2023年9月9日土曜日

今の保険証 残せばいい 資格確認書発行で新たな困難(赤旗日曜版)

 しんぶん赤旗日曜版に掲題の記事が載りました。河野デジタル相は6月、来年秋に保険証を廃止する改悪マイナンバー法を拙速に決めました。それがどんなに無理であり、こんな状態で保険証を廃止したらどんな滅茶苦茶な事態になるかについては、日刊ゲンダイの連載記事「集中企画・マイナ狂騒」が詳細に述べている通りです。
 今の状態では来秋の保険証廃止はとても無理で期限を延期するしかありませんが、河野担当相は「法律で決めたから云々」と改めようとはしません。
 保険証廃止を執ように求めているのは経団連や経済同友会などの財界で、政府が廃止の期限を来秋に決めたのは同友会の新浪代表が強く要望したからです。その理由は単純で「財界にとってのどから手が出るほど欲しい個人情報のパッケージマイナポータル」を一刻も早く構築して欲しいからです
 そのためには事務手続きがどこまで進む必要があるかやその具体的筋道についての知識が不十分なまま、期限だけを強行採決で決めた政府に全ての責任があります。
 8月に新著『マイナ保険証の罠(わな)』を出した経済ジャーナリストの荻原博子さんは「メンツ来秋の保険証廃止を変更できないのであれば、ここまで現行の保険証に近づいてきたのだから今の保険証を残せばいい」どうしても保険鉦廃止のメンツにこだわるというのなら、『資格確認書』と書いたシールを国民に配って、保険証に貼るよう呼びかけたらどうか」(^^)と述べています。
 レセプト(診療報酬明細書)情報反映されるまで受診から1~2ヵ月程度かかるという致命的弊害は、当面「お薬手帳」の活用で凌ぐしかないとも・・・。
 保険証の廃止で、日本が確立した国民皆保険の一画が崩れるようなことは絶対に許されない以上、政府はこの提案に耳を傾けるべきです。
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今の保険証残せばいい 資格確認書発行で新たな困難
  経済ジャーナリスト 萩原博子さん 
                   しんぶん赤旗日曜版 2023年9月10日号
 マイナンバトカードと健康保険証を一本化した「マイナ保険鉦」を国民に強要するため岸田政権は、来年秋に今の保険証を廃止しうとしています
 マイナ保険証を持たない人などに発行する「資格確認書」の見直しで保険証廃止の強行を狙う岸田文雄首相。しかし資格確経書と保険証とはまったく違います。

 

 

 

 

 

 

 

 

        資格確認書と保険証はこんなに違う

 

 

「当分の間」だけ必要なし

  申  請

必要なし

 

 

 

最長5年

有効期間

原則なし(被用者保険)

 

 

マイナ保険証を持たない人など

  対  象

全  員

 

 

 

 

 

 

 

 現在の保険証は、自治体や保険組合などW責任をもって、加入者である国民に届ける仕組みです。しかし資格確認書は、マイナ保険証を持たない人などに発行するため、自治体や保険組合に新たな負担や手間がかかります。
 8月に新著『マイナ保険証の罠(わな)』(文書新書)を出した経済ジャーナリストの荻原博子さんは語ります。
マイナ保険証を持たない人をどう特定するかが大変です。マイナ保険証を持っていてもトラブルにって使わない人もいます。ますます混乱してしまうことは目に見えています」
 岸田首相はなぜ、保険証廃止にこだわるのか。来年秋に保険証を廃止する改悪マイナンバー法は6月、自民・公明・維新・国民の「悪政4党連合」によって強行されました。
「来年秋の保険証廃止を変更するには、法律をまた変更する必要があります。一度法律で決めたというメンツもあるので、そう簡単にやめられないのでしょう。引くに引けない状況に陥っているのだと思います。ここまで現行の保険証に近づいてきたのですから、今の保険証を残せばいい」  矢守一英 記者

マイナ保険証 まるでコント 一本化で不便になる

トラブル続出
・本人確認で暗証番号が分からない、別人を顔認証、別人の医療情報ひも付けも
・保険証として使えない…約77万人がマイナンバーとひも付かず(厚生労働省調査)
・窓口負担が連う(高齢者1割が2割など)…693医療機関(全国保険医団体連合会
 調査)

どこが「便利」
・医療情報の反映まで1ヵ月以上かかるケースも。「お薬手帳」の方が便利
・マイナ保険証は5年で更新必要。忘れたら「無保険」扱いの危険
・一部医療機関の受診時にマイナ保険証と「資格情報のお知らせ」の両方を持参
・マイナンバーカード申請で、重度障害者は成年後見人を立てるよう求められる

 マイナ保険証をめぐるトラブルは後を絶ちません。埼玉県所沢市では自分に給付されるはずだった医療・介護関連の給付金約6万円が、別人に振り込まれていたという事例も起きました。別人のマイナンバーが誤登録されたのは後期高齢者医療制度に加入する80代の女性。市からの通知に見知らぬ金融機関の情報が記載されていたため、ミスが発覚しました。経済ジャーナリストの荻原博子さんが怒ります。
「これはひどい話です。家族が気づかなかったら、本人あてに振り込まれるはずのお金が、ずっと他人の口座に振り込まれ続けるという恐ろしい事態になったかもしれません」
 マイナ保険証で本人確認ができないために、患者が医療機関の窓口で医療費の10割を請求されるケースが相次ぎました。
「かろうじて高齢者らが医療を受けられているのは、保険証があるからです。ある医師から聞いた話ですが、高齢の患者さんが『不便な世の中になりますね』と話していたというのです。コントのような話ですよね。やはり、保険証の廃止は阻止し、現行の保険証を残さなければならないと思います」

「お薬手帳」の方が早くて便利
 政府はマイナ保険証の便利さを宣伝していますが・・・
「例えば、マイナ保険証なら医療・投薬情報がすぐ分かるといいます。今のところ、マイナポータル(自分専用のサイト)に掲載され、患者が同意すれば医師らも閲覧できるデータは、主にレセプト(診療報酬明細書)情報です。しかし、この情報が反映されるまで受診から1~2ヵ月程度かかります。これで本当に正確なデータに基づいて治療ができるのか疑問です。リアルタイムでどんな薬を処方してもらっているのかが分かる『お薬手帳』の方がはるかに有効です」
 岸田政権が国民にマイナンバーカードを押し付ける背景に、財界の要求もあります。
財界にとって、のどから手が出るほど欲しいのは、個人情報のパッケージです。それを可能にするのがマイナポータルです。マイナポータルに集まった個人情報の民間事業者による『利活用』が拡大すれば、漏えいや不正利用の危険が拡大します。デジタル化自体は悪くはないと思っていますが、日本のデジタル化の実態は、マイナ保険証に象徴されるように、あまりにも粗雑です。他人に情報が見られる危険など、安全性にも大きな問題があります」 マイナ保険証は5年ごとの更新が必要です。「申請、更新」を忘れたり、できなかったりしたら、保険料を払っていても「無保険」扱いされ、保険医療が受けられなくなってしまいます。国民皆保険制度の変質です。「日本が60年かけて培ってきた国民皆保険制度は、住んでいるところや収入に差があっても、等しく医療が受けられるようにするものです。それを、マイナンバーカードが崩壊させるなどということはあってはなりません。どうしても保険鉦廃止のメンツにこだわるというのなら、『資格確認書』と書いたシールを国民に配って、保険証に貼るよう呼ぴかけたらどうですか

財界の狙いは個人情報 日曜版が報道 メディア注目
        「納期守れ」経済同友会の新浪代表幹事発言に怒り
 岸田政権はなぜ来年秋の保険証廃止を撤回しないのか-。保険証廃止を執ように求めてきた震源地″は日本経済団体連合会や経済同友会などの財界でした。
 この事実を財界の提言や関係者の発言などをもとに報じた日曜版(7月9日号)の記事が反響を呼び、各メディアも取り上げています。SNSなどでも怒りの声が相次ぎました。
 日曜版が報じた後、注目されたのは、経済同友会代表幹事・新浪剛史氏の発言です。6月28日の記者会見で飛び出しました。
「ミスが起きると後戻りしていたら、遅れを取り戻せない。保険証廃止は必ず実現するよう、これ(来年秋)を納期としてやっていただきたい」
 これは、保険証の廃止の期日を「納期」と見立てて廃止の期日を守れ″と岸田政権に念押ししたものでした。
 東京新聞(8月15日付)は、「来秋保険証廃止『納期守れ』の怪 同友会・新浪氏の発言波紋」と題したリポートを掲載しました。6月28日の記者会見での新浪氏の発言と、その背景にある財界の動きを指摘し、「あたかも財界が政府に保険証廃止を発注し、その紬期を守れと言っているよにみえる」とじています。
 日曜版の記事では、マナンパーカードの強要と険証の廃止を求めてきた財界の10年来の動きを追跡。2021年4月には、当の経団連会長と新浪氏らが政府の経済財政諮問会議で「各企業の健保組合において、単独の健康保険証交付をとりやめ、(マイナンバーカードと)完全な一体化を実現すべき」だと提言たことも指摘しました。
「東京」の記事では、「21年の経済財政諮問会議では経団連会長(当時)らが健康保険証の単独交付をりやめ、マイナカードヘの『完全な一体化を実現すべき』と求めた」と紹介しいます。

すでに事業に3兆円投入
 マイナンバー制度の関連費用(システム整備やカード交付経費など)は1928億円(2013~22年度)にのぼることが明らかになりました。日本産党の伊藤岳参院議員に対し、デジタル庁が回答したもの。さらに政府はマイナポイント事業(1人最大2万円分)に2兆円余を計上。これだけで合わせて3兆円を超えます