経済学者の植草一秀氏は、先に政府の「入国管理法改正案」について要旨下記の様に批判しました。
「安倍内閣は、国内の人の値段が高いから、安い価格の人の輸入を拡大しようとしている。人の値段を下げること、それが安倍内閣の目標である。それは大資本が要請しているからで、大資本の究極の要請は労働コストの圧縮である」
立憲民主党の長妻昭代表代行が1日の衆院予算委員会で、経済企画庁から出されたという論文(外国人労働者問題の理論分析)をもとに「50万人の外国人労働者が流入すると単純労働の賃金は13・8%減少し、外国人労働者の流入数が100万人となると単純労働の賃金は24・2%減少になる」と指摘しました。
経済評論家の斎藤満氏は「論文自体は古い(1990年)ものだが、問題は現在でも変わらず、外国人労働者が流入することで賃金が下がる可能性は高い。構造的な人手不足のため流入の影響はさらに大きいと考えられる」と述べました。
日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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外国人労働者流入で賃金25%減…政府がひた隠す驚愕の論文
日刊ゲンダイ 2018/11/04
案の定、政府が推し進める「入国管理法改正案」に深刻な問題があることが明らかとなった。
安倍政権は、人手不足をカバーするために外国人労働者を大量に受け入れるつもりだが、もし「入管法改正案」が実施されたら日本人の賃金が大幅にダウンすることが分かった。
1日の衆院予算委員会で、立憲民主党の長妻昭代表代行が経済企画庁から出されたという論文をもとに「安易に制度を始めると労働賃金が下がる可能性がある」と指摘したのだ。
問題の論文は、現在、一橋大学経済研究所の所長を務める小塩隆士氏が、経済企画庁(当時)の広報室に勤めていた1990年5月に、経企庁が編集協力していた広報誌「ESP」に寄稿したものだ。
「外国人労働者問題の理論分析」と題された論文では、外国人労働者が単純労働にのみ就労すると仮定した場合、50万人の外国人労働者が流入すると単純労働の賃金は13.82%減少すると試算。さらに外国人労働者の流入数が100万人となると単純労働の賃金は24.24%減少という恐ろしい数字が示されていた。
要するに、外国人労働者を100万人受け入れると、日本人の給与は25%減るということだ。安倍政権は、120万人を想定している可能性がある。
内閣府の参事官が今年の3月に人手不足の人数の参考数値を発表。仕事に従事する者がいない状態を補充するために行っている「未充足求人」が、2017年6月時点で121万人と発表しているのだ。
本当に外国人労働者の流入で賃金が下がってしまうのか。経済評論家の斎藤満氏はこう言う。
「論文自体は古いものですが、問題は現在でも変わらず、外国人労働者が流入することで賃金が下がる可能性は高いです。それも現在はバブル期のような一時的な人手不足ではなく、構造的な人手不足のため流入の影響はさらに大きいと考えられます」
安倍首相は、長妻議員の質問に対して、「政府として答える立場にない」などと逃げていたが、現在の拙速な対応のまま外国人労働者を受け入れたら、市民の生活が成り立たなくなる。