2024年9月21日土曜日

レバノンで連日の爆発 17日は12人が死亡2800人超が負傷 18日は20人が死亡

 レバノンの首都ベイルート郊外など各地で17日と18日にヒズボラの構成員が使用していたポケベルが爆発し、死者が30人超、負傷者は3200人超に達しました。イスラエルがポケベルに爆発物を仕掛けて遠隔操作で実行したと報じられています。爆発の威力はすさまじく、製造の過程で電池に爆薬が組み込まれたと想定されます。一般市民の巻き添えもいとわない無差別的攻撃です。

これを受け国連安保理はアルジェリアの要請で、20日午後に緊急の公開会合を開くことを決めました。17日の爆発でレバノン駐在のイラン大使も負傷したイラン国連代表部は18日、爆発はイスラエルによる犯行だと非難した上で、「このような凶悪犯罪に対応するために必要な措置を取る権利を持つ」と強調しました。

 このポケベルの製造元と報じられた台湾メーカー「ゴールド・アポロ」は18日、「製造に関わっていない」と否定する声明を発表しました。アポロ社は、爆発したポケベルの機種は同社が商標ライセンス契約を結ぶハンガリーの「BAC」が製造したものと説明し、「わが社は一貫して関連法規を順守している」と強調しました。
 台湾経済部は、アポロ社が製造・輸出しているポケベルはバッテリー容量は小さく、爆発で死傷者が出る恐れはないので、改造された可能性があると指摘しました。
 (以上しんぶん赤旗の記事より)

 櫻井ジャーナルによると、このポケベルはハンガリーを拠点とするBACがライセンス生産したというものの、この会社はイスラエルの情報機関が設立したペーパーカンパニーで、生産能力はなく、BACのCEOで且つ唯一の従業員であるイタリア人女性は、ポケベルの製造への関与を否定し自分は仲介者にすぎないと主張しました。現段階では誰がどこで製造したのか明確ではありません。

 しんぶん赤旗と櫻井ジャーナルの記事を紹介します。
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レバノンで連日の爆発 20が死亡 前日を上回る
                       しんぶん赤旗 2024年9月20日
【カイロ=秋山豊」レバノンの首都ベイルート郊外など同国各地で18日、イスラム教シーア派組織ヒズボラの構成員が使用していた無線機が爆発しました。レバノン保健省によると20が死亡し、約450が負傷しました。
 レバノンでは17日もヒズボラの構成員らが使用しているポケットベル型通信機器が次々に爆発して12人が死亡し、約2800人が負傷したばかりです。
 18日の爆発の死者数は前日を上回りました。17日の爆発で死亡したヒズボラの構成員らの争議会場でも爆発が起きました。ロイター通信は爆発した無線機には「ICOM」(アイコム)という社名と「日本製」と書かれていたと伝えました。
 レバノン赤十字はX(旧ツイッター)への投稿で、べルート南部や、東部ベカー高原など各地で起きた爆発に対し、30の救急隊が出動していると述べました。
 17日の爆発については、イスラエルのスパイが通信機器に爆発物を仕掛けて遠隔操作で実行したと報じられています。
 ヒズボラはイスラエルヘの報復を誓っています。イスラエルは爆発への関与を明らかにしていません。


多数の死者市民恐々 レバノン無差別攻撃に二ック
                       しんぶん赤旗 2024年9月20日
【イスタンブール時事レバノン各地では前日に続き18日も通信機器がほぼ同時に相次いで爆発を起こし、多数の死傷者が出ました。身近な機器が突然、殺傷力の強い凶器に変わる未曽有の攻撃。「全面戦争への序章だ」「敵に報復を」。緊迫度を増す日常にレバノン市民は戦々恐々としています。
 砕け散った無線機。炎を上げて燃え盛る車両。地元メディアが伝えた18日の被害状況は、爆発のすさまじい威力を物語ります。一般市民の巻き添えもいとわない無差別的な攻撃で、大きな人的被害を狙ったのは明らかです。
 レバノンでは17日に通信機器が一斉に爆発し、2800人以上が死傷しました。多くはイスラム教シーア派組織ヒズポラのメンバーたったとされます。中東メディアが報じた映像によれば、17日の爆発で死亡したヒズボラ構成員の葬儀中、無線機の爆発が葬列を襲い、叫び声を上げる参列者が二ックになって逃げ惑いました。
 首都ベイルートに住む不動産業者のアブ・アルアベドさん(40)は18日、時事通信の電話取材にきのうときょうの出来事で、レバノンではひどく悪いことが起きる予感がする」と吐露。イスラエルを「敵国」と見なす一方、ヒズボラに対する不信感も強く、「ヒズポラがイスラエルを挑発して、レバノンを目標のない壊滅的な戦争に巻き込もとしている。代償を払うのは私たちだ」と憤りをあわにしました。
 ヒズボラ支持が根強いベーイルート南部在住のラナさん(43)は、顔や手に重傷を負った被害者の惨状を見て「怒りと悲しみでいっぱいだ」と話しました。自身も爆発したのと同型の通信機器を持っていましたが、17日は別の部屋に置いてあり難を逃れたといいます。
 「彼ら(イスラエル)は今われわれに痛が、その報いは厳しいものになるだろう」と語気を強めました


安保理が緊急会合開催へ
                       しんぶん赤旗 2024年9月20日
【ニューヨーーク=時事】レバノンで通信機器などが一斉爆発し多数が死傷した事件を受け、国連安全保障理事会は20日午後(日本時間21日午前)に緊急の公開会合を開くことを決めました。今月の議長国スロベニアが18日、明らかにしました。
 安保理でアラブ諸国を代表するアルジェリアが開催を要請しました。グテレス事務総長は18日の記者会見で、中東地域の軍事衝突が拡大する「深刻なリスクがある」と警告。「緊張激化回避のため、あらゆる手段を講じる必要がある」と訴えました。
 17日の爆発ではレバノンに駐在するイラン大使も負傷。イラン国連代表部は18日、安保理に送付した書簡で、爆発についてイスラエルによる犯行だと非難したで「このような凶悪犯罪に対応するために必要な措置を取る権利を持つ」と強調。イスラエルをけん制しました。


台湾メーカー 製造否定表明 爆発のポケベル
                       しんぶん赤旗 2024年9月20日
【台北時事】レバノン各地で起きたポケベル型通信機器の連続爆発で、製造元と報じられた台湾メーカー「ゴールド・アポロ」は18日、「製造に関わっていな」と否定する声明を発表しました。
 アポロ社は、爆発したポケベルの機種は同社が商標ライセンス契約を結ぶ欧州企業「BAC」が製造したものと説明し、「わが社は一貫して関連法規を順守している」と強調しました。中央通信によれば、BAC社はハンガリーにあります。
 台湾経済部は18の声明で、アポロ社が製造・輸出しているポケベルが改造された可能性を指摘。同社製ポケベルのバッテリー容量は小さく、爆発で死傷者が出る恐れはないといいます。


ウクライナへ長距離ミサイルを西側が持ち込み、露国はイエメンにミサイル供与か
                          櫻井ジャーナル 2024.09.21
 9月17日と18日にレバノンやシリアでポケベル(ページャー)やトランシーバーが爆破され、子どもを含む市民も犠牲になった。爆発物はバッテリーの中に仕掛けられていたと見られている。新学期初日のラッシュ時に爆破されたことから渋滞で救急車も身動きがとれず、死亡者を増やす一因になった。
 そうした電子機器を誰が使っているかを犯行グループは掌握できていないようだが、こうした攻撃の準備には情報収集、技術開発、販売などで半年から数年は必要だと推測されている。
 ポケベルは台湾の会社、アポロ・ゴールドの製品。同社によるとハンガリーを拠点とするBACがライセンス生産したという。この会社はイスラエルの情報機関が設立したペーパーカンパニーで、生産能力はないと伝えられている。トランシーバーはアイコム社製の「IC-V82」で、同社によると10年前に製造を中止している。
 BACのCEOで唯一の従業員はイギリスで教育を受けたイタリア人女性のクリスティアナ・ロザリア・バルソニー-アルシディアコノ。この女性はポケベルの製造への関与を否定し、自分は仲介者にすぎないと主張。誰がどこで製造したのか、現段階では明確でない。

 ターゲットになったと見られているヒズボラのハッサン・ナスラッラは9月19日にテレビ演説を行い、テロ攻撃で死亡した人びとの遺族に哀悼の意を表した。攻撃について調査していると語ったが、イスラエルが実行したと断定、報復を誓っている
 ポケベルやトランシーバーを使ったテロ攻撃の直後にイスラエル軍はレバノン南部を爆撃したが、ヒズボラは9月20日、レバノン南部からイスラエル軍の主要軍事施設を150発以上のロケット弾で攻撃した
 ヒズボラはイスラエル軍がガザでの住民虐殺を止めるまでイスラエルを攻撃するとしている。サウジアラビア、ペルシャ湾岸の産油国、ヨルダンなどは傍観しているが、イラクのカタイブ・ヒズボラ、アサイブ・アル・アルハク、バドルなどのシーア派の戦闘集団、あるいはイエメンのアンサール・アッラー(フーシ派)はイスラエルやその後ろ盾になっている西側諸国との対決姿勢を強めている

 最も激しくイスラエルや西側を攻撃しているのはイエメンで、イスラエルへ向かう船舶を攻撃してきたが、9月15日にはイスラエルのテル・アビブ南部にある軍事施設をミサイル攻撃した。「パレスチナ2」と名付けられたこのミサイルは2040キロメートルを11分半で飛行したとされているので、時速1万1000キロメートル近く、つまりマッハ8以上の極超音波ミサイルだ。イスラエルは極超音速ミサイルだということを否定しているが、実際に極超音速だったようだ。
 このミサイルを供与できる国はイランかロシア。衛星に誘導されたはずで、ロシアが何らかの形で支援したと見られている。先週、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はロシアを極秘訪問したと言われているが、そうした問題をウラジミル・プーチン大統領と話し合うためだったと考えられているが、目的を達成することはできなかったようだ。

 ウクライナでアメリカをはじめとするNATO諸国はロシア深奥部を攻撃できる長距離ミサイルを供与した。これを使うためには衛星や偵察機からの情報、そしてオペレーターが必要だ。それに対抗してロシアはアメリカの敵対国に高性能兵器を供給すると見られていた。
 アメリカが派遣していた2隻の空母、セオドア・ルーズベルトとエイブラハム・リンカーンは中東を離れたと言われているが、これはロシアがイエメンに対艦ミサイルを供与する可能性を考えてのことかもしれない。対艦ミサイルを使われたなら、空母を中心とする艦隊は撃沈される可能性が高い。