右翼として知られた石原慎太郎氏は1995年に長く務めた国会議員を辞めた後、1999年に都知事になり以後4選・16年間に渡りその任に就きました。都知事辞任後、自らの最大の功績として挙げたのが都の会計システムを複式簿記制(・発生主義)に改めたことでした。その会計改革は2002年に着手し2006年に完成したといいますから、確かに大改革でした(因みに国の会計システムは複式簿記ではありません)。
複式簿記は収入とその支出先が簡単に対比できるもので今日一般企業で極々標準的に行われているものです。収入と支出の詳細がいくら明瞭であっても、収入に対する支出先の対比(或いはその逆の対比)が一目瞭然に出来るようになっていなければ、財政が健全なのかどうかが判明しません。例えばある高価なものをローンで買った場合、ローン支払の年額が明記されていても、残っている支払残高(後年度負担)が不明であれば財政の健全性を判断できません。
しんぶん赤旗の調査によると、防衛省の25年度予算案の概算要求で、軍事ローン「後年度負担」は総額15兆7489億円で、防衛省が25年度予算で要求した軍事費(約8・5兆円)の約1・8倍に相当します
当然同省予算はすでに過去の武器購入のローン払いで圧迫されており、25年度概算要求では軍事費総額のうち歳出化経費が初めて半分以上を占めました。後年度負担は、軍事費の膨張のツケを将来に回すもので予算の硬直化を招きます。既に軍事ローンが雪だるま式に膨らむ悪循環になっているということです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
軍事ローン15兆円超 3年間で3倍 過去最大更新
しんぶん赤旗 2024年9月6日
防衛省の2025年度予算案の概算要求で、高額兵器の購入費などを複数年度に分割で支払う軍事ローン「後年度負担」が総額15兆7489億円に上ることが分かりました。前年度より約2兆円増え、過去最大になりました。安保3文書に基づく大軍拡が行われている3年間で、約3倍に膨れ上がっています。 防衛省が25年度予算で要求した軍事費(約8・5兆円)の約1・8倍に相当します。
後年度負担は次年度以降の軍事費(防衛省予算)にローン返済に充てる「歳出化経費」として計上され、原則5年以内に支払われます。政府は憲法に基づき予算の「単年度主義」をとっていますが、高額兵器の購入などは例外扱いされています。
同省予算はすでに、過去の武器購入のローン払いで圧迫されており、25年度概算要求では軍事費総額のうち歳出化経費が初めて半分以上を占めました。後年度負担は、軍事費の膨張のツケを将来に回し、予算の硬直化を招きます。
内訳は、25年度の契約に基づき26年度以降に支払う「新規後年度負担」が6兆9192億円、24年度以前の契約に基づき26年度以降に支払う「既定分の後年度負担」が8兆8297億円です。新規分は24年度より約1兆円減少しましたが、既定分は約3兆円増加しました。
岸田政権による軍事費倍増が始まった23年度から「新規分」が急増。それまで2兆円前後だったのが7兆円台まで跳ね上がり、「既定分」を押し上げています。軍事ローンが雪だるま式に膨らむ悪循環になっています。