2024年9月11日水曜日

米国の影と危うい新自由主義 進次郎出馬 ~ /高市早苗のヤバさは極右思想だけじゃない! ~

 自民総裁選の有力候補とされている小泉進次郎氏は「さわやかさ」を売りにしていますが、規制改革では解雇規制の見直しを強調し、唐突に憲法の改悪を叫び出し、一方米国の気に入らないことは一切避けるという、その実態は大企業との癒着と米国のジャパンハンドラー仕込みの米国隷属です。いわばひたすら「強きにつく」を地で行くものです
 日刊ゲンダイが取り上げました。

 LITERAは、ネトウヨが「令和の卑弥呼」「現代の神功皇后」などと持ち上げ?ている、極右の高市早苗氏について取り上げました。
 高市氏は1994年に「説得できない有権者は抹殺」などという記述のあるナチス礼賛本『HITLER ヒトラー選挙戦略』に推薦文を寄せたり、2014年に安倍改造内閣に入閣した際にはネオナチ団体代表とツーショット写真を撮っていたことが発覚するなど、度を越した極右政治家で、「先の戦争は侵略戦争ではなかった」「国会デモを取り締まれ」「福島原発事故で誰も死んでいない」などという暴論を吐いてきました。
 そして高市氏の特徴といえば平気で「嘘」をつくことだと書いています。
 放送法の解釈変更をめぐる総務省の行政文書問題について、高市氏は当初「怪文書」「捏造だ」と全面否定し、“捏造でなければ議員辞職する”と啖呵を切りました。
 ところが後に総務省が行政文書だと認めると、「内容が不正確」などと表現を変更し、以後は言を左右にして辞職しませんでした。それなら啖呵などを切るべきではありませんでした。彼女の「ウソ」については余りにも事例が多過ぎて要約が出来ないほどです。
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米国の影と危うい新自由主義 進次郎出馬会見の舞台裏と下馬評
                           日刊ゲンダイ 2024/9/9
                       (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
「政治改革」「聖域なき規制改革」などを挙げたが、マトモな識者はどう見たか。親父と菅譲りの新自由主義の加速と、その裏に見え隠れする大企業との癒着と米国の影。庶民の暮らしには何も響かないボンボン2世の薄っぺらさと付け焼き刃。
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 予定より1週間ずらし、念入りに“予行演習”したのだろう。6日開かれた小泉進次郎元環境相(43)の自民党総裁選(12日告示、27日投開票)への出馬表明会見。世論人気から石破茂元幹事長(67)との決選投票になるといわれている。真打ち登場とばかりに、メディアも自民党内も固唾をのむ注目度だった。
「永田町近くにオフィスを借りて、選挙事務所にしている。会見はそこで行われ、記者の人数を絞り込んで、座席指定までする警戒ぶりでした。番記者ばかりが質問にあたって文句が出たので、フリーもあてたようです」(会見に出席した記者)
 プロンプターを駆使し、用意された原稿に何度も目をやる。質疑応答では「環境省時代の発言が軽い」「知的レベルの低さで(首脳会議で)恥をかくのではないか」などの厳しい質問もあったが、へりくだる様子でかわし、自民党内からは安堵の声も聞かれた。
「とりあえず、ボロは出なかった。落ち着いて安定していた。第一関門は突破した。これで評判が上がるんじゃないか」(自民党中堅議員)

各論だけの菅前首相タイプ
 会見場の進次郎の背中のボードには「決着」の文字。「長年議論ばかりを続け、答えを出していない課題に決着をつけたい」と意気込んだ。
 1年以内に実行する政策として掲げたのは「政治改革」と「聖域なき規制改革」だ。しかし、政治改革では、派閥裏金事件に関与した議員の非公認にまで踏み込むのではないか、などと囁かれたが、「説明責任や再発防止に取り組む姿勢、地元の意見を踏まえ厳正に判断」にとどまる弱腰。政策活動費の廃止や旧文通費(調査研究広報滞在費)の公開は既に他候補も打ち出していて目新しくもない。
 一方、規制改革では、労働市場改革として解雇規制の見直しをしきりに強調した。自民党内で賛否が割れる夫婦別姓については、法案を出し、採決で党議拘束を外すとした。
 そして、「最優先課題」と位置づけ、ことのほか力を込めたのは「憲法改正」だ。「立党以来の国民との約束」だと仰々しく、自衛隊明記などで国民投票を実施すると訴えた。岩盤保守層対策なのだろうが、「今まで進次郎氏から、改憲なんて聞いたことがない」(ベテラン議員)と党内でもいぶかしむ声しきりである。
 ジャーナリストの鈴木哲夫氏が言う。
「記者からの嫌な質問も爽やかに切り返し、自民党を変えるという印象は出していました。けれども、肝心の『政治とカネ』で裏金事件の総括や再調査を口にすることはなく、それでは真の『改革』にならないでしょう。政策の中身も総花的でした。外交や経済で新しいことを言うわけでもない。菅前首相のような『各論』に着目して変えようというタイプですね。日本をどういう国にするのか、どういう国にしたいのか、総合的な国家観が見えず、物足りなさを感じました」

父・純一郎の「聖域なき構造改革」を彷彿
 弁舌爽やかな中で、国民だましの言い回しがあったことは見過ごせない。
 裏金議員について「選挙で信任を受けるまで要職に起用しない」と言い切ったが、これは“改革やってる感”の演出にすぎない。進次郎は、その前段で「早期に衆院を解散し、国民の信を問う」と発言しているのである。
 すぐに選挙に突入するのだから、裏金議員が要職に就く場面など、そもそもないはずだ。国民をペテンにかけてはいけない。
 そして、進次郎の主張の根底に見え隠れしたのが、父・純一郎元首相と、後見人である菅前首相譲りの危うい新自由主義思考だ。「聖域なき規制改革」の文言は、かつて純一郎が竹中平蔵氏とともに推し進めた「聖域なき構造改革」を彷彿させる。
 進次郎の政策を実際にまとめたのは、菅が首相時代に重用した官僚たちだとされる。菅の短命政権ではやれなかった新自由主義的な政策を、進次郎政権で加速させるということだ。

労働者が求めるのはクビ切り自由化ではなく賃金上昇
 それがクッキリ現れたのは、自民党にとって長年の懸案事項となっている「解雇規制の見直し」への言及である。1時間の記者会見で、進次郎が最も時間を割いて説明した。安倍政権時代に「働き方改革」の一環として打ち出された生産性向上のための労働市場改革であり、別名「クビ切り自由化」と呼ばれた金銭解決による解雇のことである。
 進次郎は、既に岸田政権でも導入されているリスキリング(学び直し)と再就職支援を大企業に義務付けることで、「働く人が前向きに成長分野へ移ることのできる制度を構想したい」と言ったが、ちょっと待って欲しい。
 元経産官僚の古賀茂明氏はこう言う。
「『リスキリングを企業に義務付ける』と言うと、企業にとって厳しい政策に聞こえますが、実態はこれまでの自民党政権が進めてきた仕組みと何ら変わらず、労働者個人のための政策にはなり得ません。企業のご用聞きをして、金銭解決とセットで解雇規制を緩和し、企業に補助金を出すことになる。労働市場改革で生産性を向上──これを自民党は長年、投資家から要求され続けてきている。従業員をどんどん解雇すれば、企業収益が上がり、株価も上がる。つまり、大企業やマーケットに応えるための政策なのです。お金をくれる人にお金を戻すのが自民党政治。だから企業・団体献金を残している。労働者が求めているのは賃金上昇ですよ。現状、全国平均で1054円の最低賃金を2000円に大幅アップさせるとでも言ったらどうですか」

「地位協定見直し」を否定
 労働市場改革で生産性を向上させようというのが株式市場の要求であれば、まさにそれは、富める者はますます富み、持たざる者はますます苦しくなるという「弱肉強食」を是とする米国の論理だ。
 進次郎は純一郎同様、知る人ぞ知る親米政治家。当時、現職首相だった父のコネを利用して米名門・コロンビア大大学院に留学したと報じられているし、政治学修士号を取得した後は、ワシントンの「戦略国際問題研究所」(CSIS)の非常勤研究員を務めたCSISは日本外交に絶大な影響力を持つジャパンハンドラーの巣窟だ。
 そういえば会見で、米軍関係者の犯罪などへの対応として「日米地位協定の見直し」について問われたが、即座に「考えていません」と否定していた。米国の属国のままでいいということなのだろう。
「エネルギー政策は脱原発から原発の活用へと変わった。改憲への熱心さにも驚きました。結局、進次郎氏も『自民党の総理』になるという覚悟を決めたということ。『古い自民党と決別する』と力説し、新しい自民党政治の象徴のように振る舞っていますが、現実には、自民党の多数派が望む方向性を打ち出し、普通の自民党議員にならなければ総理になれないわけです。だから、進次郎氏が総理になったら、これまでの自民党とは違う政策を掲げるのではないかと“豹変”を期待するのは甘い。他の総裁候補も同様ですが、みな自民党の政治家ですから、『改革』と言ったって何も変わりませんよ」(古賀茂明氏=前出)
 進次郎はこの週末、7日は東京・銀座、8日は横浜で街頭演説する。「自民党をぶっ壊す」で自民党員でもない世論を巻き込んで沸かせた「小泉劇場」の再来を狙っているのは間違いない。
 とはいえ、「出馬表明の第一関門はクリアしたが、この先はもっと厳しく突っ込まれるだろう。総裁選は告示から15日間もある。最後までボロを出さずに行けるのかどうか」(前出の自民党中堅議員)。
 会見で透けて見えたのは、大企業との癒着と米国の影。庶民の暮らしには何も響かないボンボン2世の薄っぺらさと付け焼き刃だ。断言しよう。進次郎で自民党が変わることも、日本が良くなることもない。


高市早苗のヤバさは極右思想だけじゃない! 総務省文書問題、、政治資金規正法違反をめぐる“大嘘”の数々
                             LITERA 2024.09.09
「私は日本をもう一度、世界のてっぺんに押し上げたい。できるに決まっています」──本日9日、高市早苗氏が自民党総裁選の出馬会見を開いた。「サナエあれば、憂いなし」「日本列島を、強く豊かに」をキャッチコピーに、防衛力の強化や「内閣情報局」の創設をはじめ、自衛隊を実力組織として揺るぎない位置付けをするための憲法改正、「皇統をお守り申し上げるための皇室典範の改正」、などの政策を掲げた。
 また、首相就任後の靖国参拝を示唆したほか、選択的夫婦別姓制度の導入については「旧姓使用の法整備で対応」と従来の考えを堅持。さらに、裏金議員の処遇については「総裁が代わったからと言って、ちゃぶ台返しをするようなことをしたら独裁だ」などと言い出し、裏金議員の党処分を見直さない考えを示した。
 極右政策を全面に押し出し、裏金事件を終わったことにする──。こうした高市氏の態度は、「高市推し」の顔ぶれを見れば納得がいくものだ。
 実際、2021年の前回総裁選では安倍晋三・元首相が「高市早苗さんこそ保守派のスター」などと語り、ネトウヨも「令和の卑弥呼」「現代の神功皇后」などと言い出す始末だったが、今回も「日本を護れるのは高市総理しかいない!」と大盛りあがり。ネトウヨジャーリストやネトウヨ文化人が高市氏を応援しているほか、総裁選に合わせて「Will」や「月刊Hanada」が高市本を出版するなど極右メディアも高市氏を激推ししている。
 さらに、高市氏を支持する国会議員には、前回総裁選で高市氏の「最側近」として活動した杉田水脈氏をはじめ、衛藤晟一氏や山田宏氏、中曽根弘文氏といった日本会議系の極右議員がズラリ。とりわけ杉田氏といえば、自身の発言が法務局から2度も「人権侵犯」認定を受けているにもかかわらず、先日6日にも那覇市内の講演で差別根絶に取り組む沖縄、アイヌ民族、在日コリアン、被差別部落などの人々を「反日の左翼」と総称し「どれだけ力を持っていて、どれだけ面倒くさいか」と発言したことが問題になったばかりだ。
 また、こうしたネトウヨ議員はほとんどが安倍派裏金議員。高市氏が「処分を見直すことは独裁」などと言い出したのはさもありなんという話だ。
 道徳を語りながら裏金づくりに勤しみ、差別で支持拡大を図るような輩を背後につけている時点で高市氏の見識を疑わざるを得ないが、しかし、もっともヤバイのは当の高市氏本人の言動だ。
 そもそも、高市氏は1994年に「説得できない有権者は抹殺」などという記述のあるナチス礼賛本『HITLER ヒトラー選挙戦略』(小粥義雄/永田書房)に推薦文を寄せたり、2014年に安倍改造内閣に入閣した際にはネオナチ団体代表とツーショット写真を撮っていたことも発覚するなどウルトラタカ派として知られてきた政治家。自身も「先の戦争は侵略戦争ではなかった」「国会デモを取り締まれ」「福島原発事故で誰も死んでいない」などという暴論を吐いてきた。

高市早苗は嘘ばかり!統一教会との関係でも、放送法解釈変更めぐる総務省文書めぐっても
 そのうえ、高市氏の特徴といえば、平気で「嘘」をつくことだ。
 実際、昨年持ち上がった放送法の解釈変更をめぐる総務省の行政文書問題にかんする答弁では、高市氏は当初、「怪文書」「捏造だ」と全面否定、“捏造でなければ議員辞職する”と啖呵を切っていたのに、総務省が行政文書だと認めると、しれっと「内容が不正確」などと表現を変更。それを指摘されると、今度は「捏造と言うと言葉がきつすぎるので、あえて繰り返しは使わない」と、理屈にならない理屈を強弁した。挙げ句、参院予算委員会では、問題の追及をおこなった立憲民主党の杉尾秀哉・参院議員に「私が信用できないのであればもう質問しないでほしい」と、大臣としてあるまじき国会を冒涜する暴言を吐いた。
 また、安倍元首相の国葬が実施された2022年、会合で高市氏が「(安倍晋三・元首相の)国葬反対のSNS発信の8割が隣の大陸からだった」と発言したと三重県議が投稿。これに対して高市氏は「そのような発言をすることはない」「そもそも大陸という言葉は使わない」などと否定したが、AERA.dot」の取材に対し、会合に出席したある市議は、高市氏からその旨の発言があったことを証言している。
 だが、高市氏の嘘はこれだけではない。あの統一教会との関係についても、高市氏は大嘘をついていた。
 安倍元首相の銃撃をきっかけに、統一教会と自民党議員との癒着が次々と浮上した2022年夏。高市氏は毎日新聞から、統一教会系メディアである世界日報社が発行する月刊誌「ビューポイント」に登場していることを指摘され、8月10日の閣僚就任会見において、2001年に「ビューポイント」に登場したことがあると認めた。しかし、高市氏は「当時私が大変親しくしておりました細川隆一郎先生からのお誘いだった」「『ビューポイント』という本が旧統一教会と何らかの関わりのある本だということも知りませんでした」と弁明していた。
 ところがその後、2001年に登場した「ビューポイント」の対談記事が、じつは「世界日報」の同年1月5、6日付に掲載されたものだったことが判明。しかも、高市氏は1994年から2001年にかけて少なくとも5回も「世界日報」に登場し、「夫婦別姓。私は大反対」「私は家長制度が復活してもいいと思う」「いくら選択的別姓といっても、家族の絆に影響を与えると思う」などと統一教会の思想と共通するような発言を繰り返していたことも発掘された
 言っておくが、高市氏が「世界日報」に登場していた時期というのは、統一教会が霊感商法や合同結婚式によって大きな話題を集め、社会問題化していた時期だ。ましてや政治家が、「世界日報」が統一教会系メディアであることを知らなかったわけがないだろう。
 しかも、高市大臣は「政治とカネ」問題でも重大なインチキ発言を繰り返してきた。
 それは、本サイトでもお伝えしてきた高市氏の事務所が政治資金規正法違反を隠すために、領収書を偽造していた問題だ。

高市早苗は政治資金規正法違反を隠蔽するため領収書を偽造した疑惑も
 きっかけは2022年、上脇博之・神戸学院大学教授が、高市氏と、高市氏が代表を務める自民党奈良県第2選挙区支部の会計責任者で高市氏の公設第一秘書である木下剛志氏を政治資金規正法違反の疑いで奈良地検に刑事告発したことだった。
 告発状などによると、第2選挙区支部は、2019年3月17日に大阪市で、2021年7月24日に奈良市で、それぞれ政治資金パーティを開催。対して、高市氏の選挙区である奈良県山添村の「自民党山添村支部」は、第2選挙区支部に「パーティチケット購入」費として各22万円を支出したことを政治資金収支報告書に記載していた。ところが、各22万円を受け取っているはずの第2選挙区支部の政治資金収支報告書には、山添村支部からの収入が記載されていなかったのだ。
 改正前の政治資金規正法では、1回の政治資金パーティで同一の者から20万1円以上のパーティ券の収入があった場合、金額や相手の名前などを記載することを義務付けており(2027年1月1日からは5万円超に引き下げ)、不記載には5年以下の禁錮または100万円以下の罰金という罰則が設けられていた。つまり、この高市氏が代表を務める第2選挙区支部には政治資金規制法違反にあたる不記載の疑いがあるとして、上脇教授は奈良地検に告発をおこなったのだ。
 だが、この問題を「しんぶん赤旗 日曜版」が取材に動くと、高市氏が代表を務める第2選挙区支部の会計責任者は「山添村支部に販売したパーティー券は、19年は20万円分、21年は12万円分だ。先方が勘違いして22万円と記載した」と主張。「赤旗日曜版」の取材から3日後には、山添村支部が高市大臣側の主張どおりに2021年分の政治資金収支報告書を訂正したのだが、「赤旗日曜版」によると、〈違法の疑いの“証拠”である22万円の領収書を、編集部の取材後に第2選挙区支部が再発行した12万円分の領収書に差し替え、奈良県選挙管理委員会に提出〉したという。
「赤旗日曜版」は、この「領収書差し替え」について、昨年1月15日号で〈違法の疑いの“証拠”を“亡きモノ”とした〉と指摘。上脇教授も「山添村支部の支出が22万円だった場合、高市氏側の不記載となる。その訂正を免れるため高市氏側が虚偽の領収書を再発行し、山添村支部側に虚偽の報告をさせた疑いが出てくる」「領収書は支出側と受領側が取り交わした証明書だ。告発後に違法の“証拠”となる領収書を差し替えるなど聞いたことがない。違法性を否定するために虚偽の領収書を発行したとすればこれ自体が重大問題だ」とコメントした。
 しかし、この問題を「赤旗日曜版」が報道すると、高市大臣は強気の姿勢に出た。昨年1月13日におこなわれた閣議後会見で、日本テレビの記者がこの問題について質問すると、高市大臣は「まったく事実ではない」「『(領収書を)差し替えた』という件に強く抗議したい」「強く憤っている」と報道を否定。さらに、高市大臣は同年1月16日にこうツイートした。
〈共産党の「赤旗」の報道で大迷惑をしていますが、私が支部長を務める自民党奈良県第二選挙区支部は、正しい領収書を発行し、正確な収支報告をしています。事務的ミスをした他の地域支部が収支報告を修正したまでの話です。〉
 つまり、高市大臣は「領収書差し替え疑惑」を全面否定したうえ、報道に対し「強く憤っている」「大迷惑をしている」と、まるで誤報の被害者であるかのような態度を示したのだ。

高市早苗側の偽装工作をうかがわせる実名証言が次々 筆跡鑑定の結果も
 ところが、このあと関係者からは疑惑隠蔽のための偽装工作をうかがわせる証言が次々と飛び出した。なんと、山添村支部の現代表者は「訂正のことは全然知らなかった。事前も事後も報告はなかった」と証言し、会計責任者も「私は訂正に関与していないので聞かれてもわからない。誰が訂正したのかもわからない」と語ったのだ。奈良県選管に提出された「訂正願」には、山添村支部の代表者の名前も会計責任者の名前も記されている。にもかかわらず、当の山添村支部の代表者も会計責任者も「訂正のことは知らなかった」「誰が訂正したのかもわからない」と語る。いったい、誰が山添村支部の「訂正願」を提出したのか──。
 そこで、「赤旗日曜版」は、奈良県選管に提出された山添村支部の「訂正願」の筆跡と、第2選挙区支部が再発行した領収書や過去の政治資金収支報告書に書き込まれていた直筆の文字を筆跡鑑定。なんと、その結果、山添村支部の「訂正願」の筆跡は、第2選挙区支部の会計責任者で高市大臣の公設第一秘書である木下氏の筆跡と同一人物のものだと判定されたのである。ようするに、上脇教授に告発されたことを受けて証拠の領収書を差し替えたばかりか、山添村支部による政治資金収支報告書の訂正を、権限などない高市大臣の秘書がおこなっていた可能性が高いというのだ。
 この新たな証拠をもとに、2023年3月、上脇教授は高市大臣と木下秘書を有印私文書変造・同行使罪や政治資金収支報告書の虚偽記入罪で奈良地検に告発。上脇教授は「高市大臣側が保身のために、他の政党支部の収支報告書を勝手に訂正したとすれば極めて悪質で傲慢です。高市氏は大臣として失格ですが、議員としても失格です。検察は捜査を尽くして厳重に処罰すべきです」(「アジアプレス・インターナショナル」2023年3月14日付)と述べていた。
 今年8月16日に上脇教授は〈高市早苗らの刑事告発ですが、まだ地検の処分は出ていないですね〉と投稿しており、この高市氏の問題はいまだ決着がついていない。そもそも、高市氏は2011年までは安倍派に所属。裏金キックバックについて高市氏は「恥ずかしながらノルマを上回ったことはなく、むしろ未達成分を自腹で買って派閥に入金していました」などと語っているが、裏金事件とはけっして無関係ではないのだ。
 高市氏は2012年、安倍元首相が会長を務めた極右議員連盟「創生「日本」」の研修会において、当時の生活保護バッシングに乗じて「さもしい顔して貰えるものは貰おう。弱者のフリをして少しでも得しよう。そんな国民ばかりでは日本国は滅びてしまいます」と発言していた。かたや、自身の政治資金問題では告発後に領収書を差し替えたり、裏金事件をなかったことのようにしようとは、「さもしい顔」をしているのは一体誰なのか
 万が一、高市氏が次期首相になれば、安倍政権よろしくネトウヨや歴史修正主義者が幅を利かせ、政権の有力議員から女性や性的マイノリティに対する差別を肯定・助長する発言が出ても野放しとなるのは目に見えている。安倍元首相の後ろ盾がないなかで保守票を高市氏がまとめきれるのかは不透明だが、「高市総理の誕生」という最悪の悪夢が訪れないことを祈るばかりだ。(編集部)