2024年9月14日土曜日

世界を地獄へと導いたふたつの9・11

 櫻井ジャーナルに掲題の記事が載りました。

 19739月11日、チリでピノチェトがCIAの指導下で軍事クーデターを起こしました。その新政権下で導入された新自由主義が、その後サッチャー英首相を通じて世界を席巻することになり、今日の新自由主義の世界を形成しました。
 2001年9月11日、世界貿易センターなどへの同時多発テロ(航空機突入事件)が起きました。しかしこれこそは「謀略の塊り」というべきものでした。
 謀略の根拠としては、例えば
・航空燃料(=灯油並み)の燃焼温度ではビルの鉄骨は溶融しないのに、ビル自体が跡形もなく崩壊しただけでなく、
・そこから700mも離れ(航空機が突入しなかっ)た7号館が特殊火薬による爆破解体と同様の崩壊をしたり、
・その僅か1・5ヵ月後に350頁ものボリュームを持つ「愛国者法」が発効する、
等々が挙げられています(これらは米国の多くのNET文書・動画で指摘されています)。

 2000年当時、米国はこれからは国家間の戦争は滅多に起きなくなるので、今後は「対テロ戦争」に舵を切ると密かに方針を転換しました。そして2001年9月に、まさに「お誂え向き」の事件が勃発しました。
 米政府は直ちに無実のオサマ・ビン・ラディンのグループを犯人と断定して、無実のアフガニスタンを猛爆し、同じく無関係のイラクを猛爆しました。
 こうして米国は、定期的に引き起こせる「対テロ戦争」で延命できる手段を確保しました。

 併せて櫻井ジャーナルの2つの記事「ウクライナ乗っ取りのために資金を投入してきた西側の金融資本」、「米英政府の外務部門がウクライナに対し、露深奥部への長距離ミサイル攻撃を容認」を紹介します。
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世界を地獄へと導いたふたつの9/11  
                         櫻井ジャーナル 2024.09.12
 1973年9月11日にチリでオーグスト・ピノチェトが主導する軍事クーデターがあった。ピノチェトを操っていたのはCIAの破壊工作部門であり、その背後にはリチャード・ニクソン大統領の国家安全保障補佐官を務めていたヘンリー・キッシンジャーがいた。ピノチェト政権が導入した新自由主義をイギリスの首相だったマーガレット・サッチャーが欧米で初めて採用、その後世界を席巻することになる。
 新自由主義はレッセフェール(自由放任主義)に近く、市場を絶対視する。その市場は資金力や情報力が同じ圧倒的多数の個人、または組織が取り引きすることを前提にしているが、そのようなものは存在しない。資金にしろ情報にしろ、強大な能力を持つ私的権力が市場には存在し、公正な取り引きなどはありえない。必然的に富は強大な私的権力へ集まり、彼らの力は雪だるま式に大きくなる。
 2001年9月11日にはニューヨークのWTC(世界貿易センター)とバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃された。いわゆる9/11だ。
 WTCの場合、ツインタワーだけでなく、攻撃を受けていない7号館(ソロモン・ブラザース・ビル)も爆破解体のように崩壊、そこに保管されていた金塊、エンロンや国防総省の使途不明金に関する捜査資料は消えてしまった。
 ネオコン(新保守主義)に担がれたジョージ・W・ブッシュ大統領は詳しい調査をしないままアル・カイダが実行したと断定、その象徴的な存在だったオサマ・ビン・ラディンを首謀者だと主張した。
 しかし、攻撃直後にオサマ・ビン・ラディンはその攻撃に自分たちは関与していないと主張9月16日にはカタールのテレビ局、アル・ジャジーラに送った声明の中で、やはり自分たちが実行したのではないとしている。
 そもそもアル・カイダとはCIAがアフガニスタンでソ連軍と戦わせるために訓練した戦闘員の登録リストであり、そうした武装組織は存在しない。イギリスの外務大臣を1997年5月から2001年6月まで務めたロビン・クックは05年7月、「アル・カイダ」についてCIAの訓練を受けた「ムジャヒディン」の登録リストだと説明している。この指摘をした翌月、2005年8月6日にクックは休暇先のスコットランドで散歩中に心臓発作で急死した。

 アル・カイダの仕組みを1970年代に作り上げたのはズビグネフ・ブレジンスキーであり、アフガニスタンへ戦闘員を送り込む仕事をしていたひとりがサウジアラビアの富豪の息子、オサマ・ビン・ラディン。このビン・ラディンをジハード(聖戦)の世界へ引き込んだのはムスリム同胞団のアブドゥラ・アッザムだと言われている。
 ビン・ラディンは1984年にアッザムと一緒にMAK(礼拝事務局)のオフィスをパキスタンのペシャワルで開設。このMAKがアル・カイダの源流だと考えられている。戦闘員の中心はサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団だ。

 ウェズリー・クラーク元NATO欧州連合軍最高司令官によると、9月11日の攻撃から10日ほど後、統合参謀本部でイラクを攻撃するという話を聞いたという。そこのスタッフは攻撃する理由がわからないと口にしていたという。
 その6週間ほど後、国防長官の周辺で攻撃予定国のリストが作成されていたことをやはり統合参謀本部で知らされている。そこに載っていた国はイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そしてイラン。5年間に7カ国を破壊することになっていた。いずれも9/11とは無関係の国だ。
 9/11を利用し、憲法の権利条項を停止させる「PATRIOT法(愛国者法)」がその年の10月26日に発効した。この法律は「テロリズムの阻止と回避のために必要な適切な手段を提供することによりアメリカを統合し強化する2001年法(Uniting and Strengthening America by Providing Appropriate Tools Required to Intercept and Obstruct Terrorism Act of 2001)」の略語だ。
 この法律は340ページを超す代物だが、それを議会は提出されて1週間で承認憲法の機能を停止させてしまった。この法律によってアメリカでは令状のない盗聴や拘束、拷問が横行することになった。国内の治安機能を強化するため、2002年10月にはUSNORTHCOM(アメリカ北方軍)が設置された。
 ドナルド・ラムズフェルド国防長官は9/11の直後、偽情報を外国メディアの報道内に埋め込み、民衆の心理を操ろうとした。そのために設置された機関がOSI(戦略影響局)。この機関の存在が発覚するとラムズフェルドは廃止を宣言するが、実際に廃止されたことを裏付ける証拠はない。


ウクライナ乗っ取りのために資金を投入してきた西側の金融資本
                         櫻井ジャーナル 2024.09.14
 アメリカ政府はソ連が消滅した1991年からウクライナを支配するための工作を開始、2013年までに50億ドル⇒約7100億円)をウクライナに投入したとアメリカのビクトリア・ヌランド国務次官補は2013年12月13日に米国ウクライナ基金の大会で明らかにしている。ヌランドが立った壇上には巨大石油企業シェブロンのマークが飾られていた。
 それを含め、ウクライナの対外債務は増加し続け、IMFや同国の財務省によると、対外債務は1037億9000万ドル⇒約14兆7400億円)、公的債務の総額は1521億6000万ドル⇒約21兆6100億円)になる。今年7月31日にウクライナ政府は債務返済を一時的に停止することを可能にする法律を発動、8月から債務返済を停止した。2022年7月にウクライナは2年間の支払い猶予が認められたが、その期限が今年8月1日だ。

 ウクライナのクーデター体制は金融資本に支配されている。表に出ているのは「闇の銀行」とも呼ばれている資産運用会社のブラックロック(アメリカ)やアムンディ(フランス)。西側から供給される兵器や資金の使い道についてアドバイスしているのはブラックロックだという。そのほか、JPモルガンやゴールドマン・サックスともゼレンスキー政権は協力関係にある。ちなみに、軍需産業も医療産業も闇の銀行に支配されている。
 債務の支払い猶予期限が来る2カ月前、ロスチャイルド&Coはこうした金融会社とウクライナ政府を直接会談させたと伝えられている。ロスチャイルド資本が金融会社やウクライナ政府に今後の計画を示したのかもしれない。
 西側の金融資本がウクライナへ多額の資金を融資している目的のひとつは言うまでもなくカネ儲けである。穀倉地帯が広がり、豊富な資源を抱えている。例えばチタン、マンガン、鉄鉱石、水銀、石炭など。そうした資源を「担保」にしたレベレッジド・バイアウトLBO、買い手企業が金融機関などから資金調達を行ったうえで買収すること)を行なっているのだろう。勿論、西側資本は石油も狙っている。だからこそ、ヌランドが立った壇上にシェブロンのマークが飾られていたのだ。

 ウクライナにおける怪しげな工作で中心的な役割を果たしていると見られているのが「ブリスマ」だ。この会社はミコラ・ズロチェフスキーが設立したウクライナのエネルギー会社で、その重役には元ポーランド大統領のアレクサンデル・クファシニェフスキー、元CIA高官のジョセフ・コファー・ブラック、ジョー・バイデン大統領の息子であるハンター・バイデンも名を連ねていた。ブラックはブラックウォーター(後にXe、そしてアカデミに名称変更)の副会長を務めている。
 2014年4月16日、ハンター・バイデンはビジネスパートナーであるデボン・アーチャーとホワイトハウスで会談し、その5日後にはウクライナを訪問、アーチャーは4月22日に、またハンターは5月12日にそれぞれブリスマの取締役会に加わった。2014年11月から15年11月までの期間、ブリスマはハンターやアーチャーが経営するロズモント・セネカ・ボハイなる会社へ350万ドル支払っている。
 アーチャーはサリバンと同じようにエール大学の出身。そこでルームメートだった人物がジョン・ケリー元国務長官の義理の息子であるクリス・ハインツだ。

 アメリカ政府はウクライナを従属させるため、中立政策をとるビクトル・ヤヌコビッチを2度にわたって排除している。最初は2004年から05年にかけての「オレンジ革命」。ジョージ・W・ブッシュ政権は西側の金融資本とつながるビクトル・ユシチェンコを大統領に据えたが、彼の新自由主義政策は国全体の経済力を低下させ、貧富の差を拡大させた。
 そこで、2010年の大統領選挙でもヤヌコビッチが勝利したのだが、その際、WHOはパンデミックを宣言、ウクライナで致死的な豚インフルエンザが発生したとも報道された。そうした実態はなく、戒厳令を発令するための政治的な報道だったと言われている。
 そして2013年11月から14年2月にかけてバラク・オバマ政権はクーデターでヤヌコビッチ政権を倒した。手先として動いたのはネオ・ナチ。このクーデターではヤヌコビッチを抹殺する予定だったとも言われている。
 ちなみに、クーデターが始まる前年の2012年5月にジェイコブ・ロスチャイルドとデイビッド・ロックフェラーは手を組んでいる。ジェイコブ・ロスチャイルド氏が率いる投資会社RITキャピタル・パートナーズがデイビッド・ロックフェラーのロックフェラー・ファイナンシャル・サービシズが発行している株式の37%を取得すると発表したのだ。


米英政府の外務部門がウクライナに対し、露深奥部への長距離ミサイル攻撃を容認
                          櫻井ジャーナル 2024.09.13
 アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官とイギリスのデイビッド・ラミー外務大臣はウクライナのウォロディミル・ゼレンスキーと9月11日にキエフで会い、西側諸国から供与された長距離ミサイルをロシア国内の重要な軍事目標に対して使用することを認めることを強く示唆したという。ロシア政府を刺激することは間違いない。
 こうした兵器がウクライナが使用する場合、軍事衛星や偵察機からの情報が必要で、オペレーターもNATOから送り込む必要がある。当然のことながら、そうした西側の要員もロシア軍による報復のターゲットになるはず。すでにNATO諸国の特殊部隊員や傭兵、あるいはオペレーターがロシア軍の攻撃で死傷しているが、今後、犠牲者が増える可能性がある。
 アメリカやイギリスの「外交部門」がこうした好戦的な主張をしている。これまで彼らは外交的な解決を潰し、話し合いで解決する道を断ってしまった。ウクライナ、つまりアメリカやイギリスが負けているという印象が広がることを彼らは恐れ、虚勢を張るしかないのだろう。
 ウクライナ軍が8月6日にクルスクへ軍事侵攻した。兵力は1万人から3万人だったと言われている。数少なくなった軍事車両を投入、ドンバスからも兵力割いたようだが、ウクライナ軍の兵士を死傷させ、兵器を破壊するだけだった。
 ロシアがクルスクに配置していたのは国境警備隊で、装甲車両を連ねた部隊に当初は対抗することができなかったが、すぐに航空兵力で反撃を開始、続いて予備兵力も投入されてウクライナ軍を包囲しながら殲滅している。兵力が裂かれたドンバスではロシア軍の進撃スピードが上昇した。
 クルスクへの軍事侵攻がこうした展開になることは予想されていたことで、軍人が計画したとは思えないと言う人もいる。「ウクライナ軍は勝っている」というイメージを演出したい何者かが軍事を無視して実行させたのではないかと言うのだ。

 長距離ミサイルのロシア深奥部への攻撃に使うことを許すという決定を正当化するため、ロシアがイランから弾道ミサイルを受け取っているとブリンケンは9月10日に主張したが、そうした主張の根拠や証拠は示していない。
 兵器の製造能力を比較すると、ロシアはNATO全体の数倍だと言われ、その性能もロシアが上回っている。高性能兵器をロシアがイランから受け取っている可能性は小さい。ロシアとイランもそうした主張を否定している。
 ロシア深奥部に対する攻撃にアメリカの国防総省は反対していると言われている。そうした攻撃を実行した場合、ロシアはそれに応じた報復をすることが確実だからだ。ロシアが直接攻撃しなくても、イラン、シリア、イエメンのアンサール・アッラー(フーシ派)にロシア製の高性能兵器、例えば防空システム、長距離ミサイル、対艦ミサイルなどを供与することは想定できる。対艦ミサイルは地中海、紅海、アラビア海などにいるアメリカの艦隊にとって脅威だ。