2023年9月16日土曜日

国と裁判官がグルという現実(植草一秀氏)

 裁判所「法の番人」ではなく「政治権力の番人」であることは植草一秀氏がかねてから述べているところです(直近では9月6日あまり意味がない最高裁の判断(植草一秀氏))。
 18年に自殺した近畿財務局職員赤木俊夫さんの妻が、財務省が検察に提出した一連の資料を開示するよう求めた裁判で、大阪地裁は14日、「佐川氏への捜査で検察に任意提出された文書が明らかになると公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると判断たのには、相当な理由がある」と国の主張を認め、「不開示は適法」として雅子さん側の訴えを棄却しました。
 ショックで法廷の椅子から崩れ落ち雅子さんでしたが、その後報道陣に対して
「あまりに酷い判決でした。理由が国の主張通りでした。国と裁判官はグルなのでしょうか。判決理由を聞いているとショックで耳に膜がかかったようになりました。控訴はします」と語りました。
 ここまで司法が政府にベッタリなのを見せつけられるとさすがに白けます。
 植草氏は、それは「最高裁長官は内閣が指名し、長官以外の裁判官は内閣が任命する。下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によって内閣が任命する」システムになっているからで、裁判所は紛れもなく政治権力の支配下に置かれていると述べています
 裁判所に対して不信の念を抱かざるを得ないのは政治的案件だけに留まりません。日本では検察から告訴されると、被疑者(被告)は99%以上の確率で有罪になっています。
「裁判所の門をくぐる者は全ての希望を捨てよ」と言われる所以です。
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国と裁判官がグルという現実
               植草一秀の「知られざる真実」 2023年9月15日
森友学園をめぐる財務省の公文書改ざん(=虚偽公文書作成)問題で、自殺した近畿財務局職員赤木俊夫さんの妻が、財務省が検察に提出した一連の資料を開示するよう求めた裁判で、大阪地裁は9月14日、妻の訴えを棄却した。

近畿財務局の職員だった赤木俊夫さんは、森友学園との土地取引をめぐる公文書の改ざん(虚偽公文書作成)を指示され、2018年に自殺した。
妻の雅子さんが2021年、財務省が検察に提出したとされる改ざんに関する資料について開示請求したが、「捜査に支障を及ぼす」などとして、書類の有無を含め不開示とされた。
このため、妻雅子さんが一連の資料の開示を求めて提訴した
大阪地裁は14日の判決で
「佐川氏への捜査で検察に任意提出された文書が明らかになると公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると判断したのには、相当な理由がある」
国の主張を認め、「不開示は適法」として雅子さん側の訴えを棄却した

判決が示された法廷では判決を不服とする怒号が上がり、騒然としたと報じられている。
また、判決を聞いた妻雅子さんは椅子から崩れ落ち、立てなくなったと報じられた。
その後、雅子さんが報道陣に以下のコメントを出した。
あまりに酷い判決でした。理由が国の主張通りでした。国と裁判官はグルなのでしょうか。判決理由を聞いているとショックで耳に膜がかかったようになりました。控訴はします。

裁判所を「法の番人」と考える者が多いが、実態は異なる。
裁判所は「法の番人」ではなく「政治権力の番人」である。
裁判所が不正な判断を示すことが、この国では横行している。
刑事司法が不正な国、裁判所が不正な国は「暗黒国家」である。
日本は間違いなく暗黒国家である。

裁判所の不正はこの事案の判断に限るものでない。
最近の事例でも、沖縄県名護市の辺野古における米軍基地建設に関して軟弱地盤改良工事の設計変更を承認しなかった沖縄県に対する国交相の是正指示は違法だとして取り消しを求めた裁判で、最高裁は9月4日に県側の上告を棄却した
また、6年前に野党議員が憲法の規定に基づいて臨時国会の召集を求めたのに当時の安倍内閣が3ヵ月余りにわたって国会を召集しなかったことは憲法違反であるとして国を訴えた裁判で、最高裁は9月12日、憲法違反かどうかの判断をせずに上告を退ける判決を示した

基地建設の設計変更を承認するかどうかの権限は沖縄県にある
沖縄県に対する国交相の是正指示は違法であるとの沖縄県の主張は適正。
しかし、最高裁は国の主張の側に立った。
憲法は国会召集の義務を定めている。内閣が国会召集の義務を果たさないのは憲法違反であることは明白。だが、最高裁は議員の訴えを退けた

裁判所は「法の番人」ではない。裁判所は「政治権力の番人」なのだ。
なぜこのような現実が生じてしまうのか。原因は日本国憲法にある。
日本国憲法第76条は
第76条 
3 すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される
と規定しているが、この条文は空文化してしまっている
理由は日本国憲法の以下の条文にある。
第6条
2 天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。
第79条
最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成し、その長たる裁判官以外の裁判官は、内閣でこれを任命する。
第80条
下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によつて、内閣でこれを任命する。
その裁判官は、任期を十年とし、再任されることができる。(後略)

最高裁長官は内閣が指名し、天皇が任命。最高裁の長官以外の裁判官は内閣が任命する。
下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によって内閣が任命する。
裁判所裁判官の人事権を内閣が握っている。
内閣が内閣の意向に沿う判断を示す者を最高裁裁判官に任命するから最高裁は内閣の意向に沿う判断を示す。裁判所は紛れもなく政治権力の支配下に置かれている

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