2018年11月8日木曜日

08- 東京新聞 <税を追う> 8~9

 7日の記事で、(本シリーズはこれで終了と思われます)とお伝えしましたが、当方の早とちりでした。お詫びします。
 
 今回も引き続き米国製戦闘機F35Aに関するもので、F35A 購入42機中の38機で日本製部品の搭載が米国側の未対応で遅れているケースで、支払済みの代金のうち1機当たり50億円前後が返還される筈のところ、実際にいくらになるのかが防衛省では把握できない問題、それから今後20機を追加注文するに当たり、国内企業製造参画すると調達価格が50億円前後も割高になることから、それはやめ、米国製をそのまま輸入することも検討しているものの、そうなると参画を前提として国が三菱重工業、IHI、三菱電機の3社に計1870億円を設備投資資金として投入したことの妥当性の問題等を取り上げました。
 
 いずれにしても米国の価格設定は実にデタラメで、その詳細は一切開示されていません。
 米国の兵器メーカーは、利益追求のためにひたすら価格の高騰を目指した結果、性能は二の次になりいまやロシアの兵器に及ばないといわれます。
 F35系の戦闘機も、空飛ぶ重戦車と呼ばれるほどの重装備を行ってはいるものの、肝心の戦闘能力は従来機の方が優れていることが、空戦のシミュレーションで証明されています。実にいい加減な話です。
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<税を追う>F35A 国産部品の搭載遅れ 防衛省、返還額分からず
東京新聞 2018年11月7日
 政府が二十機の追加購入を検討している米国製戦闘機F35Aを巡っては、既に購入を進めている四十二機のうち三十八機で、日本製部品の搭載が遅れるという問題が生じている。米側に前払いした一機百数十億円に上る購入費のうち、部品未搭載による返還額がいくらになるかを、防衛省では把握できないことが分かった。米国が圧倒的有利とされる「対外有償軍事援助(FMS)」の兵器取引の弊害がここでも浮かび上がる。(「税を追う」取材班)
 
 FMSは米政府の「言い値」に従って前払いするため、取引価格が適切か不透明との指摘がある。過払いがあれば納入後に返金されるが、精算は遅れがちだ。F35A全四十二機の納入が終わるのは二〇二四年度の予定で、精算時期はさらにずれ込むとみられる。防衛省は「米政府の精算が終わらないと、返還額や時期は分からない」としている。
 防衛省が一八年度末までに米国と契約するのは三十四機。最初の四機は一機九十六億円だったが、五機目からは日本企業が機体の組み立てや、エンジンとレーダー部品の製造に参画することになり、契約時期によって一機百三十億~百七十億円に引き上げられた
 
 防衛省は国内産業育成のため、IHIと三菱電機の部品製造ライン整備に計七百四十一億円を投入。さらにこの二社を米企業の下請けに参入させ、元請けの米企業が二社に支払う部品製造費や工賃を、窓口の米政府に前払いしてきた。
 しかし、米国から原材料の供給が遅れたなどの理由で、部品の製造が始まったのは昨年十二月から。いまだに国産部品は搭載されていない。
 昨年九月に会計検査院から国産部品の搭載遅れを指摘されたことを機に、防衛省は米政府と対応を協議。前払い金のうち、部品未搭載で余分に支払った費用の返還を確認したという。ただ、一機につき五十億円前後になる差額がすべて返金されるわけではなく、額や時期は米側の精算待ち。国費で整備した二社の製造ラインの維持費が含まれるのかも不明だ。
 F35Aは取得までの期間が長く、契約も巨額であることから、所管する防衛装備庁の担当者は「精算作業にもかなりの時間がかかる」とみている。全機納入を待たずに精算を年度ごとなどにできないか、米政府に求めている。
 国産部品の搭載が始まるのは早くて十七機目から。計画通り十九部品がすべて搭載されるのは、四十二機のうち最大でも八機にとどまるとみられる。
 
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<税を追う>F35A 米から20機追加購入へ 日本企業、参画断念も
東京新聞 2018年11月7日
 航空自衛隊に配備する米国製の最新鋭戦闘機「F35A」について、政府が約二十機を追加購入する方向で最終調整していることが、関係者への取材で分かった。現在購入を進めている四十二機のうち三十八機は、国内企業が製造に参画し、調達価格が割高になっている。追加購入する二十機は、国内企業の製造参画を取りやめ、米国製をそのまま輸入することも検討している。
 
 F35Aを巡っては防衛省は国内産業育成のため、機体組み立てや部品製造に参画する三菱重工業、IHI、三菱電機の三社に計千八百七十億円を設備投資。輸入を選べば、これらの施設の機能が大幅に縮小する可能性もあり、多額の税金を投じた判断が問われそうだ。
 追加購入の契約は早ければ二〇二〇年度から行う。
 国内企業が製造に参画する現在のF35Aについて、防衛省は一九年度の概算要求額で一機百五十三億円と見積もっている。これに対し、今年、米政府が製造元のロッキード・マーチンと契約した単価は百一億円。日本が、米国からの直接輸入を選べば、取得コストは大幅に減る見込みだ。
 
 政府関係者によると、現行の四十二機の生産が終われば、機体組み立ての施設は閉鎖、整備拠点は機体の維持運用のため存続させる方向で検討している。追加分の二十機は、主力戦闘機「F15」の後継の一部と位置付ける方針。約二百機あるF15のうち、百機は改修して使い続けることになっているが、未改修の残り百機の扱いが焦点になっていた。 (望月衣塑子、原昌志)