27日の自民党の総裁選では、石破氏が決選投票で高市氏を制し五度目の挑戦で総裁に選ばれました。
当初は小泉氏が有力視されましたが、選挙戦の中で、彼には経験も素養も知識も さらには通常の会話能力さえも不十分で、首相の器ではないことがかなり衆知されたようです。
その点、石破氏は岸田氏のように言葉は軽くないし、軍事面を除けば、3者の中では一番真っ当な考え方をしているように思われます。
当選後の挨拶では、さすがに中国を対象とする「アジア版NATO」には言及しませんでしたが、平然と「中国の脅威」を述べ立てました。これは殆どの自民党議員が口にすることなので、そう受けて止めればいいのかも知れませんが、そんな考えで今後軍備の充実に走るのであれば、やはり浅はかに過ぎます。
植草一秀氏が掲題の記事を出しました。
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総裁選裏側の自民長老優勝劣敗
植草一秀の「知られざる真実」 2024年9月27日
9月27日、自民党総裁選が投開票日を迎え、石破茂氏が新しい党首に選出された。
1回目投票で首位に立ったのは高市早苗氏。小泉進次郎氏は3位に沈んだ。
選挙期間が長く小泉氏のメッキが剝がれた。
小泉氏は選択的夫婦別姓導入を公約に掲げた。自民党党員投票での集票を減らした。
また、解雇規制緩和を公約に掲げたが批判に晒された。
論戦では質問に対して正面から回答することができなかった。
短期決戦であればメッキが剥がれずに勝利を収めることができたかもしれないが長期戦となり地金が露わになり得票を減らしたと思われる。
決選投票で岸田氏は石破氏支持を鮮明にした。
これに対して麻生太郎氏は1回目投票から高市早苗氏支持を明確に打ち出した。キングメーカーの地位を確保するための賭けに出たが失敗した。
石破茂氏は5回目の挑戦で自民党党首のポストを射止めた。
高市氏より石破氏に勝利させたいとの議員心理が働いた面があると思われる。
高市氏は安倍晋三路線を引き継ぐことをアピールした。
靖国参拝継続を宣言し、経済政策では財政拡張・金融緩和継続を掲げた。
しかし、金融緩和継続は重大な問題を引き起こす。アベノミクス異次元金融緩和政策は日本円暴落をもたらした。また、4%を超えるインフレを発生させた。この是正が急務。
異次元金融超緩和がもたらした日本円暴落が重大問題を引き起こしている。外国資本による日本乗っ取りが加速している。
高市氏は経済安全保障担当相だが日本が直面する最大の経済安全保障問題が日本円暴落である。
日本の優良資産が外国資本によって乗っ取られている。
高市氏が提唱する金融緩和継続は外国資本による日本乗っ取りを推進する原動力になる。
経済安保相失格の政策提言である。
靖国参拝強行は近隣諸国との関係悪化を助長する。
僅差での決着になったが高市氏が敗北したことはせめてもの救いである。
小泉氏が失速して落選したことも小泉氏をパペット(⇒操り人形)にして日本植民地化、新自由主義経済政策をさらに推進しようとする勢力の思惑を砕く結果をもたらし幸いだった。
9人の候補者の中では相対的にましな候補者が勝利したと評価できる。
問題は石破氏の実行力。
自民党と旧統一協会との関係遮断、政治とカネ問題の解消が出発点になる。
自民党と旧統一協会との関係を再調査しなければならない。
「政治とカネ」問題ではまずは政策活動費廃止を断行する必要がある。
自民党は通常国会でザル法改定を強行したがこれをやり直す必要がある。
自民党に対する信頼を確保するには、この二つの問題にまずは真摯に取り組むことが求められる。
今回の党首選でのもう一つの焦点は首相経験者の今後のポジション変化。
菅義偉氏が小泉進次郎氏擁立を主導した。
森喜朗氏も小泉氏の当選を目指して蠢いたと伝えられている。
麻生太郎氏は最終局面で河野太郎氏を見捨てて高市早苗氏支持を明示した。
自分自身のポジション確保を優先する行動を示した。
岸田文雄氏は1回目投票結果を踏まえて石破氏支持を明確にした
この結果、キングメーカーのポジションを獲得したのは岸田文雄氏になった。
麻生太郎氏は失脚する。菅義偉氏と森喜朗氏も影響力が低下する。
石破氏は米国とつながる新自由主義売国勢力とも一定の距離を置いている。
この意味では相対的に悪さの少ない新党首を選出したと言える。
問題は石破氏の経済政策運営だ。この点について十分な検討が求められることになる。
(後 略)
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。