2023年9月23日土曜日

都倉俊一文化庁長官 勝共連合系映画の音楽を担当

 作曲家で文化庁長官の都俊一氏が、統一協会の政治組織「国際勝共連合」による「スパイ防止法」制定運動の一環として1987年に製作された映画で音楽を担当していたことがしんぶん赤旗の調べで分かりました。

 都倉氏は、勝共連合が1984年に日本武道館で開いた大規模集会に参加し、同連合の機関紙「思想新聞」に絶賛するコメントを寄せ、同年には「思想新聞」にコラム(計13回)を連載しました。
 都倉氏が音楽を担当した映画は2008年にDVD化され、同年6月の『週刊新潮』のコラムで、都倉氏はこの映画について「製作費は潤沢で音楽制作予算もいつもより多く、私も驚いたほどである」と述べています。
 共産党の宮本岳志衆院議員は20日、文化庁の担当者に事実関係を確認し、「DVDの出版元である勝共連合の関連団体『スパイ防止法制定促進国民会議』と著作権に関するやりとりがあったはずだ」と指摘し、同団体との関係も含めて都倉氏が説明責任を果たすよう求めました。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
徹底追及 統一協会
勝共系映画 音楽を担当 国家機密法制定狙う運動加担
     87年の霊感商法急拡大時 現文化庁長官
                       しんぶん赤旗 2023年9月18日
 作曲家で文化庁長官の都俊一氏(75)が、統一協会(現世界平和統一家庭連合)の政治組織「国際勝共連合」による「スパイ防止法」(国家機密法)制定運動の一環として1987年に製作された映画で音楽を担当していたことが17、本紙の調べで分かりました。当時は霊感商法の被害が急拡大した時期でもあり、都氏の説明責任が問われます。
                                (統一協会取材班)

 87年6月23日、東京商工会議所のホールに約600人を集めて上映会が開かれました。映画のタイトルは「暗号名 黒猫を追え!」。岸信介元首相が会長を務めた「スパイ防止のための法律制定促進議員・有識者懇談会」とスパイ防止法制定促進国民会議が共催しました。同会議は2008年に映画をDVD化して宣伝・販売。出演者やストーリーをホームページに掲載し、その中で「音楽は都俊一氏が担当」と紹介しています。

法案の復活へ製作
 自民党は↑985年の通常国会に最高刑を死刑とした法案を提出しましたが、出版・言論・報道の自由を侵害するとの批判が広がるもとで廃案に追い込まれました。
 巻き返しを考えた勝共連合の河西徹事務総長(当時)は機関紙「思想新聞」(88年1月1日付)で、法制定運動を広く国民に理解してもらえるように映画を作ったと説明。全国で「一大上映運動」を展開したと報告しています。紙によると、87年6~1月にかけて少なくとも70回の上映会が聞かれています。
 都倉氏は『週刊新潮』(2008年6月26日号)のコラムで、映画を詳しく紹介。監督の井上梅次氏から連絡を受けて「音楽を担当することになった」と振り返っています。スパイ防止法の制定を推進する映画だったことは「あとで知った」とした上で、こう述べています。
「自民党を中心に何とかこの法律を復活させたいという思いがあり、その支持組織からもこの映画の製作に援助があったらしい。そういう意味では製作費は潤沢で(中略)音楽制作予算もいつもより多く、私も驚いたほどである」

個人活動と言うが
 映画が製作された当時は、霊の恐怖をあおって高額なつぽや印鑑を売りりける霊感商法が大きな問題になり、統一協会の反登社会的な実態も知られていました。
 本紙の質問状に対し、文化庁は「映画に関しては約40年前のことであって、製作者から依頼され、作曲家の仕事として受けた個人としての活動であり、その後、ご指摘のいずれの団体とも一切関係を持っていないとのことです」と回答しました。報酬については答えず「現在の文化行政のいかなる業務にも何ら影響を与えておりません」と述べています。
 統一協会の被害者救済に取り組む渡辺博弁護士は「勝共連合の創始者は統一協会の開祖・文鮮明であり、組織的に一体であることは明らかです。個人の活動だとしても問題がないとは言えない」と指摘しています。


都倉長官の説明求める 勝共連合と接点 文化庁に宮本岳志氏
                       しんぶん赤旗 2023年9月21日
 作曲家で文化庁長官の都倉俊一氏(75)に統一協会(現・世界平和統一家庭連合)の政治組織「国際勝共連合」との接点が浮上した問題で、日本共産党の宮本岳志衆院議員は20日、文化庁の担当者に事実関係を確認しました。
 都倉氏は、勝共連合が1984年10月に日本武道館(東京都千代田区)で開いた大規模集会に参加し、同連合の機関紙「思想新聞」に絶賛するコメントを寄せていました。
 同年には同新聞にコラム(計13回)を連載し、国家機密法(スパイ防止法)制定運動の一環で87年に製作された映画の音楽を担当していたことも分かっています。

 宮本氏は、謝礼や原稿料を含めた報酬の有無について解明する必要があるとして「仕事であれば対価が支払われていたと考えられるが、無報酬なら趣旨に賛同してボランティアで引き受けたことになる。いずれにしても問題だ」と強調しました。
 同庁宗務課の担当者は、本紙の取材や宮本氏の問い合わせを受けて、都倉氏から聞き取ったとして「約40年前のことで、当時の記憶が定かではないという答えだった」と説明しました。
 都倉氏が音楽を担当した映画は、2008年にDVD化されました。同年6月の『週刊新潮』のコラムで都倉氏は、この映画について「製作費は潤沢で(中略)音楽制作予算もいつもより多く、私も驚いたほどである」と述べています。
 宮本氏は「DVDの出版元である勝共連合の関連団体『スパイ防止法制定促進国民会議』と著作権に関するやりとりがあったはずだ」と指摘し、同団体との関係も含めて都倉氏が説明責任を果たすよう求めました


文化庁トップの都倉俊一長官まで旧統一教会とずぶずぶ…まさかの黒歴史「記憶が定かではない」で済むのか
                          日刊ゲンダイ 2023/09/22
岸田首相が政権浮揚を期待した内閣改造・自民党役員人事で、かえって浮き彫りになったのが自民党と旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との距離だ。教団と関わりのあった「待機組」を4人も初入閣させ、ベッタリの萩生田政調会長を留任。
解散命令請求の本気度が怪しまれる中、詰めの作業を進めているはずの文化庁トップの都倉俊一長官の癒着まで判明した。3月末で任期満了だった都倉氏を続投させたのは岸田首相が世論をナメているのか、鈍さ全開なのか。
「ペッパー警部」などを手がけた作曲家として知られる都倉氏の「黒歴史」を暴いたのは、共産党の宮本岳志衆院議員。

■講演ベタ褒め、機関誌に連載も
その内容を報じたしんぶん赤旗(6日付)によると、都倉氏は教団の政治団体「国際勝共連合」が1984年に開いた集会に「芸能界の来賓」として参加。勝共連合の機関紙「思想新聞」の取材を受け、旧統一教会初代会長も務めた久保木総裁の講演について「非常に感銘を受けましたよ。全く同感ですね」などと絶賛したほか、同紙に連載コラムを持っていた

さらに赤旗(18日付)は、勝共連合が「スパイ防止法」(国家機密法)の制定運動の一環として87年に製作した映画「暗号名 黒猫を追え!」の音楽を都倉氏が担当していたと報道。スパイ防止法は岸信介元首相が固執していた法制度で、孫の安倍元首相が特定秘密保護法として2013年に成立した。教団の霊感商法は80年代には社会問題化していたし、勝共連合の実態を知らなかったとすれば、文化人の名折れだが──。
「約40年前のことで長官自身の記憶が定かではないとのことですが、映画に関しては作曲家として受けた仕事との認識で、その後は団体とは一切関わっていないとのことです」(文化庁宗務課)

文化庁は長官就任前に勝共連合との関わりを把握していたのか。
「そもそも、長官自身が記憶が定かではないと言っておりますので……」(文化庁宗務課)
都倉氏が任命されたのは菅政権下で、21年4月に任期2年で就任した。
「都倉さんが安倍元首相、菅前首相と近いのは周知の事実。菅前首相は官房長官時代から霞が関の人事を掌握していたので、前任の宮田亮平元東京芸大学長からオトモダチ人事の色がアリアリでした。文化庁長官は長らく官僚の指定席で、事務次官級ポストだった。〈文化人がやるべき〉という小泉元首相の鶴の一声で民間人起用にシフトしましたが、人選は文科省に一任。それで就任したのが京大名誉教授の河合隼雄さんだった。政治任用は第2次安倍政権以降です」(霞が関関係者)

■公平性に疑念
事実上、教団に対する生殺与奪権を握る文化庁のトップが対象とずぶずぶでは、公平性に疑念が生じる。安倍・菅路線を踏襲する岸田首相は首切りくらいお茶の子さいさいなのに、これまた内向き人事なのか。