2018年1月30日火曜日

地方の首長選に政府が「利益」をちらつかせるのは公選法違反では

「日々雑感」氏は、内閣府が行った調査によれば、沖縄県の県民一人当たりの所得水準は203万5000円」47都道府県中の最低額で、10年以上も続けてきた「沖縄特別振興交付金」が沖縄県民の所得向上に大して役立っていないと述べ、安倍政権が、沖縄の地方選に当たり「特別振興交付金」を餌として県民の対立を煽るのは政治家として最低というよりも「利益供与」という公職選挙法に抵触する違法行為ではないのだろうかと指摘しています

 そして、安倍政権も、戦後自民党政権がそうであったように、「日本は安保条約で守られている」というプロパガンダで国民を洗脳し続けているため、安倍支持者たちは米軍が日本に駐留しているから日本は安全だ、と思い込まされているとしたうえで、沖縄県のことは沖縄県民に任せれば良く、そのためには基地なき沖縄返還を沖縄県民のために実現することだ、と述べています。
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地方の首長選に政府が「利益」をちらつかせるのは
公職選挙法違反の利益供与に該当するのではないか
日々雑感 2018年1月29日
 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設工事が進む沖縄県名護市で28日告示された市長選。移設に反対か、経済の振興か-。一騎打ちとなった現職と新人の訴えはかみ合わないまま、本格的な選挙戦を迎えた。日米両政府が普天間飛行場の返還に合意し、同市の辺野古が移設先に浮上して約20年。移設問題に揺れ続けてきた街で、またも市民を二分する戦いが始まった。

 「翁長(雄志)知事が誕生し、名護市と一緒に政府の圧力にも屈せず、頑張ってきた。この流れを絶やしてはいけない」。3選を目指す現職の稲嶺進氏(72)が後援会事務所前で第一声を上げると、支持者から大きな拍手が湧いた。

 新人で元市議の渡具知(とぐち)武豊氏(56)は市役所前での出陣式で「稲嶺市政の8年間で景気や暮らしは良くなったのか。答えはノーだ」と稲嶺氏の市政運営を厳しく批判した。渡具知氏は、移設問題よりも、観光客誘致による経済振興や子育て環境の整備に向けた訴えに時間を割いた。

 両氏は相次いで辺野古の集落にも入った。辺野古では国による地域振興や補償などを条件に移設を容認する住民も少なくない。

 稲嶺氏の演説を聴いた薬剤師の當山尚史さん(33)は「賛成、反対で街が二分されるのは寂しい」と表情を曇らせ「基地と引き換えの交付金をあてにしない街づくりの流れが生まれてほしい」と話した。

 渡具知氏の訴えに食品販売業の玉利朝輝さん(59)は「集落はさびれ、猫と犬しか歩いていない。移設を受け入れる代わりに、国の予算を引っ張ってきて街の活性化を図ってほしい」と期待を寄せた
(以上「毎日新聞」より引用)

 沖縄県名護市の市長選が昨日告示されたが、米軍基地の辺野古移設を巡って「移設反対」か「経済振興」かで新現候補が対立しているという。もちろん新人候補は自公が担ぐ新人で、現職は辺野古移設に反対している現職だ。
 なぜ自公候補は「移設反対」=「経済振興」と主張しているのだろうか。それは自分が当選すれば「辺野古移設」を推進する見返りとして、安倍自公政権が「地域振興」と称する報奨金が政府から交付されるからだ、という理屈のようだ。

 しかしこれまで沖縄に対して他の46都道府県に対する交付金よりも別枠で「沖縄特別振興交付金」が毎年3,000億円も交付されてきたが、沖縄経済が裕福になり沖縄県民所得が他の全国都道府県との比較で加速度的に増加したかというとそうではない。内閣府が行った調査によれば、沖縄県の県民一人当たりの所得水準は「203万5000円」。これは47都道府県中の最低額で、トップである東京都の「442万3000円」と比べると、2倍以上の開きがある。
 ただ産経新聞が報じたところでは「計算方式」を変えれば全国28位になるという。それは食糧自給率の計算式に欧米の「購入消費金額」で行うのか、韓国と日本だけが採用している「カロリーベース」で行うのかによって異なるのと似ている。欧米方式で日本の自給率を算定すれば60%を越えて英国を抜くことになる。なぜなら野菜はカロリーが少ないため、カロリーベースでは基本的に「自給」が原則の野菜がカウントされないからだ。

 いずれにせよ、内閣府の計算方式では依然として沖縄の県民所得は全国最低だ。つまり10年以上も続けてきた「沖縄特別振興交付金」が沖縄県民の所得向上に大して役立っていないということだ。
 県民所得を向上させるためには安定的な「雇用」の確保が必要だ。もちろん観光資源開発や沖縄農業の生産性向上策も必要だ。しかしそれ以上に、立地に着眼した生産工場の展開策を行政は考えるべきだ。その際、目をつけるべきは米軍基地に強要されている広大な土地と、米軍が独占使用している海岸線の民間への開放だ。

 沖縄を安倍自公政権が米軍のアジア支配の拠点に供し、いやアジアのみではない、米軍は日本の基地ことに沖縄基地をアフリカまでの最前線と位置付けている。日米安保は日本の防衛のためのものではない、ということは歴然としている。
 しかし安倍自公政権は戦後日本の自民党政権が継続して「日本は安保条約で守られている」というプロパガンダで日本国民を洗脳し続けて来た。そのプロパガンダで植え付けられた思考回路の上に立って、安倍支持者たちは米軍が日本に駐留しているから日本は安全だ、と思い込まされている

 戦後一貫してGHQ以降も米軍は日本に居座り続けて、日本は外国の脅威に怯えない時が一日でもあっただろうか。「戦勝国クラブ」の途切れることなく戦争が必要な軍産共同体に支配されている国々が日本の周辺で対立構造を構築して、防衛費という米国製のポンコツ兵器を買わされ続け、米軍基地負担を国民に押し付けて来ただけだ。
 いい加減この不毛な「戦争ごっこ」を終わりにして、世界平和へ向けて日本は被爆国として「核なき世界」を実現するリーダーになるべきだ。沖縄の人たちを二分させる対立を「特別振興交付金」を餌として煽るのは政治家として最低というよりも「利益供与」という公職選挙法に抵触する違法行為ではないのだろうか。下種の政治家には下種の政策が似合っているが、それでは沖縄の未来を暗くするだけだ。

 沖縄の米軍基地を工業団地にすればどれほどの企業展開が出来るだろうか。そして滑走路を利用したアジアや世界へ展開する金融センターも夢ではない。
 沖縄県のことは沖縄県民に任せれば良い。そのためには基地なき沖縄返還を沖縄県民のために実現すべきだ。日本は「戦勝国クラブ」の世界戦略と称するロジックの迷路から一刻も早く脱却すべきだ。