拉致問題に触れた部分はたったの1行で、「引き続き最重要課題である拉致問題を解決する」というものでした。
 拉致被害者の「家族会」と「救う会」は21日、都内で合同会議を開き、「政府に今年中の全被害者救出を再度求める」とする今年の活動方針を決めました。そして、そのためには北朝鮮が被害者を帰国させる決断をすれば、日本政府も独自制裁を解除するなど「実質的協議」も必要だと述べています。
 独自制裁の解除や日朝協議は安倍政権の政策と真っ向から対立するものですが、最早そうするしか打開の道がないと考えたからに違いありません。安倍首相への信奉組織で、「家族の会」の目付役を任じている「救う会」もそれに同調したのは、さすがにそうした「家族の会」の思いに抗しきれなかったからでしょう。

 それに対する安倍政権からの回答が前述の1行であったというわけです。拉致問題を解決しようとする熱意のかけらもありません。
 拉致問題を解決できる政権を謳って華々しく登場した安倍政権ですが、この5年間 解決への取り組みは皆無でした。そうであれば、この先も解決は何も望めないのではないでしょうか。いまや安倍政権は拉致問題解決の最大の阻害要因です。早々に退場すべきです。
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家族会方針を完全スルー 安倍演説は“拉致問題”眼中になし
日刊ゲンダイ 2018年1月23日
「引き続き最重要課題である拉致問題を解決する」――22日、安倍首相が施政方針演説で拉致問題に触れたのは、たった1カ所だけだった。具体性はおろか、熱意のかけらも伝わらない演説。「北朝鮮に政策を変えさせるため、いかなる挑発行動にも屈することなく、毅然とした外交を展開します」と続けたが、はたして家族の「要望」は伝わっていたのか。

 21日、拉致被害者の「家族会」と「救う会」は、都内で合同会議を開き、「政府に今年中の全被害者救出を再度求める」とする今年の活動方針を決めた。
 驚いたのは、北朝鮮が被害者を帰国させる決断をすれば、日本政府も独自制裁を解除するなど「実質的協議」も必要だと踏み込んだことだ。政治評論家の山口朝雄氏が言う。
独自制裁の解除や日朝協議は安倍政権の政策と真っ向から反するものです。長年、安倍首相に全幅の信頼を寄せてきた家族会としては、相当な覚悟で方針に盛り込んだはずです。『今年は何とかしてほしい』という強いメッセージですよ。にもかかわらず、施政方針演説では、『最重要課題』と言っただけ。何も言っていないに等しく、事実上無視したようなものです。拉致問題は眼中にないと言わんばかりです」

 横田早紀江さんは、2年以上前、安倍首相に思いをつづった長文の手紙を出しているが、いまだに返事はないという。また、早紀江さんは「安倍総理が平壌に行き、金正恩とケンカじゃなく、ちゃんとした話し合いをしてくれたらありがたい」と語っている。なぜ、安倍首相は被害者家族の思いを無視するのか。