2024年9月16日月曜日

“自爆”ドローン310機導入へ ガザ虐殺加担 イスラエル製が選択肢

 しんぶん赤旗に掲題の記事が載りました。
 防衛省は25年度概算要求で、地上の標的を自動飛行して攻撃する小型無人攻撃機の取得費30億円を初計上しました。同省は約310機の購入を計画し、イスラエル製を有力な選択肢にあげていることがわかりました。
 そもそも攻撃型ドローン自体が「専守防衛」から逸脱するものですが、それを購入してイスラエルの「死の商人」を潤すことは、海外の学生や市民たちが、イスラエル軍への資金の提供、兵器の供与や輸出に反対している運動に、真っ向から反するものです。

 イスラエル軍によりパレスチナ難民救済事業関(UNRWAの職員が13日・14日の両日で7人が、ガザでは14日にパレスチナ21人が死亡しました。

 スペイン13日ガザ戦争終結の道に関するイスラム諸国と欧州諸国の高官級会合開催されました。スペインのアルバレス外相は、パレスチナの国連加盟をはじめとして「2国家解決を効果的に実施する明確な計画へ前進するための明確な意志」が出席者の聞にあったと述べました。これまでパレスチナ国家を承認したのは国連加盟193カ国のうち146カ国となりました。

 しんぶん赤旗の記事を紹介します。
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“自爆”ドローン310機導入へ ガザ虐殺加担 イスラエル製が選択肢
                    しんぶん赤旗 2024年9月15日
防衛省概算要求
 防衛省は2025年度概算要求で、地上の標的を自動飛行して攻撃する小型無人攻撃機(攻撃型ドローン)の取得費30億円を初計上しました。同省は約310機の取得を計画し、イスラエル製を有力な選択肢にあげていることがわかりました。イスラエル軍は自国製の攻撃型ドローンをパレスチナ・ガザ地区攻撃の主力兵器として使用しています。ジェノサイド(集団殺害)に武器を供給する「死の商人」を潤すことは、国際法違反の殺りくに事実上、加担することになります。日本政府の姿勢が問われます。
 防衛省が導入を検討している機種は、爆弾を内蔵し、標的に突撃して破壊する「自爆型」です。対戦車ヘリや戦闘ヘリを縮小・廃止し、その機能を移管する方針です。

購入すれば「死の商人」潤す
 日本共産党の山添拓参院議員が行った聞き取りで防衛省は、取得は一般競争入札を通じて行われると説明。これまでに運用実証を行った5機中4機がイスラエル製で、エルビット・システムズ、IAI、Uビジョンの3社が含まれています。とりわけ、エルビット・システムズはイスラエル軍が使用するドローンの85%を占めています。
 伊藤忠商事は同社と契約を結んでいましたが2月、国際司法裁判所(ICJ)が同地区でのジェノサイド防止の暫定措置命令をイスラエルに出したことを踏まえ、契約を打ち切りました。しかし防衛省は、エルビット・システムズも一般競争入札から「排除しない」としています。

 イスラエル軍はガザ地区でドローンを大量に投入。侵攻を開始した2023年の10~11月に犠牲者の90%がドローンで殺害されたとの指摘もあります。
 武器取引反対ネットワーク(NAJAT)の杉原浩司代表は、そもそも攻撃型ドローン自体が「専守防衛」から逸脱するもので、導入の必要はないとした上で、「大量虐殺に武器を供給し、利益をあげている企業のものを選択肢に挙げること自体が虐殺容認のメッセージになる」と指摘。「最低限、イスラエル製は排除すべきだ」と批判しました。


UNRWA職員を射殺 ヨルダン川西岸 イスラエル軍作戦中
                       しんぶん赤旗 2024年9月16日
【カイロ=時事」国パレスチナ難民救済事業関(UNRWA)は13日、占領地ヨルダン川西岸北部のパレスチナ難民キャンプで前日早朝、男性職員が狙撃手によって射殺されたと発表しました。当時、イスラエル軍が急襲作戦を行っていました。地元メディアによるとは、男性が爆発物を投げたため応戦したと説明しました。
 UNRWAは、西岸での職員殺害は10年以上ぶりだと指摘。「前例のないレベルの暴力」により西岸が危映にさらされていると訴えました。
 パレスチナ自治区ガザでは、11に行われたイスラエル軍の空爆でUNRWA職員6人が死亡。イスラエルはこのうち3人がイスラム組織ハマスの戦闘員だと主張しています。


ガザ空爆 21人死亡
                       しんぶん赤旗 2024年9月16日
【カイロ=時事AFP通信は14日、パレスチナ自治区ガザヘのイスラエル軍の空爆で計21人が死亡したと報じました。地元当局者によると、北部ガザ市の学校付近では民家が爆撃され、子ども4人と女性3人を含む11人が死亡しました。
 ガザ保健当局によると、昨年10月以降のイスラエルとイスラム組織ハマスの衝突で、ガザではこれまでに4万1000人以上が犠牲になりました。

2国家解決へ  明確な計画を 欧州・イスラム諸国
                       しんぶん赤旗 2024年9月16日
 スペインは13日、ガザ戦争終結の道に関しイラム諸国と欧州諸国の高官級会合を開催し、パレスチナとイスラエルが共存する2国家解決へ向けた国際社会の明確な計画を求めました。
 出席したのは、ノルウェー、スロベニア、欧州連合(EU)の外相、パレスチナのムスタファ首相、エジプト、サウジアラビア、力タール、ヨルダン、インドネシア、ナイジェリア、トルコの外相らです。
 スペインのアルバレス外相は、パレスチナの国連加盟をはじめとして「2国家解決を効果的に実施する明確な計画へ前進するための明確な意志」が出席者の聞にあったと述べました。
 スペイン、ノルウェー、アイルランドは5月にパレスチナ国家を正式に承認しました。これによりパレスチナ国家を承認したのは国連加盟193カ国のうち146カ国となりました。                  (ロイター) 

安保破棄 中央実行委結成60周年集い 軍事同盟に頼らぬ平和こそ 共産 田村委員長

 安保破棄中央実行委員会は14日、都内とオンラインを併用して結成60 周年記念の集いを開催し、戦争国家づくりを阻止し、軍事同盟によらない平和な国づくりへ運動を強化することを確認しました。
 共産党の田村智子委員長は連帯あいさつで、基地強化反対核兵器禁止条約への参加など国民的運動を広げること平和外交を求める連帯を広げること日米安保条約を廃棄し対等・平等・友好の日米関係をつくる運動を広げること、が重要だと述べました。

 1951年に締結された日米安保条約は、改定期の1960年には労働者や全学連などが一体となって連日安保反対国会前デモを繰り返し、ピーク時には33万人(主催者発表)に達しました。(条約は衆院で強行採決したものの参院は開催されず、自然成立)。
 1970年には、全学連は全共闘(新左翼系)がリーダーシップを取り暴力行使も辞せずの路線を取ったため、ベトナム戦争反対闘争との連携はあったものの、60年安保闘争の時のような盛り上がりは見られませんでした(安保条約は自動延長)。
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安保破棄 中実委結成60周年集い 軍事同盟 頼らぬ平和こそ
共産党・田村委員長連帯あいさつ
                       しんぶん赤旗 2024年9月15日
 安保破棄中央実行委員会は14日、東京都内とオンラインを併用して結成60周年記念の集いを開催し、戦争国家づくりを阻止し、軍事同盟によらない平和な国づくりへ運動を強化することを確認しました。

 全日本民医連岸本啓介事務局長は主催者あいさつで、対話により紛争を戦争にさせない取り組みをしている東南アジアと連帯し、安保廃棄の旗を掲げ、運動を広げる決意を固めあおうと呼びかけました。
 日本共産党田村智子委員長は連帯あいさつで、国民的な三つの運動が重要だと指摘しました。
 一つは、基地強化反対、核兵器禁止条約への参加、安保法制の廃止など、緊急の課題で国民的運動を広げること。二つ目は、平和外交を求める連帯を広げること。三つ目に、日米安保条約を廃棄し、対等・平等・友好の日米関係をつくる運動そのものを広げていくことだと語りました。
 全国革新懇五十嵐仁代表世話人は、日米軍事共同にとどまらず、北大西洋条約機構(NATO)との軍事連携にまで広げている危険性を告発。武力に頼らず、憲法9条による友好関係をつくることの重要性を広げようと語りました。
 沖縄統一連瀬長和男事務局長は、核兵器も基地もない平和な沖縄の実現へ安保条約をなくし、日本国憲法が輝く日本を実現させようと呼びかけました。
 沖縄革新懇仲山忠克代表世話人は、目前の総選挙で改憲勢力を大幅に減らし、日本共産党の勝利が戦争国家づくりを阻止する担保になると話しました。
 安保破棄中実委東森英男事務局長が歴史と今日的課題について報告。渡辺治一橋大学名誉教授が「日米軍事同盟『戦争する国』づくりの新段階―憲法に基づく平和の構想を探る」と題して記念講演を行いました。

田村委員長のあいさつ(要旨)
 安保破棄中央実行委員会結成60周年にあたり、心からのお祝いと連帯のあいさつを送ります。
 総選挙が早ければ10月にもあるといわれるなか、アメリカいいなり、軍事一辺倒の政治をもとから変える日本共産党の躍進を勝ち取る決意を表明します。
 2014年の集団的自衛権行使容認の閣議決定15年の安保法制の強行、そして22年12月「安保3文書」の閣議決定によって、歴代自民党政権が憲法9条にもとづく「平和国家」のあり方としてきたものが、次々と投げ捨てられ、「戦争国家づくり」が加速しています。敵基地攻撃能力保有をはじめとする大軍拡、次期戦闘機の共同開発と第三国への輸出解禁、自衛隊を米軍の指揮・統制下に深く組み込み、日米一体で敵基地攻撃能力を運用する体制づくり、アメリカの核抑止を日米一体で協議することまで始まっています。
 重大なのは、「戦争国家づくり」の危険性を暴き、国政の場で断固として立ち向かっている政党が日本共産党だけだということです。日米同盟の絶対視、アメリカ中心のブロック強化が安全保障だという思考停止を指摘しなければなりません。
 暴走政治の根本にある安保条約の廃棄という統一戦線への結集を広く国民によびかける時です。安保破棄実行委員会出番の情勢です。

緊急課題で運動
 国民的な運動として、一つは基地強化反対、核兵器禁止条約への参加、安保法制の廃止など、緊急の課題での国民的な運動をよびかけます。
 とくに在日米軍専用基地の7割が集中する沖縄でのたたかいに連帯を強めましょう。沖縄の米軍辺野古新基地建設は、民意も地方自治も踏みにじり、国による「代執行」で大浦湾の軟弱地盤改良工事が強行されています。しかし、軟弱地盤の大浦湾に巨大基地建設は不可能です。
 「追い詰められているのは自公政権だ。辺野古新基地建設中止、普天間基地撤去をただちに」と、本土からも声を大きく広げようではありませんか。
 南西諸島への長射程ミサイル配備、日米共同訓練の強化など「軍事要塞(ようさい)化」の企てに、「沖縄を二度と戦場にするな」「基地のない平和で豊かな沖縄を」と声をあげましょう。

平和外交広げる
 二つ目に、平和外交を求める連帯を国内外に広げていきましょう。
 自民党などが中国の脅威をあおるもとで、「軍拡は仕方ないのでは」と思わされている人も少なくありません。軍事対軍事のエスカレーションの危険性を知らせるとともに、平和外交という対案を広く知らせ、国内外の市民社会と連帯して平和外交を求める世論と運動をつくることが大切になっています。
 日本共産党は4月、戦争の心配のない東アジアをつくろうと、「東アジア平和提言」を発表しました。東南アジアを紛争から平和と協力の地域へと変えたASEAN(東南アジア諸国連合)から学んだ「提言」は、国内外で歓迎されています。
 私たちがASEANから学んだことの一つが、外交に勝者・敗者はない、粘り強い対話でコンセンサスを得るという外交努力です。ここに憲法9条にもとづく平和外交のやりがいがあるのではないでしょうか。
 今、欧州外交にも取り組んでいます。ロシアのウクライナ侵略戦争により、日本よりも激しく軍事ブロック強化が進んでいるのが欧州です。欧州各国の左翼政党との交流、ドイツで行われた国際会議で、私たちの「提言」は注目され、困難ななかでNATO(北大西洋条約機構)強化に反対する勢力との連帯を築くものとなっています。軍事ブロック強化と世界の分断の固定化に反対する動きがあることを大いに知らせ、日本と世界で平和外交を求める連帯を広げていく決意です。

安保条約破棄を
 三つ目に、日米安保条約を廃棄して、対等・平等・友好の日米関係をつくろうという運動そのものを広げる時です。
 在日米軍が海外への殴り込み部隊であること、ベトナム戦争、アフガン戦争、イラク戦争の拠点となったこと、在日米軍の規模は、世界の米軍基地のなかで第1位、その資産価値も第1位、そしてアメリカは基地使用料を払う必要もなく日本政府から「思いやり予算」を受けている。これらの事実はまだまだ知られていません。

 今、自民党は、裏金事件の真相究明も言わない、暮らしや経済の行き詰まりを打開する展望も示せない、何より戦争の心配のない日本と東アジアの姿を示すことができません。この行き詰まりを大きく打開する展望、新しい日本への希望が求められる時代が始まっていると思います。
 核兵器のない世界、軍事同盟もない日本と世界、この希望ある未来を開くために、みなさんとともに全力で奮闘する決意です。

ハリス絶賛報道へのモヤモヤ感(植草一秀氏)

 メディアの持つ偽善とその暴力性に通暁している植草一秀氏が掲題の記事を出しました。
 植草氏は、ハリスが民主党の大統領候補に決定すると、それまではハリスを冷笑的に扱っていたメディアが一斉に手のひらを返し、逆に理想の大統領候補として絶賛を始めたと述べています。それまではトランプが大統領選を優位に進め支持率もそれに整合していましたが、10日のTV討論以降はあたかも逆転したかのような感じにです。

 そして現代社会や現代政治の構造を考察する際の最重要キーワードは「メディア」で、その使命は「多数による専制」、その本質は「巨大資本のツール」であるとして、人々が「メディア」を情報源とする以上、それによる「洗脳」から解き放たれることはないのに、ごく限られた少数しかこの構造に気付いていないと述べています。まさにその通りなのでしょう。

 今回「反ジャーナリスト」と自称する高橋清隆氏が新著(¥2,200 10月3日刊行予定)
メディア廃棄宣言(副題「テレビを捨て、新聞を解約し、ネットを切れば、人類廃止は止められる!!」を、「本書は高橋氏の言論活動の集大成とも言える渾身の労作である」と紹介しています。
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ハリス絶賛報道へのモヤモヤ感
               植草一秀の「知られざる真実」 2024年9月15日
米国の大統領選情勢が変わり、全体の支持率ではハリスがトランプを上回っている。
6月27日のバイデンVSトランプテレビ討論から2ヵ月半しか経っていない。
バイデンの高齢不安が鮮明になり、「もしトラ」は「ほぼトラ」に転換した。
そのトランプが7月13日に暗殺されかけた。狙撃の直前にトランプが顔を真右に振っていなければ、この日にトランプは死去していた。狙撃から生還したトランプは「神」と称された

ところが、ここでバイデンが撤退を表明する。
後継の大統領候補選出は難航すると見られたが、あっさりハリスに決まった。
ハリスは民主党大統領指名レースに加わっていた。しかし、メディアはハリスを酷評。
副大統領の3年間で何もできなかったと批評した。
ところが、大統領候補指名が確実視されると手のひらを返した。理想の大統領候補として絶賛を始めた。

9月10日のテレビ討論でトランプは失敗した。有効なテレビ討論戦術構築に失敗した。
トランプの準備不足も影響したと見られる。
しかし、ハリスがテレビ討論の勝者になった、もう一つの大きな理由がある。それはABCがハリス支援の演出を施したこと。バイデン撤退以降、主要メディアが全面的にハリス支援の姿勢を貫く。ABCのテレビ討論仕切りは、この流れに沿っている。

2016年大統領選でメディアはクリントンを全面支援した。トランプが当選すればドルとNYダウは暴落すると決めつけた。
現実にはトランプが勝利し、その後、米ドルとNYダウは暴騰した。
メディアにとってトランプは「招かざる客」である。
私はトランプのすべてを支持するわけでないが、メディアがトランプ排除を一貫して貫いていることに強い関心を有する。

現代社会、現代政治の構造を考察する際の最重要キーワードは「メディア」。
メディアのミッションは「多数による専制」である。メディアの本質は「巨大資本のツール」。
人々をコントロール=洗脳する根源が「情報」この「情報」を支配しているのが「メディア」である。人々が「メディア」を情報源とする以上、「洗脳」から解き放たれることはない。
ごく限られた少数が、この構造に気付いている。

「反ジャーナリスト」の高橋清隆氏が新著を刊行される。
タイトルは メディア廃棄宣言https://x.gd/4a5GB 
副題は「テレビを捨て、新聞を解約し、ネットを切れば、人類廃止は止められる!!」。

高橋清隆氏はこれまでに多くの著書を刊行され、自身のブログでも精力的な情報発信を続けられてきた。
本書は高橋氏の言論活動の集大成とも言える渾身の労作である。
高橋氏が「反ジャーナリスト」の肩書を使用しているのは高橋氏のメディア観に基づく。
高橋氏は、記者を含め「ジャーナリスト」は、記事を通して権力の片棒を担ぐことを生業とする人を指すとみなす。

「メディア」そのものの本質が権力の「手段」であることを看破している。
高橋氏は本書を執筆した最も消極的な動機を、氏の見解、考察をいちいち説明するのが面倒であることにあると記述する。
「メディア廃棄論」を説くと「無理だよ」と反論する者が必ず現れるから、一読すれば、それで事足りるものを用意し、ブツブツ言われたらこれを渡そうと思ったと書いている。

全360頁の大作だが、記述の巧みさと指摘の鋭さ、多彩極まる多くの貴重なエビデンスの提示によって、一気に読了してしまう読者が続出すると思われる。
出版予定日は10月3日。
日本の現実、そして、いま世界で進行している現実=知られざる真実を知る、あるいは考えるための全国民必読の書と言える。一人でも多くの市民に読んでもらいたい良書である。

気鋭の政治学者・政治思想家である白井聡氏との共著が好評販売中です。
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(ビジネス社)  https://x.gd/3proI  ぜひご高覧賜りたい。

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16- イスラエルがワシントンを支配

「耕助のブログ」に掲題の記事が載りました。
 昨年の10月7日に始まった「イスラエルによるガザ攻撃」の経過を見ると、米国政府が如何にイスラエルに毒されているかということがストレートに理解できます。
 これほどの悲劇は米国による肯定と兵器と資金の供与なくしては行えないからです。
 文中に、「すでに20万人近いパレスチナ人が死亡」云々とあるのは、パレスチナ人の実際の死者数はガザ保健省の公表数の数倍であるという説に基づくものです。
 イスラエルの行動原理が国連の各種の人道規定などではなく、「タルムード」(⇒ユダヤ人の「成功哲学」書と仮に訳)のいうところに基くというのも、肯定は出来ないもののこれほどの「非合理」を実行できる「所以」として解釈することは出来そうです。

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イスラエルがワシントンを支配
                 耕助のブログNo. 2268   2024年9月13日
  Israel Rules Washington
     ユダヤ国家のために何をするか競い合う政党  by Philip Giraldi
もし、米国との関係において主導権を握っているのがイスラエルであるということを本気で疑っている人がいるなら、先週ハマスの指導者たちに対して刑事告発が提出されたことは{1}、目を覚ますべき警鐘となるだろう。

9月2日、7つの罪状からなる刑事告訴がニューヨーク市の連邦裁判所に提出された。そこには公共空間で爆破を企てる、外国のテロ組織への物的支援を企てる(結果として死者がでる)、大量破壊兵器の使用、米国国民の殺害を企て、実行する、テロ資金調達を企てるなどの罪状が含まれている。またこの文書は、イランとレバノンのヒズボラが、イスラエルに対する攻撃に使用する資金、ロケット弾などの武器、軍事物資をハマスに提供しているとも主張している。この文書の正当性は、正当などという言葉を使うのをためらわれるが、米国にはテロリストとその支援者を追跡し、場合によっては殺害する権限が与えられており、それが適切であると判断した場合には、世界のどこであっても、いつでも行使できるという前提に基づいている。

この新たな展開の朗報を広めるため、悪意に満ちた米国司法長官メリック・ガーランドさえ、2023年9月にウクライナを訪問してロシアを威嚇して{2}以来クローゼットに隠れていたのに登場した。彼はビデオ声明を発表し、米国の裁判所を利用して世界の他国の行動を規制しようとする最新の試みについて、自身の考えを明らかにした。何の証拠を提示することもなくガーランドは、ハマスが「米国市民を殺害し、米国の安全保障を脅かす数十年にわたるキャンペーンに資金提供し、指揮を執ってきた。そしてイスラエル国家を破壊し、その目的を達成するために民間人を殺害“しようとしている」と述べた。また、ガーランドは、43人の米国系イスラエル人が死亡したとされる10月7日のハマスによるイスラエル攻撃についても、生々しい表現で描写したが、その表現はほぼすべてがイスラエルのプロパガンダによる嘘であることが後に明らかになっている。ガーランドは、この集団が「ユダヤ人に対するホロコースト以来最悪の虐殺」として「家族全員を殺害した」と主張した。「彼らは老人や幼い子供たちも殺害した。彼らはレイプや性器切除などの女性への性的暴力を武器化した。本日公開された告発状は、ハマスの活動のあらゆる側面を標的にする取り組みのほんの一部に過ぎない。これらの行動は我々の最後の行動ではないだろう」。実際には、もちろん、すべてではないとしても死亡した人の多くはイスラエルがヘリコプターや戦車による無差別攻撃で反撃した際に、味方の攻撃によって命を落とした人々である。それにもかかわらず、主流メディアは、ハマスが1,200人のイスラエル人を殺害したという10月7日に関する誤ったストーリーを繰り返し続けている。また、拷問やレイプの話は、主にパレスチナ人捕虜に対するイスラエル兵の行為である。実際に解放された人質の多くが、ハマスから丁重に扱われたと証言している。

イスラエルを喜ばせるために、米国は1997年にハマスを「外国のテロ組織」と宣言した。現時点でハマスを追い詰めることは間違いなくイスラエルと、民主党の政治資金の大部分を提供しているだけでなく、ドナルド・トランプ氏の共和党に流れる資金の割合も増加している米国系ユダヤ人の政治献金者たちへの贈り物である。とはいえ、ガーランドのFBIが、グループの指導者として特定された6人の男たちを見つけ出し逮捕するのは困難であり、そのうち3人は死亡しているため、起訴はほとんどが形だけのものとなる。その中には、現在の指導者であるヤヒヤ・シンワルも含まれているが、彼はどこかのトンネルに身を隠しているため、居場所は不明である。

起訴されたその他のハマス指導者には、前指導者のイスマイル・ハニーヤ、武装部門の副指導者マルワン・イッサ、ガザ地区とヨルダン川西岸地区以外の地域を統括するハレド・マシャール、それにモハメド・ディフとアリ・バラカが含まれる。ハニーヤ、イッサ、ディフは、イスラエルによる攻撃でこの数か月の間に死亡したと伝えられている。名前が挙がった人物のうち、まだ生存している者は米国に逮捕される可能性は低い。このタイミングでの起訴は、シオニストの侵略者から自国を解放しようとするハマスの活動とそのグループを支援する米国人を「テロ支援者」として探し出し、逮捕し、処罰するための連邦政府による取り組みの準備を整えることを目的としているのではないかと疑わざるを得ない。また、より一般的なパレスチナ支援者に対する攻撃にも利用される可能性がある

もしテロがすべてであり、米国が「ルールに基づく国際秩序」を徹底し、あらゆる場所のテロリストを網羅しようとしているのであれば、イスラエルがハマスと同様に対象になっていないのはもちろん皮肉である。外国の政府高官を暗殺し、戦争状態にない国々を爆撃し、ガザ地区でジェノサイドに等しい一連の戦争犯罪を公然と実行しているのはイスラエルであり、すでに20万人近いパレスチナ人が死亡している可能性がある。一方、ハマスは、かつてパレスチナであった土地を完全に不法に占領しているユダヤ人を武力で追い出すという行動を国際法のもとで行っている。明らかに米国には、イスラエルへの資金と武器の流れを止め、かつて彼らの国であった広大な「浄化作戦」地域に残るパレスチナ人のすべて、あるいはほぼすべてを追放または殺害するという、イスラエル政府が公然と受け入れている計画の実行を阻止するために必要なことを行うという考えはない。ケイトリン・ジョンストンが指摘しているように{3}、 米国政府と多くのヨーロッパ人は、この事態に反応する意思がないように見え、実際には、パレスチナ人と非ユダヤ人は人間ではないというタルムード⇒ユダヤ人の「成功哲学」書)の主張を信じているように見える。

この新たな展開を報道するメディアは、当然ながら、10月7日にハマスが仕掛けたイスラエルへの残忍な攻撃に対する米国の行動であると説明することで、政府のイニシアティブを支持しようと苦心している。興味深いことに、米国政府とメディアは、パレスチナ人を悪者扱いするために、同じ陳腐なレトリックを繰り返し使用しているが、その出来事の前に起こったことについて言及したり非難することはほとんどなく、また、ガザ地区で常に狭まる死の輪に追い詰められ、圧倒的に非武装の男性、女性、子どもたちへの同情を表明することもほとんどない。

米国がこのタイミングで告発した理由はすぐには明らかではないが、有力かつ裕福なイスラエル・ロビーから、カマラ・ハリスへのさらなる支援を得るための動きであると考えることもできる。しかし、ガザで最近、イスラエル系米国人の人質1人とその他5人の遺体が発見されたことは、悪のハマスに対する「さらなる措置」を要求するものであり、米国がそれを許すことも忘れることもないことを示している。6人の人質が死亡したこと自体が、ハマスによる銃撃による死亡という主張がイスラエル軍の検死によってなされたという事実から、でっちあげられた事件である可能性があるという意見もある。イスラエル人は何でも嘘をつくことを念頭に置いてほしい。だから、それは隠蔽工作か偽装工作かもしれない。実際ハマスは、もし銃弾が関与していたとすれば、それらは「イスラエル製」だと主張している。おそらく6人はイスラエルの爆撃で死亡し、その死は政治的理由からベンヤミン・ネタニヤフ政権によって操作されている可能性が高い。確かに、イスラエルはユダヤ人人質を殺害した割合が他の国よりも多い。数か月前に、白旗を振りヘブライ語で叫びながら脱出した3人の人質がいたが、それでもイスラエル軍に射殺された。

ガーランドはこの事件で死亡したイスラエル系米国人、ハーシュ・ゴールドバーグ・ポリンについて、「我々はハーシュの殺人事件を、そしてハマスによる米国人に対する残虐な殺人事件のひとつひとつをテロ行為として捜査している」と述べた。ジョー・バイデン大統領もまた、ゴールドバーグ・ポリンの殺害を非難し、「非難に値するほど悲劇的な事件だ。ハマスの指導者たちはこれらの犯罪の代償を払うことになるだろう」と述べた。

ハマスに対する刑事訴訟がジョー・バイデンとカマラ・ハリスが票と資金を集めるためにでっちあげたものだと仮定すると、ドナルド・トランプはそれに対抗するために何をするのだろうか? ラスベガスで開催中の共和党ユダヤ人会議では、イスラエル寄りの唯一の「真の」政党は共和党であると宣言する見通しである{4}。これは、ネタニヤフの「完全勝利」政策を支持し、イスラエルの人質死亡の責任を民主党に負わせるという主張と組み合わさるだろう。そして、すでに、元カジノ王の億万長者、シェルドン・アデルソンの未亡人であるミリアム・アデルソンが、パレスチナ全土を併合するイスラエルへの米国の支援を保証するというトランプの公約を確実にするために、1億ドルをちらつかせたと報じられている。それはおそらくほとんど、あるいはすべてのパレスチナ人の追放も含むだろう。そう考えると、突如として現れたのは{5}元トランプの個人弁護士で、2017年から2021年までトランプ政権下でイスラエル大使を務めたデビッド・フリードマンだ。彼は、9月2日に発表された著書『One Jewish State: The Last, Best Hope to Resolve the Israeli-Palestinian Conflict』の中で、米国がイスラエルのヨルダン川西岸併合に資金援助を行うべきだと主張している。

イスラエル大使在任中は完全にイスラエルのイエスマンであったフリードマンは、イスラエルが不法占領しているパレスチナのヨルダン川西岸地区の聖書における名称である「ユダとサマリア」の主権を主張し維持するために、イスラエルは財政支援を必要としていると説明している。フリードマンは、次期共和党政権が、すでに予算化されパレスチナ人への援助を目的としていた10億ドルをエルサレムに再配分することを提案している。「最も簡単に利用でき、再配置できる予算は、米国のそれだ」と。フリードマンは、米国は「聖書の預言と価値観を第一に」基づいてイスラエルの併合を支持すべきだと述べた。さらに、ドナルド・トランプとこの提案について話し合うつもりだと付け加えた。

さあ、皆さん。米国にはたった一つの政党しかなく、それはイスラエルの命令に従う政党である。かつて私たちが暮らしていた共和国の話はこれで終わりだ。

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{1}https://forward.com/fast-forward/650193/us-justice-department-files-criminal-charges-against-hamas-spurred-by-hersh-goldberg-polins-murder/?utm_source=The+Forward+Association&utm_campaign=c33451215c-EMAIL_CAMPAIGN_2023_12_01_04_25_COPY_01&utm_medium=email&utm_term=0_-1323d6a1cf-%5BLIST_EMAIL_ID%5D 
{2}https://www.justice.gov/opa/pr/readout-us-attorney-general-merrick-b-garlands-meeting-ukrainian-prosecutor-general-andriy 
{3} https://substack.com/@caitlinjohnstone/p-148391876 
{4}https://www.haaretz.com/us-news/2024-09-04/ty-article-magazine/.premium/at-republican-jewish-confab-gop-set-to-back-netanyahus-total-victory-over-hamas-and-biden/00000191-b8ca-de3d-abb7-feeb37410000 
{5}https://news.antiwar.com/2024/09/03/trumps-former-envoy-to-israel-us-should-fund-israeli-annexation-of-west-bank/ 
{6}https://forward.com/fast-forward/649830/david-friedman-book-donald-trump-israel-wes-bank-annexation/ 

https://www.unz.com/pgiraldi/israel-rules-washington/ 

2024年9月14日土曜日

小泉進次郎一択でマスコミが宣伝に狂奔する自民党総裁選 ~

 世に倦む日々氏が掲題の記事を出しました。
 自民党総裁選レースでは小泉進次郎を新総裁に据える狙いでマスコミが結束しているということで、12年に安倍晋三氏が再起したときにマスコミが一斉に彼を美化し賛美したのに似ていると指摘しています。
 そういえば「維新」が登場した際にもマスコミは一斉に「注目の第3極」だと持ち上げました。維新はその後それなりに全国政党として時歩を固めるかに見えましたが、同時に自民党よりも右寄りという「極右ぶり」も明らかになりました。
 先の大阪府箕面市長選で同党の現役市長が惨敗したのを契機に、今後は衰退に向かうものと思われます。

 総裁選レースが始まる前の人気投票では小泉氏は低位につけていました。しかしマスコミの力は大きく、12日付の朝日新聞によれば「総裁選レースは石破、小泉の順でそれを高市が追う」という具合に「浮上」しているということです。
 そもそも文章の体を為さない「進次郎構文」で明らかなようにキチンとした考えの持ち主なのかどうかが疑われる人物を、何故マスコミは一斉に推すのでしょうか。
 進次郎氏は父 純一郎氏のコネで名門・コロンビア大大学に留学後、ジャパンハンドラーの巣窟である「戦略国際問題研究所」(CSIS)の非常勤研究員になりました。彼が米国ジャパンハンドラーの手駒であることは間違いありません。

 世に倦む日々氏はこの「進次郎フィーバー」は、「菅義偉が差配してカネを撒き、電通が請け負ってうごめいているのだろう」と見ています。そして「驚いたのは、小泉進次郎が目玉として打ち上げた政策で、解雇規制見直し聖域なき規制改革と称して1年以内で実現するとした」ことで、「今までこんな公約を選挙で語った政治家を見たことがない」と述べています
 多分、進次郎にはこの政策で快哉を叫ぶのは大企業側のみで、庶民に対しては「さらに不幸のどん底に落とし込む」ものであるという自覚がないのでしょう。もしも自覚していればこんなことを公言する筈はないので、彼が如何に粗雑な人間であるかを証明するものです。
 X(ツイッター)で「庶民の生活苦が分からない」「増税メガネから増税王子か」などのコメントが相次いだのは当然のことです

この国民にしてこの政府あり」はトーマス・カーライルの警句です。
 全てを承知の上で国民をその方向に向けるマスコミには罪の自覚はないのでしょうか。

追記)
 その後、『解雇規制見直し』への不評に驚いた進次郎氏は、慌てて「解雇規制の見直しは解雇の緩和を意味しない」との「進次郎構文」を口にしました。それは「Aは〝非A″である」という〝非論理″そのもの。その後は「解雇規制見直し」自体を完全に封印したということです。こんな風に一旦は「目玉」として打ち上げた政策を次の瞬間には封印するというデタラメさは、もはや政治家としては失格の証明です。
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小泉進次郎一択でマスコミが宣伝に狂奔する自民党総裁選 - 自民党と政策の差がない図を強調する立憲民主党代表選
                       世に倦む日日 2024年9月11日
岸田文雄が先月 8/14 に首相退任の発表をした後、そこから約4週間、マスコミでは延々と自民党総裁選レースの報道が続いている。NHKの7時のニュースとNW9は皆勤賞でこの話題を流していて、自民党総裁選のCMを放送し続けている。朝と昼の民放のワイドショーも同じだ。いつもの、自民党総裁の顔を変えて、マスコミが宣伝して世論を煽り立て、解散総選挙で自民党勝利へ誘導するという、マスコミ主催の日本の政治の祭りが到来し進行している。総選挙の前の前座レースとして総裁選ショーを盛り上げ、自民党の人気を高め、自民党と支持者を活気づかせ、自民党主導の態勢で総選挙をやらせて勝たせる思惑だ。今回は、小泉進次郎を新総裁に据える狙いでマスコミが結束している。12年前の、自民党が政権に復活した、第2次安倍政権誕生の前の9月の総裁選の空気と似ている。

あのときも、傍目には非常に奇妙な景観だった。第1次政権は1年足らずの短命で、内閣は不祥事だらけで、知性低劣で人格未熟で傲慢無比な安倍晋三には政府を切り回す能力がなかった。世論に徹底的に叩かれ、07年の参院選で惨敗してあっさり降板した。世間では、安倍晋三は無能で暗愚の世襲右翼と評価が固まっていた。その安倍晋三が、なぜか12年にはマスコミ(読売・産経・日経・文藝春秋)に担がれ、異常に美化され、脚光を浴びて新総裁に再登板し、勢いのまま総選挙で権力を手にするのである。そこから、NHK、共同、テレ朝TBS朝日、毎日も、安倍晋三の親衛隊になり、安倍晋三の子分が社内を牛耳り、安倍晋三に忠実で安倍晋三を崇拝する若手が出世して行った。今回の様子を見ていると、マスコミは12年の再現を狙っていて、小泉進次郎をあのときの安倍晋三の子分が社内を牛耳り、安倍晋三に忠実で安倍晋三を崇拝する若手が出世して行った。今回の様子を見ていると、マスコミは12年の再現を狙っていて、小泉進次郎をあのときの安倍晋三にしようとしている。

小泉進次郎と言えば進次郎構文」の爆笑ネタで揶揄われる滑稽な政界ピエロで、仲間も実績もなく、実力も資質もなく、こんな男が何で急に総裁選レースの首位に飛び出すのだろうと私には不思議でならない。どう考えてもこれは仕込みの政治であり、マスコミの謀略であり、マスコミが菅義偉や財界やアメリカと謀って動かしている政治だ。8/14 の岸田退陣表明の後、急に世論調査で小泉進次郎が飛び出し、石破茂に次ぐ二番手になり、9月に入ってマスコミが本命の地位を既成事実化する報道を撒き散らした。9/6 に記者会見して世論調査でトップに立った。この政治過程を面妖で不自然だと疑う証拠情報を幾つか提示しよう。今年2月に毎日新聞が「次の首相にふさわしい人」の世論調査の順位を並べている。1位が石破茂で25%、2位が上川陽子で12%、3位が高市早苗と小泉進次郎で同率で9%という結果だ。

今年1月の週刊女性の「首相になってほしい議員ランキング」では、1位が石破茂で142票、2位が高市早苗で97票、3位が野田聖子で88票、5位が河野太郎で52票となっている。何と、小泉進次郎はベスト10の中にも入ってない。女性に人気がないのか。少し古い記事だが、文藝春秋が22年1月に上げた「次の総理ランキング」がある。1位が林芳正で31票、2位が河野太郎で18票、3位が茂木敏充で16票、4位が岸田文雄で9票、5位が高市早苗で8票、6位が石破茂で6票となっている。小泉進次郎はランキングの中に入ってない。この文藝春秋と週刊女性の人気番付が、今年の夏までの小泉進次郎の政治家としての相場だったような印象がある。つまり、総理候補としては圏外で論外の存在だった。二番手でも穴馬でもなかった。「進次郎構文では不安すぎるという見方が定着していたはずだった。

9/9 の報道1930に出演した朝日新聞の秋山訓子は、9/6 の小泉進次郎の会見に対して、「すごく印象が良くて」「進次郎さん分かりやすくて物凄く準備していた」「ものすごく練習していた」「この人努力したんだなと世の中の評価も上がった」などとベタ褒めの賛辞を言い、マスコミが出す小泉進次郎の高支持率をエンドースするコメントを垂れていた。朝日だと箔がつく。権威の保証が付き、マスコミの「世論調査」が正当化される根拠となる。秋山訓子は、この任務のために 9/9 の報道1930に登壇したに違いない。まさに目の前で、テレビで、支配層による計画的な政治が実行され、目的を射止めるべく役割を持った者たちが精力的に動いている。1か月半後の選挙結果を固めるために。田崎史郎が動き、後藤謙次が動き、秋山訓子と松原耕二が動いて、小泉進次郎の新総裁新総理を実現するべく奔走している。

記者会見場の派手な演台装飾も、銀座や横浜の(サクラの)人集めと絵作りも、菅義偉が差配してカネを撒き、電通が請け負って蠢いているのだろう。驚いたのは、小泉進次郎が目玉として打ち上げた政策で、解雇規制見直しを「聖域なき規制改革」と称して持ってきた。1年以内に実現すると言う。今まで、こんな公約を選挙で語った政治家を見たことがない。狼狽する。解雇規制撤廃を提唱すれば、「改革の旗手」として世間の支持が集まるのだろうか。腰を抜かしそうになったが、マスコミも野党も特に緊張が走らず、連合が反発せず、立憲民主党から反論が出ない。立憲民主党の代表選が進行中で候補4人が出ずっぱりだが、小泉進次郎の解雇規制見直しを厳しく非難する場面がなかった。まさか賛成なのだろうか。15年前だったら、連合が糾弾する前に日弁連が制止の勧告を上げただろう。時代が変わったと痛感する。

解雇規制の緩和・撤廃は財界がずっと待望してきた目標で、竹中平蔵が要求し続けて来た猛毒の新自由主義政策だ。今の日本の大企業が社内に余剰人員を抱えているのは事実で、人件費の高い50代以上の正社員を整理したいという動機と欲望は確実にあるだろう。この政策が実現すると、働き盛りの世代で大量の失業者が発生する。企業は、手にしたこの解雇権を武器に、解雇が嫌なら賃金削減に応じろと社員と組合に迫ることができ、労働者は正社員から非正規に移ることを強要される。泣き寝入りを選ばざるを得ない。こうして企業は労賃切り下げの新たな手段と環境を手にすることができ、人件費のコストカットで純利益を上げ、株価を上げることができる。フローの利益剰余金すなわちストックの内部留保を膨らますことができる。その結果、日本の総雇用者所得は減り、名目賃金も減る。賃金は上がるどころか下がる

一方、立憲民主党の代表選の方は、9/7 に告示され、9/23 に投票される。先週末から今週初にかけてテレビ番組で討論会が生放送されたが、自民党総裁選の告示日の 9/12 以降は、誰も興味・関心を持たなくなり、マスコミの話題から外れるだろう。マスコミは野田佳彦が新代表になるだろうと予告し、怪しい「世論調査」の数字を見せ、これまた既定事項のように世論の空気を固めている。討論会を見た印象としては、政策が大きく右寄りに旋回していて、枝野幸男が新党を立ち上げた17年秋当時の路線と方向性は完全に消えていた。自民党と全く同じになり、自民党と同じ政策だから安心してくれとメッセージを発している。嘗てあれほど強く拒絶し反対していた安保法制を認める方針に転じ、43兆円の軍事費や敵基地攻撃能力も認めている。経済安保にも賛成で、安保政策では自民党と何の違いもなく、4人とも一致

また、消費税についても5%減税の政策を撤回した。これまで党内で消費税減税の代名詞のような存在だった小沢一郎が、ここへ来て持論を否定、野田佳彦とくっつき、立憲民主党の転向を象徴する絵を世間に見せた。驚くと同時に失望させられる。また、原発政策も転換し、原発ゼロの訴えをやめ、再稼働容認の立場となった。枝野新党の決起以来、自民党との間で対立軸を構成していた基本政策の悉くを、ここで明確に転換し、党全員で右に寄り国民民主党と同期させ、自民党との互換性をアピールする図となった。4人の中では相対的に左寄りと目されていた吉田晴美も、他3人と対立する政策姿勢の強調がなく、単に紅一点の演出役として党に貢献し、功労者として出世しようとする思惑が透けて見える。脱力する。最低賃金1500円を付録的に言い添えているのは、野田佳彦にその役割を指示されたのではないか。

今回の立憲民主党の代表選には、以前のような路線衝突や権力闘争の側面が全くない。本来、この党には右と左の対立が本質的に内在し、それが代表選で浮上して摩擦し紛糾するのが常だった。今回は競争がない。代表選の討論会は、4人が仲良しグループを際立たせる懇談会になっていて、候補同士の対立点や差別化を示すのではなく、一緒に自民党の裏金問題を攻撃し、自民党総裁選の欺瞞(選挙前のウソ公約)を衝く場となっている。自民党を批判する機会として活用していて、政策は自民と共通ですから、裏金問題で怒っているなら立憲に票を下さいと訴求している。政策は国民民主と同じですから安心安全ですとアナウンスし、共産と手を組むような誤りは絶対に二度と犯しませんとコミットしている。その戦略と態度で4人の足並みが揃っていて、水面下で事前に打ち合わせて協調しているかの如くだ。シビアな論争と国民生活の代弁と反ネオリベの旗幟を期待した私は大いに落胆させられた。

野田佳彦が代表になったら、すぐに小泉進次郎と合意して、消費税15%引き上げを決定するのではないか。増税を固めて選挙(来夏の参院選)の争点から消すのではないか。9条改憲についても、総選挙の後、与野党合意に踏み出して国会発議に出るかもしれない。今、1か月半先の総選挙に向けて、序盤戦が始まっているが、日本共産党やれいわ新選組が主張するような政策課題国民生活窮状は、マスコミの表面で全く説明されず、黙殺されたまま、置き去りにされたままだ。自民党批判は裏金問題ばかりにフォーカスして埋めている。能登の震災の問題も、自民党の候補たちが自己宣伝の材料に利用するだけで、被災者が自己責任で切り捨てられて復旧が途絶している実態が争点にならない。自衛隊発災時に全く救命出動せず、工兵を使って道路復旧もしなかったのに、風呂焚きで頑張ったとマスコミに賞賛させて英雄になっている。

7月の都知事選で、勝利できないまでも拮抗・惜敗の結果に持ち込めていれば、このような悲惨な事態にはならなかっただろう。野田佳彦の右派路線で立憲民主が全党結束する最悪の展開にはならなかったと思われる。わずか2か月前の出来事だが、蓮舫と日本共産党が  しばき隊選挙 の自滅と暴走をしなければ、もう少し左派の政策論と対立軸がマスコミで注目される政治の季節を迎えられていた。4月の3補選後の野党優勢の政治状況のまま、多数庶民からの熱い期待を受け、秋の決戦に臨めていた。覆水盆に還らずだ。