2024年9月9日月曜日

次期総選挙対応は候補者選別支援(植草一秀氏)

 植草一秀氏のブログに掲題の記事が載りました。
 9月4日に衆院議員会館で開催された「災害・食料・消費税 総選挙で日本をアップデート 〝ガーベラの風″国会イベント」(「ガーベラの風 主催)は大盛況のうちに終わりました。
 既にイベント全編の動画が2種類、ネット上に掲載されていますのでご覧になれます。
 イベントの基本テーマは「災害・食料・消費税(新3S政策)」で、「災害」の焦点は原発で、日本は直ちに原発ゼロの決断を下すべきこと。「食糧」問題では、政府は日本農業の崩壊を誘導し、米国の規制基準を日本に持ち込み、食の安全を破壊しているのでこれを抜本修正すべきこと。そして「消費税」については、減税・廃止が喫緊の課題とするものでした。

 消費税の非合理・不当性については植草氏は6日のブログで、れいわ新選組のたがや亮衆議院議員の訴えをかなり詳細に紹介しているので、併せて紹介します。

 イベントの詳細は動画でご覧ください。
 なお会議で採択された「総選挙に向けての〝ガーベラの風″イニシアティブ」も掲載されています。
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次期総選挙対応は候補者選別支援
               植草一秀の「知られざる真実」 2024年9月 9日
9月4日開催の「ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)」主催
災害・食料・消費税 総選挙で日本をアップデート 〝ガーベラの風″国会イベント
は会場を埋め尽くす市民の熱気が満ち溢れるなかで開催された。
参加受付開始から早々に参加申し込みが定員に達し、多くの方に受け付けをお断りさせていただきご不便をおかけした。
しかし、すでにインターネット上に動画が配信されているので、ぜひご高覧賜りたい。
TTBジャーナルさま
     https://www.youtube.com/watch?v=MGQT7ygxutw&t=2846s 3時間34分)
IWJさま
 前半  https://www.youtube.com/watch?v=w2ORBF_QKhY&t=19s 1時間40分)
 後半  https://www.youtube.com/watch?v=KPTH30p5qEI 1時間39分)

基本テーマは 災害・食料・消費税 新3S政策と命名した。
災害の焦点は原発で、日本は直ちに原発ゼロの決断を下すべき
政府は日本農業の崩壊を誘導し、米国の規制基準を日本に持ち込み、食の安全を破壊しているこれを抜本修正すべきである。
消費税減税・廃止が喫緊の課題。イベントでは私から消費税減税・廃止について提言を示す予定だったが、時間が無くなり断念した。

次期衆院選では、これらの基本政策を確認し、基本政策を共有する市民と政治勢力、候補者の連帯を呼び掛ける。
政党単位では一部の野党が示す基本政策が私たちの主張と合致しない。
政策を基軸に候補者を選別し、私たちと基本政策を共有する候補祖を選別し、その候補者に私たちの投票を集中させる戦術を採用する。「選別支援」が総選挙の基本対応になる。
イベントでは「ガーベラの風」顧問で「村山談話を継承し発展させる会」理事長の藤田高景氏から私たちのイニシアティブを提案させていただき、満場一致で承認いただいた。
その「イニシアティブ」を掲載する。

総選挙に向けての〝ガーベラの風″イニシアティブ

日本経済長期停滞の下で労働者の実質賃金は過去27年間に17%も減少しました。この間に消費税率は10%に引き上げられ、日本の主権者は下流に押し流されています。他方、大企業利益は空前の規模に拡大しています。
集団的自衛権行使は憲法違反であるとの政府見解は書き換えられ、憲法改正の手続きを経ることなく憲法の中身が一内閣によって改変されました。自衛隊は米軍指揮下に組み込まれ、戦争準備が加速しています。
福島原発の悲劇を体験した私たちは原発廃止を決意したはずでしたが、一転、原発全面推進の旗が振られています。
TPP断固反対を掲げた自民党がTPPを推進し、日本の農業は壊滅の危機に瀕し、食の安全が根底から損なわれています。
このなかで、政治とカネの巨大組織犯罪に直面した岸田内閣が終焉し、次の総選挙を通じて、私たち主権者が望む基本政策を実現する清新な政権を樹立することが求められています。

原発廃止・食料と食の安全確保・消費税減税・廃止の基本政策を掲げる国会議員が衆議院過半数を制し、私たち主権者が希求する基本政策を実現する清新な政権を樹立することが必要です。そのために、思いを共有する主権者と政治勢力・議員候補者との強固な連帯を呼びかけます。
政治は私たちの命と暮らしを守る根本です。政治に無関心でいられても、政治に無関係ではいられません。私たちの未来を明るいものにするために、すべての市民が笑顔で生きてゆける社会を作り出すために、手をつなぎ、来る総選挙で輝かしい勝利を勝ち取ろうではありませんか。
本日の貴重な提言、提案を基礎にして、沈みゆく日本に、新しい輝きを取り戻しましょう。
未来を明るいものにするか、暗いものにしてしまうか。それは、私たち主権者の行動にかかっています。私たち主権者が主導してこの国の未来を明るいものにしてゆかねばなりません。
この決意を共有し、本日の国会イベントのイニシアティブといたします。
                              2024年9月4日
                         〝ガーベラの風″国会イベント
                              参加者一同 

9月末に自民と立民の党首選が投票日を迎える。
自民は新しい党首を選出し、その党首を首班とする内閣を樹立すると、直ちに衆院解散・総選挙に突き進むと考えられる。
かねてより、11月10日投開票日での衆院総選挙を予測してきたが、その予測が現実化する可能性が高まっている。
自民は選挙の顔をすげかえるが、新自由主義=弱肉強食奨励=大資本利益拡大のための経済政策を継続する可能性が高い
これに対して、主権者国民の利益拡大を目指す経済政策を前面に押し立てる政治勢力の躍進が求められる。
そのためには、野党勢力が基本政策を明確にした上で、主権者国民の支持を集める必要がある。
この点を詰めなければならない。

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「最重要争点が消費税減税である理由」でご購読下さい。

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9月4日に開催された「ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)」主催の国会イベント
                植草一秀の「知られざる真実」 2024年9月6日
「災害・食料・消費税 総選挙で日本をアップデート」には多数の国会議員が駆けつけ、迫る衆院総選挙に向けての熱い思いを話された。
国会議員の出席者が公務のために退席しなければならない時刻が重なり、大変なご不便とご迷惑をおかけしてしまったことを深くお詫び申し上げたい。
れいわ新選組国会対策委員長を務めているたがや亮衆議院議員は消費税問題を中心にお話しくださった。

消費税には「逆進性」という重大な問題が存在する。
敗戦後日本の税制の基本を定めるに際して最大の影響を与えたのが「シャウプ勧告」。
1949年にGHQの要請でカール・シャウプを団長とする日本税制使節団(シャウプ使節団)による日本の租税に関する報告書が提出された。
正式名称は「シャウプ使節団日本税制報告書」。
1949年8月27日付報告書と1950年9月21日付報告書の二つの報告書からなっている。
その骨格は直接税中心主義であり、直接税のなかでも所得税が中心に位置づけられた。
法人税については法人擬制説の立場に立って35%の比例税のみとした。
法人は単に法的に擬制された存在であって、所得は株主や出資者のもの。
法人税はこれらの者に対する所得税の前取りであると位置付けた。

所得税においては「総合所得課税」が基礎に置かれ、累進税率構造が採用された。
すべての所得を総合し、その所得に応じて課税額が決定される。
所得が増えるに連れて適用される税率は高くなる。
所得の少ない者に対する税率は低く、一定水準以下の所得に対する課税は免除される。
納税が発生する所得水準を課税最低限と呼ぶ。
所得の少ない者は納税を免除される。
つまり、日本の税制の基本は所得分配の不平等を是正する側面を重視したものになった。
所得の多い者は高い税率で高額の税金を徴収される一方、所得の少ない者に対する税率は低く、一定水準以下の所得水準では納税が発生しない。
貧富の格差を是正する機能を重視した税制が採用されたのである。
現在でも所得税制度においては、この機能が残存している。
例えば夫婦子二人で片働きの世帯では世帯主の収入が年間350万円程度までは納税額がゼロになる。

日本国憲法は生存権を保障している。
所得の少ない世帯から高率の税率で税金をむしり取れば生存が脅かされる。
所得税中心主義、累進税率構造による「能力に応じた課税」は生存権を保障する日本国憲法の原理に沿う税制であると言える。

しかし、この課税原則が大きく歪められている。歪めている根幹が二つある。
一つは金持ち優遇税制。
金融所得を総合課税の外に置き、金融所得に対する税率を例えば2割に定めると、金融所得が所得の太宗を占める富裕層の税負担率が著しく低下する。
もう一つが消費税。
消費税の税率は所得がない者も所得が年間10億円の者も同じ。税金は消費金額にだけかかる。
年収200万円の個人がすべてを消費に充てると年収の10%が税金でむしり取られる。
年収10億円の人が年間に1億円だけ消費すると年収に対する消費税負担率は1%にとどまる。
金持ちに限りなく優しく、所得の少ない人には生存権を奪う憲法違反とも言える税制である。
日本の社会保障が十分に高ければ財源を消費税で賄うことも選択のひとつ。
しかし、日本の社会保障の水準は極めて低い。

政府は血税で放漫財政の限りを尽くしているが、社会保障に振り向ける財政資金は1円でも減らそうとしている。このために、日本の社会保障制度は極めて貧困な水準に押し込められている。
この状況下で消費税率を大幅に引き上げて日本はおかしくなった。
たがや議員は消費税の理不尽さを切々と訴えられた。
下請け企業は消費税増税が行われても増税分を価格に転嫁できない。
そのために赤字企業が巨額の消費税納税者になり、零細企業の存続が立ち行かない事例が多発している。
インボイス導入も零細事業者の死活問題に発展している。
れいわ新選組は明確に消費税廃止の方針を打ち出している。

   (後 略)