2023年9月18日月曜日

神宮外苑再開発 「国際的遺産損失」 イコモス専門家 計画撤回訴え

 樹木3000伐採を含む神宮外苑再開発を認可した東京都に対して、ユネスコ諮問機関のイコモス(国際記念物遺跡会議)の専門家が15日、千代田区の日本記者クラブで会見し、再開発計画を撤回するよう改めて訴えました。
 リモートで発言したイコモスのエリザベス・文化的景観委員長は、イコモスが7日発表した外苑再開発に対する文化遺産危機警告について「最大限の懸念を全世界に向け表明したものだ」と強調し、外苑再開発の環境影響評価手続きで「科学的とは言えない手法を用いた結果が盛り込まれ、市民にほとんど情報提供もないまま、手続きが進められた」と指摘しました。

 共産党都議団は15日、イコモスが、神宮外苑地区再開発事業の撤回を緊急要請したことをうけ、同開発を中止するよう小池百合子知事に申し入れました。
 同党都議団は、8日の記者会見で知事が「アセスについては条例・答申に従って適切に手続きをして進めている」と発言したことを批判し、イコモスの警告を重く受け止めるべきだと指摘し、超高層ビル建設については地元住民からも強い疑念が寄せられていると述べました。しんぶん赤旗の2つの記事を紹介します。
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東京 神宮外苑再開発 「国際的遺産損失」 イコモス専門家 計画撤回訴え
                       しんぶん赤旗 2023年9月16日
 樹木3000本を伐採するとして文化人や専門家らが上げている批判の声を無視して東京都が施行認可した神宮外苑再開発に対し、ユネスコ(国連教育科学文化機関)諮問機関のイコモス(国際記念物遺跡会議)の専門家が15日、東京都千代田区の日本記者クラブで会見し、再開発計画を撤回するよう改めて訴えました
 リモートで発言したイコモスのエリザベス・ブラベック国際学術委員会文化的景観委員長は、イコモスが7日発表した外苑再開発に対するヘリテージ・アラート(文化遺産危機警告)について「国際的な遺産が再開発で失われかねないことに、最大限の懸念を全世界に向け表明したものだ」と強調。外苑再開発の環境影響評価手続きで「科学的とは言えない手法を用いた結果が盛り込まれ、市民にほとんど情報提供もないまま、手続きが進められた」と指摘し、さまざまな利害関係者が参加できる対話の場を設けるよう訴えました。
 ブラベック氏はまた「世界全体が気候変動で苦しむ中、遺産ともいわれる貴重な都市の森が損なわれかねない。植林すれば補えるというものではない」と語りました。
 日本イコモス国内委員会の岡田保良委員長は「日本イコモスの要請を受け、国際イコモスは異例の速さで全世界にアラートを発信した」と強調しました。


東京 神宮外苑再開発 都はイコモス警告重く受け止めよ 知事に党都議団
                        しんぶん赤旗 2023年9月16日
 日本共産党都議団(大山とも子団長、19人)は15日、ユネスコ(国連教育科学文化機関)諮問機関のイコモス(国際記念物遺跡会議)が、神宮外苑地区再開発事業の撤回を緊急要請したことをうけとめ、同開発を中止するよう小池百合子知事に申し入れました。


(写真)記者会見で神宮外苑再開発計画の撤回を求めるイコモス関係者ら=15日、東京都千代田区の日本記者クラブ





 イコモスは東京都に対し「永久に市民が公園を使用する権利を剥奪したという重大事に鑑み、都市決定計画の見直しを行い、環境アセスメントの再審を行うべきである」としています。
 党都議団は、8日の記者会見で知事が「アセスについては条例・答申に従って適切に手続きをして進めている」と発言したことを批判し、イコモスの警告を重く受け止めるべきだと指摘。また、超高層ビル建設については地元住民からも強い疑念が寄せられていると紹介しました。
 2月に周辺住民らが提訴した「神宮外苑再開発取り消し訴訟」で原告は、都市計画法違反を訴えています。

 著名人らも再開発に反対を訴え、イコモスの要請を受け世界中から都がどう判断するのかが注視されていると訴えました。
 申し入れ書を受け取った中村倫治副知事は「行政ですので法令にのっとって対応する。各所管に伝えます」と話しました。党都議団は重ねて中止を求めました。








(写真)中村副知事(中央)に申し入れを行う(左から)尾崎あや子、原純子、和泉なおみ、大山、原田あきら、里吉ゆみ各都議=15日、東京都庁