2024年9月2日月曜日

暦に刻むべき「日本敗戦の日」(植草一秀氏)

 植草一秀氏が掲題の記事を出しました。
 日本は、日本の降伏を定めたポツダム宣言受諾を天皇が国民に告知した8月15日を「終戦記念日」としていますが、第二次世界大戦終結は日本降伏文書への調印した9月2日を「敗戦の日」とするのが正しいーとの主張です。
 また「終戦記念日」ではなく「日本敗戦の日」「敗戦記念日」としなければ歴史事実は後世に正確に伝わらないと述べ、「敗戦」を「終戦」に置き換えることは歴史から目を背けて歪んだ認識を生み出す原因になるとしています。
 そして日本の過去に正面から向き合い、過去に対する歴史認識を確認し、反省の上に近隣諸国への謝罪の意を表明したのが1995年の村山談話(政府文書)であるとして、その要点を簡潔に紹介しています
 この「村山談話」が将来にわたる基本文書であるということは、同氏の他の記事でも繰り返し述べられているところです。
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暦に刻むべき「日本敗戦の日」
                植草一秀の「知られざる真実」 2024年9月 1日
1945年9月2日、米戦艦ミズーリの艦上で日本降伏文書の調印式が挙行された。
調印式の終了によって第二次世界大戦が終結した。
日本では日本降伏を定めたポツダム宣言受諾を天皇が国民に告知した8月15日を「終戦記念日」として大きく取り上げるが、第二次世界大戦終結を画するのは9月2日の日本降伏文書への調印である。9月2日を「敗戦の日」として刻するのが正しい。

9月2日午前9時2分に調印式が始まった。
ダグラス・マッカーサー連合国軍最高司令官のスピーチのあと、天皇と政府の代理として重光葵外務大臣が署名。続いて日本軍大本営代表として梅津美治郎参謀総長が署名。
その後、マッカーサー最高司令官が連合国軍代表として署名したのに続き、アメリカ合衆国代表、中華民国代表、イギリス代表、ソビエト連邦代表、オーストラリア代表、カナダ代表、フランス代表、オランダ代表、ニュージーランド代表が署名。
マッカーサー最高司令官が神への短い祈りを述べ、調印式は約23分で終了した。
これによって、戦争が正式に終結した。

戦争終結は日本が日本の無条件降伏を定めたポツダム宣言を受諾したことによってもたらされた。8月15日は日本のポツダム宣言受諾を天皇が国民に告知した日だが、この日に戦争が正式に終結したわけではない。戦争終結は日本降伏文書への署名によって成立した
「日本敗戦の日」、「敗戦記念日」としなければ歴史事実は後世に正確に伝わらない。
「敗戦」を「終戦」に置き換えることは、歴史を直視せず、歴史から目を背けて歪んだ認識を生み出す原因になる。

日本が過去に正面から向き合い、過去に対する歴史認識を確認し、反省の上に近隣諸国への謝罪の意を表明したのが1995年の村山談話
来年は日本敗戦から80年、村山談話から30年という節目の年を迎えることになる。
村山首相は談話で次のように述べた。
「平和で豊かな日本となった今日、私たちはややもすればこの平和の尊さ、有難さを忘れがちになります。私たちは過去のあやまちを2度と繰り返すことのないよう、戦争の悲惨さを若い世代に語り伝えていかなければなりません。」
「われわれが銘記すべきことは、来し方を訪ねて歴史の教訓に学び、未来を望んで、人類社会の平和と繁栄への道を誤らないことであります。」

村山談話の核心は以下の部分。
わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。
私は、未来に誤ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします。」

歴史の事実に真摯に向き合い、その歴史の事実を認識し、反省や謝罪の意思を示すことは尊いこと。勇気のある行動だ。
歴史事実を直視し、反省や謝罪の姿勢を示すことを「自虐的」と批判する者がいるが、大きな間違いだ。歴史事実を直視して、反省や謝罪の行為を示すことは、未来に向けての誠実な姿勢
自らのプライドを大切にする行為である。
歴史から目を逸らし、あったことをなかったことにし、事実に反して自己を正当化する行為が自らを損ねる自虐行為である。
過去を正面から見据え、是を是、非を非として、反省と謝罪の姿勢を貫くことによって、歴史は区切られ、新たな発展の素地が出来上がる。
歴史事実を否定し、事実に基づかずに自己を正当化して、反省と謝罪を否定することは、あまりにも卑屈である。この卑屈な行為が自らの未来を暗黒に転落させる

真の愛国者は歴史から目を逸らさない。
自らに誤りがあれば、その誤りを謙虚に認め、謝罪の姿勢を示すとともに、その真摯な姿勢で新しい未来を切り開くことが自らを大切にする行動だ。
日本は「国策を誤り」、「国民を存亡の危機に陥れ」、「植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与え」た。
村山談話は、このことを「疑うべくもないこの歴史の事実」と確認した上で、
「ここにあらためて痛切な反省の意」を表し、「心からのお詫びの気持ち」を表明した。
日本敗戦の日を迎えるに当たり、すべての国民が村山談話の言葉を改めてかみしめる必要がある。

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