2018年11月12日月曜日

既に実戦の脅威は生まれている 「都合よく使うな」が自衛隊員の本音

 安倍首相は現在の自衛隊は日陰者になっていると極めつけて、自衛隊に市民権を与えるために憲法9条に自衛隊を盛り込むと主張していますが、その自衛隊を、一定の制約はつけているものの海外派兵が出来るように実質的に憲法を改変したのは安倍政権に他なりません。新安保法が成立したとき、米軍側は「もはや9条を改正しなくてもOK」と語ったと伝えられています。
 
 元陸上自衛隊レンジャー隊員井筒高雄氏は、
「既に“専守防衛”のラインを大きく踏み越えて、議論を尽くすこともなく集団的自衛権を認めてしまった。自衛隊が海外の軍隊と一緒になって武器を使って陣地を守るのはどうみても交戦で憲法に抵触するし、隊員の危険度は格段に上がった。自衛隊は実戦訓練もしているが、本音では行きたくないし死にたくないと、隊員は不安に思っている(要旨)」と語りました。
 軍人が決して実戦を望まないというのは、万国共通の思いです。自衛隊を都合よく使うなということです。
 安倍首相が9条を変えようとしているのは、自衛隊員のためではなく米国のためでもありません。極めていびつな功名心からとしか思えません。
 週刊女性PRIME井筒高雄氏の話を紹介しています。
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「憲法改正しても脅威は払拭できない」理由と

「都合よく使うな」という自衛隊員の本音

週刊女性PRIME 2018年11月11日
 憲法改正へ強い意欲を示す安倍首相。さまざまな改憲案が浮上するなかで、最も有力視されているのが自民党の改憲に関する条文イメージ(たたき台)にも盛り込まれた、憲法9条に自衛隊の存在を書き込むという案だ。
 首相は9条改正について「国防の根幹」と述べて必要性を強調、前のめりの姿勢を見せている。しかし一方で、自衛隊の存在を明記する改憲をしても、「自衛隊の任務や権限に変更が生じるものではない」とも強調する。本当だろうか?
 

改憲を待たず自衛隊の役割や任務が変わった

 
 自衛隊の実情をよく知る元陸上自衛隊レンジャー隊員、井筒高雄さんはこう話す。
「第2次安倍政権が発足した2012年以来、改憲を待つまでもなく、すでに自衛隊の役割や任務は大きく変わっています。それも、戦後の歴代政権が議論を積み上げ、折衝を重ねて出した“専守防衛”のラインを大きく踏み越えて、議論を尽くすこともなく集団的自衛権を認めてしまった。首相が目指す憲法改正は、その総仕上げです」
 
 集団的自衛権の行使容認を閣議決定したのは'14年。自国が攻められていなくても、アメリカのように日本と親密な他国が攻撃されたとき、日本も一緒になって戦えると憲法解釈を変えた。
「それから1年後には安全保障関連法を成立させた。集団的自衛権を容認するということは、自衛隊が海外での実戦任務に就くということ。法に基づくプロセスをとばして、議論を尽くすこともなく数の力で押し切るという、本来とるべきやり方とは正反対の方法で推し進めたわけです」
 
 安保法ができたことで、自衛隊には「駆けつけ警護」「宿営地の共同防護」という新たな任務が加わった。
つまり、日本の自衛隊が海外の軍隊と一緒になって、武器を使って陣地を守るということ。どうみても交戦で、憲法に抵触しますし、隊員の危険度は格段に上がりました
 
 最前線に立たされる現場の隊員たちは、こうした変化をどう受け止めているのだろうか?
 
「自衛隊は基本的にイエスしか言えない組織。すでに海外での実戦任務は織り込みずみです。山岳や市街地での演習、実戦訓練もしている。でも、本音では行きたくないし、死にたくない。軍隊ではないので軍事裁判を受けられず、殺人罪に問われるかもしれない。死んだとき、どんな補償を受けられるのかもわからない。隊員は不安に思っています」
 
 少子化や人手不足の影響も加わり、主力隊員となる「自衛官候補生」は、4年連続の定員割れ。井筒さんは、これに安保法や改憲への動きが拍車をかけたとみている。
「警察との合同で新卒向け説明会がよく開かれていたりしますが、自衛隊単独では人集めが難しいのだと思う。現役隊員からも、定年までいられるのに、辞めたいと相談を受けたりしますから」
 

改憲の前に自衛隊のあり方を考えるべき

 
 自営隊員が入隊の際に行う「服務の宣誓」には、憲法を守り、国民の負託にこたえるという一文がある。
「南スーダンにPKO派遣された自衛隊部隊の日報隠しが問題になりましたが、戦闘という記載があったにもかかわらず、政府は衝突と言い換えて批判を集めました。あれは稲田防衛相(当時)も認めたように、海外での武力行使を原則的に禁じる憲法9条に抵触するおそれがあるから。
 憲法を変えようとする前に、国民が望む自衛隊のありかたとは、いったいどういうものなのか、ひとりひとりが考えるべきです」
 
 改憲が必要な理由として、首相は「安全保障環境が急速に厳しさを増している」と、あらためて強調する。'15年の安保法をめぐる議論でも繰り返された理由だ。こうした考えは一般にも共有されている。中国や北朝鮮を脅威とみなす声は珍しくない。
 では、憲法改正すれば、脅威やリスクを払拭できるのか。
 
「日本には稼働停止しているものも含めて、54基の原発が狭い土地にひしめいています。テロ対策もほとんど行われていない。コストをかけずに攻撃できる格好の的です。これほどリスクの大きい標的を放置しておきながら、改憲による脅威の払拭を訴えたところで、説得力がありません」
 
 東日本大震災や水害などの救助活動により、自衛隊に好感を抱く人は少なくない。
「災害派遣のように、国民が後押ししてくれる大儀があるのは大きい。日本の平和に役立つのかわからないなかで、政治の利害関係のために体よく使うのはやめてほしい。それが、隊員のいつわらざる思いです」
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《PROFILE》
井筒高雄さん ◎1969年生まれ。元・自衛隊レンジャー隊員。元自衛官らで作る平和団体『ベテランズ・フォー・ピース・ジャパン』共同代表。共著に『日本と日本人を危うくする安保法制の落とし穴』(ビジネス社)