ペジー社の創業社長の齊藤元章氏が経産省関連の助成金詐欺容疑で逮捕された事件を追及している週刊新潮が、新年合併号の分をデイリー新潮に転載しました。
いま公表されている詐取額は4億円余ですがそれでおさまるとは考えられません。齊藤社長の関連会社は、「新エネルギー・産業技術総合開発機構」から約40億円の助成金の他に、文科省関連の「科学技術振興機構(JST)」から60億円弱の無利子融資も受けており、総額は100億円にも及びます。
いうまでもなくそれらの原資は税金で、100億円といえば、厚労省が2018年度から生活保護費を削減する額160億円の半額以上に相当します。
ところで伊藤詩織さんへの準強姦容疑で一度は逮捕状が交付された元TBS社員の山口敬之氏は、ペジー社の顧問におさまっていますが、今回の捜査の過程で、彼には顧問料月額200万円、そして家賃(ザ・キャピトルホテル東急のレジデンス)として月額200万円が、会社(斎藤氏)から支払われていることがわかりました。
山口氏は、安倍首相や麻生財務相と懇意なため官庁に顔が利くことが武器で、大いに優遇されているようです。
しかし会社の会計に詳しいある人が調査して見たところ、齊藤社長の関連会社のカネの流れは一向に判然としなかったということです。もしも国民の血税がそんな贅沢に流用されているのであれば許されません。
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山口敬之の口癖は「安倍と麻生は今でも後ろ盾」
血税100億円を分捕った欠陥スパコン
デイリー新潮 YAHOOニュース 2018年1月9日
公金100億円を分捕った欠陥スパコン会社への特捜部の捜査は鉱脈に向かって更に継続中だ。他方、この会社の顧問でもあった総理ベッタリ記者こと山口敬之元TBSワシントン支局長。相棒の逮捕後も意気軒昂に、「後ろ盾は安倍・麻生」と嘯(うそぶ)いているというのだ。
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落語「犬の目」の冒頭には、こんな一節がある。
「医者、役者、芸者、易者、学者てな、これはみな者がついてますわ。この者の字のつく商売は、時としてハッタリをかまさないかんことがあるというんです」
2017年12月5日。東京地検特捜部が助成金詐欺容疑で、「PEZY Computing(ペジーコンピューティング)」創業社長の齊藤元章容疑者を逮捕した。
齊藤社長の関連会社には、「新エネルギー・産業技術総合開発機構」から約40億円の助成金、「科学技術振興機構(JST)」から60億円弱の無利子融資が注ぎ込まれている。いずれも国立の研究開発法人だ。
逮捕容疑は助成金の一部を不正受給した疑いだが、齊藤社長はこんなセールストークを展開していた。
「人工知能が進化してそれが人類を超える点(シンギュラリティ)が来る。スパコンさえあれば衣食住はタダ、カネは不要、犯罪も事故もない、少子高齢化問題やエネルギー枯渇の懸念が解決される社会が実現する」
専門家によれば、「しょっちゅうシステムエラーを起こしてしまう。稼働しない時間が長い」欠陥スパコンにもかかわらず、ある程度ハッタリは奏功。しかし、自転車操業でやんぬるかな、経営者から容疑者へ。他方、かますどころかやることがハッタリそのものだったのが、伊藤詩織さんへの準強姦容疑で逮捕状が出ていたペジー顧問の山口敬之記者。
ハッタリとは……。山口記者がTBSワシントン支局長時代に執筆した〈歴史的スクープ 韓国軍にベトナム人慰安婦がいた! 米機密公文書が暴く朴槿恵の“急所”〉という記事が虚報だったと本誌(「週刊新潮」)が指摘したことを指す。公文書がまともに読めず、取材相手の語った内容を捏造して原稿を書く記者のありようが明らかとなったのである。
「今回の捜査の過程で、顧問料200万円、そして家賃として200万円が齊藤から山口に毎月支払われていることがわかりました」
と、社会部デスク。家賃とは東京・永田町の「ザ・キャピトルホテル東急」内の「レジデンス」使用料だ。
戸数はわずか14で最高が月240万円。200万円の部屋も実際に存在し、2番目のグレード。広さは約239平方メートルになる。
試みに図面を見てみると、出入り口のある16階はゲストルームで中の階段を下りた15階がメインルームだ。北から西へ大きく開かれた窓からは日枝神社、国会議事堂。
40畳のリビング、18畳の寝室、冷蔵庫や食洗機付キッチン、洗濯乾燥機が置かれたバスルーム。ハウスキーパーによる週2回の無料清掃、サロンにスパ&フィットネス。一介の記者が、スパコン会社顧問が、毎月家賃として200万円の支給を受ける真っ当な理由など、そうあるものではない。
「カネ集めの舞台装置ですよ。国家権力を睥睨するロケーション、安倍・麻生との蜜月を描いた山口自身の著書『総理』。これを武器に、“錬金術”に勤しんでいた様子が窺えます」(同)
結果、前述の国からの100億円に加え、民間から200億円ほどを調達することに成功していたという。
「齊藤や山口は2人揃って、あるいは各自で、人脈を辿ってスパコンの売り込みに力を入れていた。例えばスパコンは暗号通貨の“採掘”作業に使えたりするので、齊藤はそんなことを手掛けている会社にもプレゼンして回っていたね」
と、ベンチャー関係者。
「1台4億とか8億とか。“開発資金はご心配なく”と齊藤は話していたよ」
“もう1つ案件がある”
その一方で、JSTからの約60億円の融資の経緯について、疑義を呈する声があがっているのだ。
本誌既報の通り、16年度補正予算120億円の使い道が締切わずか2週間前、説明会に至っては4日前という強行軍で募集され、その結果、60億円の血税が齊藤氏の懐に転がり込むことになった。
「普段は理事から部長まで50人くらい出席する会議で揉んだ後、理事会に諮る。それがこの時はいきなり理事会が招集されて。しかもコンピューターの専門家なんて理事にいないからね」
と、JST関係者。文科省関係者が後を受けて、
「“補正なのでとにかく速くやらなければ”というように議論を進めようとする中で、“短期間に60億も使い切れるのか”という異議申し立てもあったようです」
更に、霞が関関係者は、
「この予算枠は、その後も募集がかかっていますが、審査通過はゼロ。前後の経緯から、齊藤案件ありきのスキーム(仕組み)と考えざるを得ない」
と指摘。それはともかく、このプロジェクトが失敗に終わっても融資額の1割を返却するだけで良しというのだから、今や納税者としては、成功を望む他ない。
今後の捜査の展開を別の社会部デスクはこう見通す。
「詐取金額がどんどん積み上がっており、その捜査に加え、年明けの脱税容疑での再逮捕は既定路線。更に、“もう1つ案件がある”というふうに検察首脳は漏らしています」
その「もう1つ」は判然としないのだが、
「政治家はともかく、補助金適正化法違反容疑で役人側を摘発する可能性はある。齊藤の不正を知りながら交付したならその者も同罪、と規定されていますから」
最後に山口氏の動向について。齊藤社長の逮捕後も、
「検事には協力している」
「安倍さん、麻生さんとは今でも繋がっており、会いたければいつでもセッティングする」
と複数に話しているという。永田町関係者によると、
「山口さんは総選挙が終わった去る10月31日、公邸に安倍首相を訪ね、1時間ほど話をしています。齊藤の逮捕前とはいえ、まさに新潮の言うベッタリさを売りにしたいのでしょう」
落語「犬の目」は、病んだ目を犬のそれと入れ替えた後、犬の習性が染みついてしまった男を描いてサゲとなる。山口記者はその目を入れ替えたのだろうか。あろうことか、「日本シンギュラリティ党」なる政治団体を16年1月に届け出て、その代表者に収まっているのだ。シンギュラリティとは、齊藤社長のセールストークにあった「人工知能が進化してそれが人類を超える点」にあたる。
さて戌の年、山口氏の更なる転身はあるか。
「週刊新潮」2018年1月4・11日号 掲載」