2018年1月14日日曜日

今年待ち構えるアベクロバブル崩壊危機(高橋乗宣氏)

 年明け早々年明け早々株価が急上昇していますが、これは地球規模のバブルの潮流に、日本独特の官製株価バブルが重なった結果で、いずれにしても実体のないバブルはやがてはじけます。
 設備投資の需要はわずかで個人消費はむしろ縮む方向、経済的に活況を呈する余地はありません。
 それだけではなく、これまでの「持続不可能型」のイビツな金融政策を少しでも変えようとするだけで株式市場が過敏に反応し、株価暴落を招きかねないということで、まさに 薄氷に載っているという状態です

 日本の官製バブルは今年はじける危険もあるということです。
 高橋乗宣氏の「  今年待ち構えるアベクロバブル崩壊危機」を紹介します。
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 日本経済一歩先の真相
異常な政策が支え 今年待ち構えるアベクロバブル崩壊危機
 高橋乗宣 日刊ゲンダイ 2018年1月12日
 年明け早々株価が急ピッチで上昇している。日経平均は大発会から3営業日で1000円以上も上げ、2万4000円の大台も間近だ。26年ぶりの株価の高水準に、安倍首相はすっかり気を良くし、あとは「3%賃上げ」を実現させるのみといったところだろう。

 だが、この株高は手放しでは喜べない。
 NYダウを筆頭に、世界各国の主要株式指標が相次ぎ史上最高値を更新し続ける「グローバルバブル」の潮流に加え、日本は超低金利政策で通貨供給量が膨張し、過剰なカネ余り状態に陥っている。現在の株価上昇は行き場を失って、株式市場に流入した緩和マネーに支えられたものだ。
 黒田日銀のマイナス金利政策の副作用でメガバンクをはじめ、市中銀行の経営は四苦八苦だ。せっかく資金を預かっても融資先はほとんど見当たらない。苦し紛れに窓口業務で顧客の預金の大部分を投資信託に回すようすすめ、顧客がはんこを押せば、そのカネは株式市場に流れてくる。青息吐息の金融機関のオール証券業化も株価上昇を後押ししているのだ。

 日銀のETF“爆買い”や、国民の虎の子の老後資金である年金の株式運用比率アップなどに支えられた「官製株高」であることも忘れてはいけない。
 設備投資の需要はわずかで、個人消費はヨチヨチ歩き。日本経済を牽引する「エンジン」はちっとも回っていないのに、株価だけがグングン上がっているのは異常だ。実態なき株価上昇は、明らかにバブルである。超低金利の“アベクロサンバ”が招いたアベクロバブルと言っていい。

 さて、その黒田日銀総裁の任期も4月までだ。現在の異次元緩和策を誰がどう受け継ぐのかは現状では分からないが、金融機関の大苦境を見れば、いつ超低金利から抜け出すのかが早晩、焦点となるのは間違いない。

 その際、最大のネックとなるのが、ぶくぶくと膨らんだアベクロバブルだ。日銀の後継総裁が、これまでのイビツな金融政策を少しでも変えようとするだけで株式市場が過敏に反応し、株価暴落を招きかねない。後継総裁がまっとうな人物であるほど、超低金利の流れを変えたがるだろうから、とんだジレンマを抱え込むことになる。
 黒田総裁がもう1期続けようが、あるいは別の人物に代わろうが、誰が日銀総裁になっても、そのかじ取りを誤れば、バブル崩壊という修羅場が待ち構える。今年前半の日本経済は、いつバブルがはじけてもおかしくないというリスクに脅かされることになるのだ。

 今年の干支は「戊戌」だ。意味するところは、樹木の繁茂で風当たり日当たりが悪化し、悪くすれば枯れ果ててしまうという。どうやら今年の日本経済は恐ろしい干支通りの展開になりそうだ。

 高橋乗宣 エコノミスト
1940年広島生まれ。崇徳学園高から東京教育大(現・筑波大)に進学。1970年、同大大学院博士課程を修了。大学講師を経て、73年に三菱総合研究所に入社。主席研究員、参与、研究理事など景気予測チームの主査を長く務める。バブル崩壊後の長期デフレを的確に言い当てるなど、景気予測の実績は多数。三菱総研顧問となった2000年より明海大学大学院教授。01年から崇徳学園理事長。05年から10年まで相愛大学学長を務めた。