2023年9月25日月曜日

官房機密費 公金私物化 深まる疑惑 毎年きっちり12億3千万円台

 領収書が不要で内閣の「ヤミ金」と呼ばれる内閣官房機密費(報償費)の支出額が、11年連続して毎年予算額一杯の123000万円台でそろっていることが、しんぶん赤旗の情報公開請求でわかりました。
 その9割が官房長官一人で使われていて、「当面の任務と状況に応じて機動的に使用する」筈の機密費が、実際には毎年ほとんど使い切られておりきわめて不自然な形です。
 政治資金問題に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授は、
毎年、官房機密費の予算使い切ることがずっと続いていることは極めて問題で、歴代の自民党政権が公金を私物化し、違法な目的外支出をしている疑いを強く抱かせます。
 仮に官房機密費の使途がすぐに公開できないとしても、何年か後には公開して検証ができるようにすべきです」と述べています。
 関連記事(しんぶん赤旗)
  (22.2.9 官房機密費「政策推進費」“領収書不要金”菅前内閣12・4億円
  21.2.10官房機密費 つかみ金に多額の税金やめよ
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官房機密費 公金私物化 深まる疑惑
毎年きっちり12億3千万円台 3月支出急増 返納計91万円
                       しんぶん赤旗 2023年9月24日
自民3内閣
 領収書が不要で内閣の「ヤミ金」と呼ばれる内閣官房機密費(報償費)の支出額が、11年連続して毎年12億3000万円台でそろっていることが23日、本紙が情報公開請求で入手した資料でわかりました。官房機密費の毎年の予算額は12億3021万円で、一般の予算と異なり事前に使途が決められていません。歴代政権は「当面の任務と状況に応じて機動的に使用する」と説明しながら、実際には毎年ほとんど使い切っており、きわめて不自然な形です。(矢野昌弘)

 本紙が情報公開で入手した資料を集計したところ、第2次安倍晋三内閣発足以降の2012年度から22年度までの11年度分の支出はすべて毎年12億3000万円台に集中していました。
 最もギリギリまで使いきったもので16年度(第2次安倍内閣)の12億3019万円余で、最も使い残したものでも12億3001万円余(岸田文雄内閣、21年度)でした。年度ごとの支出額のばらつきがほとんどありません。
 12年12月から今年6月までの10年半で支出した官房機密費は、総額129億円にのぼります。一方、この期間に使い切ることなく国に返納した官房機密費は、合計でわずか91万円でした。

 官房機密費の内訳は「政策推進費」「活動関係費」「調査情報対策費」です。「政策推進費」は、官房長官だけが扱う資金。官房長官しか使途を知らない、“ヤミ金の中のヤミ金”といえます。今年6月までの10年半で「政策推進費」に120億円を支出。官房機密費全体の92・8%を占めています。
 その他の支出である「活動関係費」「調査情報対策費」には、官邸の職員が事務補助者として出納に関わります。

 開示された資料によると、いずれの年も3月に支出が急増。年度末に駆け込みで予算消化をしている形です。
 岸田内閣の松野博一官房長官の場合は、22年3月に1億8930万円を「政策推進費」に支出していました。他の月の倍近い支出でした。
 前任官房長官の加藤勝信氏や菅義偉氏も同様に3月に「政策推進費」を、それまでの月と比べて1・5倍ほどに増やしていました。毎年3月に多額の官房機密費が必要な事態が起きるというのはあまりにも不自然です。
 公金であるのに支出先や支出目的、領収書の提出を会計検査院から求められることがない官房機密費。領収書不要を隠れみのにした公金の私物化が強く疑われます。


















官房機密費の10年半 情報公開し私物化なくせ
  神戸学院大学教授 上脇博之さんに聞く 
                        しんぶん赤旗 2023年9月24日
 第2次安倍晋三内閣が成立して 以降の10年半で、官房機密費(報償費)から自公政権のどんな姿勢が見えてくるのか。官房機密費の情報公開を求める裁判の原告で、2018年に最高裁で文書の一部開示を勝ち取った神戸学院大学の上脇博之教授に聞きました。

 この10年半で、官房機密費のうち官房長官人だけが扱う「政策推進費」が機密費の9割を占めています。要するに収支を官邸の職員が確認しているお金が―割にも満たないことになります。
 また毎年、官房機密費の予算枠ギリギリまで支出しています。本当に必要性があって支出したというよも、「とにかく予算をできるだけ使い切ろう」と考えてのことではないかと言わざるをえません。持ち逃げに近いものです。
 官房機密費は「当面の任務と状況に応じて機動的に使用する」経費だと政府は説明していますが、実際には、目的外支出となっている可能性があります。とくに、使い切ることが一時的でなく、ずっと続いていることは極めて問題です。
 2019年の参院選広島選挙区での大規模買収事件で、河井克行元法相=服役中、自民党離=の自宅から安倍晋三首相ら自民党幹部4人か700万円の現金を受け取った疑いを示すメモが出てきたと「中国新聞」が報じました
 メモの中に「すがっち500」との記載がありました。これは当時、官房長官だった菅義偉前首相から500万円が出されたことを示すとみられています。
 菅氏の政治団体から河井元法相側に500万円の支出があったとの記載が、政治資金収支報告書にないといいます。私は、この資金の原資が官房機密費の可能性すらあると考えています。
 官房機密費の支出の仕方をみていると、歴代の自民党政権が、公金を私物化し、違法な目的外支出をしている疑いを強く抱かせます。こういう税金の使い方をなくすには、やはり情報公開しかない。
 仮に官房機密費の使途がすぐに公開できないとしても、何年か後には公開して検証ができるようにすべきです。