2018年11月14日水曜日

14- 外資の餌食 農家「種子法復活」の声が拡大 公的支援停止は2府県のみ

 今年4月から種子法廃止法が施行されたことで、大阪府と奈良県は公的支援を打ち切り、これまで府県が行って来た米麦の種子が適切に生産されているかのチェックを、大阪府種子協会と奈良県の米麦改良協会にそれぞれ移管しました。また和歌山県は農作物種子協会に業務の移行を打診し、現在協議中です。
 移管された側はその分費用が増大するので、いずれその分を種子の価格に上乗せするしかありません。
 
 政府はグローバル種子企業の要求に沿ってドサクサに紛れて種子法を廃止しましたが地方は全く納得していません。逆に地では、種子法を条例で復活させる動きが広がっています。食の安全を守るためにも種子法は廃止すべきではありません。
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外資の餌食 日本の台所が危ない
農家「種子法復活」の声が拡大 公的支援停止は2府県のみ
日刊ゲンダイ 2018年11月13日
 種子法は、農家が安定して米などを作れるよう国が種を管理し、都道府県には種を増やしたり、原種を育てる技術を公的に支援することを義務付けてきた。今年度から種子法廃止法が施行されたことで、公的支援を打ち切る自治体が一部出てきている。
 
 公的支援のひとつが種の品質保証だ。都道府県は、出穂期に圃場(田畑)を審査し、発芽の優劣や異物の混入を調べ、収穫時には種となる稲の審査証明などを行ってきた。つまり、種が適切に生産されているかをチェックして、都道府県が品質を保証してきたのだ。
 大阪府は今年度からこれらの業務を大阪府種子協会に丸投げした
「種子法という根拠法がなくなったのを受けて、審査や証明業務をやめました。今年度は1年目ということで、府の職員が現場に出向いて、種子協会に指導・教育をしていますが、これからは手を引いていくことになるでしょう」(府農政室推進課)
 義理や人情を重んじる“浪花節”の本家とは思えないようなドライな対応である。丸投げされた種子協会は困惑気味だ。「府の職員に指導いただいていますが、費用助成は一切ありません。来年度の種の価格は据え置きにすることになりましたが、協会にとって費用の増大が大きな課題になっています」(事務局)
 将来、増える費用を種の価格に転嫁することになるかもしれない。奈良県も審査業務を県内の米麦改良協会に移管済み。和歌山県は農作物種子協会に業務の移行を打診し、現在協議中だ。
 
 ところが、公的支援打ち切りは全国に広がっていない。農家の不安に配慮して、自治体が支援をやめられないのだ。北海道にも農家の不安が寄せられた。
「道内の多くの農家は、道のバックアップがないと安心して農業を続けられないと思っています。種子法が廃止されて以来、道には、農業団体や市町村議会を通じて幅広い地域から種子法に代わる条例制定の要望があり、現在、準備しているところです」(道農産振興課)
 国会はロクな審議もせず種子法を廃止したが、地方は全く納得していない。東大大学院の鈴木宣弘教授(農政)が言う。「種子法が廃止されたのに、公的支援打ち切りの動きが近畿3府県にとどまっているのは、全国の農家は公的支援を必要としているからです」
 そこで各地では、種子法を条例で復活させる動きが広がってきている。 =つづく
(取材=日刊ゲンダイ・生田修平、高月太樹)