2023年9月25日月曜日

25- 戦争で大金を儲ける連中は大いに病んでいる社会の兆候

 掲題の記事が「マスコミに載らない海外記事」に載りました。ウクライナ戦争の余波でドイツやフランスが没落しかかっているのは伝えられていますが、イギリスがそうでないのは分かりにくいことでした。

 イギリスは武器輸出で大儲けをしていて、22年には倍増したということです。米国が更に格段の大儲けをしていることは言うまでもありません。世界規模では軍事費は今後5年間に毎年4%増加し続けるということです。
 一方で、ウクライナの閣僚のフトコロには巨額なマネーが温存されているという噂も流れています。哀れなのはそうした陰で亡くなった50万人ウクライナ兵士です。
 「マスコミに載らない海外記事」を紹介します。
 併せて櫻井ジャーナルの記事:「各国から主権を奪い、私的権力が支配するファシズム世界の樹立を国連は目指す」を紹介します。
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戦争で大金を儲ける連中は大いに病んでいる社会の兆候
               マスコミに載らない海外記事 2023年9月24日
                  ケイトリン・ジョンストン 2023年9月20日
 「戦争は事業にとって良いことだ。」
 ヨーロッパ最大の武器見本市、2年ごとのDSEI防衛・安全保障装備インターナショナル展示会に関する最近のロイター記事「ロンドンの兵器見本市では世界的な戦争への恐怖は事業にとって追い風」の兵器業界幹部発言は、そういうことだ。ロイター記事の見出しに影響を与えた戦争で大もうけしている人物の名を挙げていないと知っても、おそらく驚かれるまい。
 この記事はウクライナでの戦争と台湾での瀬戸際政策が軍産複合体の利益急増につながっている様子を説明しており、イギリスは2022年に武器輸出が倍増し、世界の軍事費は今後5年間毎年4%増加し続けると予想されている。ストックホルム国際平和研究所によるとヨーロッパの軍事費は2022年だけで13%増加し、世界総支出は史上最高224兆ドルに達した。
 「我々は実に多忙だ」と大喜びの装甲鋼板企業の営業責任者はロイターに語った。
 戦争は事業にとって良いことで、更に良くなると期待されている。世界最大の兵器製造企業ロッキード・マーティンは昨年納税者が支援する自社株買いに助けられて、株価がなんと37%上昇しロッキード・マーティン:今後も巨大成長」という題の記事で、先月ロッキードの巨額利益は上昇し続けるとアルマ・ストリート・キャピタルの投資アナリストが予測した。現在の政治的雰囲気の中、エスカレートする地政学的緊張を「ロッキードマーティンが活動できる最も有利な条件」と呼び、筆者は次のように書いている。

「世界中の政府は、世界中で高まる地政学的緊張の下、防衛と安全保障の予算を増やしている。アメリカ政府も例外ではない。アメリカ政府最大の請負業者として、ロッキード・マーティンは国防予算増加の最大受益者になるに違いない。同社が既に第2四半期に前年同期比の純売上高成長率約8%に達しているのを考えると、マクロ経済状況の緩和とともに地政学的緊張の高まりにより、年末までに純売上高の二桁成長をすぐに達成できるとロッキード・マーティンは考えている。」

 したがってロッキードCEOジェームズ・タイクレットがアメリカ軍事予算の最近の引き上げを「我々業界や企業が望んでいるのと同じくらい良い結果だ」と述べたのも不思議ではない。多数の人間を殺すために兵器装備する政府から莫大な儲けが得られるのだ。
 「深刻に病んでいる社会にうまく適応するのは健康の尺度ではない」という有名な言葉があり、一般的にジッドゥ・クリシュナムルティに由来するとされているが、おそらくカート・ヴォネガットの息子マークが造語したものだ。死や苦しみや軍事大国間の非常に危険な瀬戸際政策行為から数十億ドルかき集める企業に関するこのような報道を読むたび常に「ひどく病んだ社会」という言葉が頭の中でガタガタ鳴るのに気づく。

 企業が戦争と軍国主義から利益を得るだけでなく、選挙献金ロビー活動影響力ある戦争挑発シンクタンクへの資金提供を利用して、実際それを更に推進するのが許される社会以上に病んだ社会を想像するのは困難だ。企業が外国人を家畜のように屠殺し、産業規模で利益を得るため臓器販売を許される場合と同じくらい邪悪だ。違うのは支払い方式だけだ。ところが、これをしている連中は、怪物のように檻に投げ込まれるのでなく、尊敬される雇用創出者として祝われている。
 これは我々がうまく適応するよう努力すべき類の文明ではない。政府に大量殺戮兵器器を売ると億万長者になれる社会にうまく適応するのは健康の兆候ではない。軍産複合体がメディアを通て情報を洗浄し、致命的製品や狙いを宣伝する社会にうまく適応するのは健康の兆候ではない。欧米が引き起こした代理戦争で、戦争利益を得る大企業が、戦争挑発に対する同意のでっち上げを助け、欧米の行動をマスコミに対して肯定的に紡ぎ出すシンクタンクに大金を注ぎ込みながら、莫大な四半期利益を享受できる社会にうまく適応するのは健全性の兆候ではない。

 この社会が軍産複合体のような堕落したものを生み出せるなら、それは我々が溶け込もうとすべき社会ではない。我々は場違いだと思うべき社会だ。他の皆が流れにそって泳いでいる中、我々が流れに逆らって泳ぐべき社会だ。他の誰もがイエスと言っている中、はっきりノーと言うべき社会だ。
 この社会は失敗可能な最大限まで、ものの見事に失敗している。我々はマインドコントロールされたディストピアに暮らしており、戦争で儲ける連中が公共政策を操り、グローバル資本主義の粉砕機に生物圏全体が送り込まれ、核ハルマゲドンに向かって急速に加速している。これは誰であれ設計可能な最も狂った文明だ。我々は可能な限り、これに対する反対意見と、それからの相違を模索するべきだ。

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記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2023/09/20/war-profiteers-are-a-sign-of-a-profoundly-sick-society/


各国から主権を奪い、私的権力が支配するファシズム世界の樹立を国連は目指す
                          櫻井ジャーナル 2023.09.25
 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はニューヨークへ乗り込み、9月19日に国連総会で演説した。ゼレンスキー政権の主張と事実の乖離を西側の有力メディアも認めざるをえなくなり、会場は冷たい雰囲気だった。

 その演説の翌日、パンデミックの予防、準備、対応(PPPR)に関する宣言を国連総会のダニエル・フランシス議長が承認した。この文書を起草した人物はパンデミック条約やIHR(国際保健規則)改正案を書いた人物と同じで、パンデミックを口実にして世界各国から主権を取り上げ、WHOを支配している私的権力が世界を支配する仕組みを作り上げようとしている
 こうした計画を立てている人びとはPPPR宣言を全会一致で採択しようとしたようだが、9月17日には宣言に反対する書簡がフランシス議長宛に出されている。署名した国はベラルーシ、ボリビア、キューバ、朝鮮、エリトリア、イラン、ニカラグア、ロシア、シリア、ベネズエラ、ジンバブエの11カ国だ。こうした国々の反対を無視、強引に議長が承認したのである。
 こうした政策を推進する勢力はしばしば「グローバル主義者」、あるいは「全体主義者」などと呼ばれるが、実態はシティやウォール街を拠点とする私的権力であり、1970年代から進められた「民営化」や「規制緩和」など新自由主義的な政策で急速に力を強めたのである。

 アメリカの第32代大統領、フランクリン・ルーズベルトは1938年4月29日、ファシズムについて、私的権力が国を凌駕する力を持ち、政府を所有している状態だと定義した。
 また、ベニト・ムッソリーニが1933年11月に書いた「資本主義と企業国家」によると、巨大資本の支配するシステムが「企業主義」で、それは資本主義や社会主義を上回るものだとしている。これが彼の考えたファシズムである。
 ルーズベルトやムッソリーニの定義によると、TPP(環太平洋連携協定)、TTIP(環大西洋貿易投資協定)、TiSA(新サービス貿易協定)とはファシズム協定だと言える。私的権力が支配するWHOに各国政府を凌駕する権力を与えるPPPRも世界をファシズム化する一環だ。「資本主義の大々的なリセット」も目的は同じである。
 強大な私的権力が支配する世界では強者へ富は流れていく。「富める者が富めば貧しい者にも富がしたたり落ちる」という「トリクルダウン理論」なるものは人びとをファシズムへ導く虚言にすぎない。

 この仕組みを成立させるため、全人類を監視、そして管理する仕組みを彼らは作り上げてきた。第2次世界大戦後、アメリカでは情報操作を目的とした「モッキンバード」プロジェクトは開始、市民を監視するためにFBIは1950年代からCOINTELPRO、CIAは1967年からMHケイアスを始めた。
 電子技術が飛躍的に進歩、アメリカの電子情報機関NSAが全ての通信を傍受、記録、分析するシステムを築く。そのNSAはイギリスの電子情報機関GCHQとUKUSA(ユクザ)を組織、その下にカナダ、オーストラリア、ニュージーランドの情報機関を従えた。いわゆる「ファイブ・アイズ」だ。イスラエルの8200部隊(ISNUとも呼ばれている)はNSAやGCHQと同等の立場で手を組んでいる。
 1965年4月に本格的な商業衛星インテルサット1号が打ち上げらたが、66年にNSAはPROSTINGというプログラムを始める。その中で西側の通信を傍受するためにNSAやGCHQが開発した地球規模の通信傍受システムがECHELON。ソ連の通信衛星をターゲットにしたプログラムはTRANSIEMTだ。(The Northwest Passage, Yakima Research Station (YRS) newsletter: Volume 2, Issue 1, January 2011 & Volume 3, Issue 7, July 2012)

 ECHELONの存在が明るみに出たのは1988年。ロッキード・スペース・アンド・ミサイルで働いていたマーガレット・ニューシャムが議会でそのシステムについて議員に話したのだ。彼女によると、NSAは共和党のストローム・サーモンド上院議員の電話を盗聴対象にしていたという。(Duncan Campbell, 'Somebody's listerning,' New Statesman, 12 August 1988)

 現在、米英の私的権力は「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)パンデミック」を演出、それを口実にしてデジタルI Dを世界に広めて人びとを監視する計画だ。チップ化し、将来的には脳に埋め込んで外部の巨大コンピュータと交信させると公言している。人間の端末化である。

 この計画の背後には、2015年9月に国連で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」がある。その中で示された「SDGs(持続可能な開発目標)」を実現するため、個人を特定するためのシステムに記録されていない人びとを管理する必要があるとされ、デジタルI Dの導入が進められることになったのだ。
 2016年5月には国連本部でどのように導入を進めるかが話し合われ、I D2020というNGOが設立される。このNGOにはマイクロソフトも関係している。

 WHOはPPPRの目的を「COVID-19のパンデミックから学んだ教訓を生かすこと」だとしているが、ロックダウンや「COVID-19ワクチン」の強制接種に失敗したことを反省しているのだろう。ロックダウンはソフトな戒厳令であり、監視システムの強化や生活のデジタル化は社会の収容所化にほかならない。強制接種は人びとに毒物を注入し、免疫システムを破壊することを意味する

 PPPRによって各国政府、もちろん人びとの意思に関係なく、私的権力の計画通りにことを進めたいのだろう。こうした彼らの計画を「カネ儲け」の視点だけから見ることは危険だ。