世に倦む日々氏が掲題の記事を出しました。
自民党総裁選レースでは小泉進次郎を新総裁に据える狙いでマスコミが結束しているということで、12年に安倍晋三氏が再起したときにマスコミが一斉に彼を美化し賛美したのに似ていると指摘しています。
そういえば「維新」が登場した際にもマスコミは一斉に「注目の第3極」だと持ち上げました。維新はその後それなりに全国政党として時歩を固めるかに見えましたが、同時に自民党よりも右寄りという「極右ぶり」も明らかになりました。
先の大阪府箕面市長選で同党の現役市長が惨敗したのを契機に、今後は衰退に向かうものと思われます。
総裁選レースが始まる前の人気投票では小泉氏は低位につけていました。しかしマスコミの力は大きく、12日付の朝日新聞によれば「総裁選レースは石破、小泉の順でそれを高市が追う」という具合に「浮上」しているということです。
そもそも文章の体を為さない「進次郎構文」で明らかなようにキチンとした考えの持ち主なのかどうかが疑われる人物を、何故マスコミは一斉に推すのでしょうか。
進次郎氏は父 純一郎氏のコネで名門・コロンビア大大学に留学後、ジャパンハンドラーの巣窟である「戦略国際問題研究所」(CSIS)の非常勤研究員になりました。彼が米国ジャパンハンドラーの手駒であることは間違いありません。
世に倦む日々氏はこの「進次郎フィーバー」は、「菅義偉が差配してカネを撒き、電通が請け負ってうごめいているのだろう」と見ています。そして「驚いたのは、小泉進次郎が目玉として打ち上げた政策で、『解雇規制見直し』を『聖域なき規制改革』と称して、1年以内で実現するとした」ことで、「今までこんな公約を選挙で語った政治家を見たことがない」と述べています。
多分、進次郎にはこの政策で快哉を叫ぶのは大企業側のみで、庶民に対しては「さらに不幸のどん底に落とし込む」ものであるという自覚がないのでしょう。もしも自覚していればこんなことを公言する筈はないので、彼が如何に粗雑な人間であるかを証明するものです。
X(ツイッター)で、「庶民の生活苦が分からない」「増税メガネから増税王子か」などのコメントが相次いだのは当然のことです。
「この国民にしてこの政府あり」はトーマス・カーライルの警句です。
全てを承知の上で国民をその方向に向けるマスコミには罪の自覚はないのでしょうか。
追記)
その後、『解雇規制見直し』への不評に驚いた進次郎氏は、慌てて「解雇規制の見直しは解雇の緩和を意味しない」との「進次郎構文」を口にしました。それは「Aは〝非A″である」という〝非論理″そのもの。その後は「解雇規制見直し」自体を完全に封印したということです。こんな風に一旦は「目玉」として打ち上げた政策を次の瞬間には封印するというデタラメさは、もはや政治家としては失格の証明です。
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小泉進次郎一択でマスコミが宣伝に狂奔する自民党総裁選 - 自民党と政策の差がない図を強調する立憲民主党代表選
世に倦む日日 2024年9月11日
岸田文雄が先月 8/14 に首相退任の発表をした後、そこから約4週間、マスコミでは延々と自民党総裁選レースの報道が続いている。NHKの7時のニュースとNW9は皆勤賞でこの話題を流していて、自民党総裁選のCMを放送し続けている。朝と昼の民放のワイドショーも同じだ。いつもの、自民党総裁の顔を変えて、マスコミが宣伝して世論を煽り立て、解散総選挙で自民党勝利へ誘導するという、マスコミ主催の日本の政治の祭りが到来し進行している。総選挙の前の前座レースとして総裁選ショーを盛り上げ、自民党の人気を高め、自民党と支持者を活気づかせ、自民党主導の態勢で総選挙をやらせて勝たせる思惑だ。今回は、小泉進次郎を新総裁に据える狙いでマスコミが結束している。12年前の、自民党が政権に復活した、第2次安倍政権誕生の前の9月の総裁選の空気と似ている。
あのときも、傍目には非常に奇妙な景観だった。第1次政権は1年足らずの短命で、内閣は不祥事だらけで、知性低劣で人格未熟で傲慢無比な安倍晋三には政府を切り回す能力がなかった。世論に徹底的に叩かれ、07年の参院選で惨敗してあっさり降板した。世間では、安倍晋三は無能で暗愚の世襲右翼と評価が固まっていた。その安倍晋三が、なぜか12年にはマスコミ(読売・産経・日経・文藝春秋)に担がれ、異常に美化され、脚光を浴びて新総裁に再登板し、勢いのまま総選挙で権力を手にするのである。そこから、NHK、共同、テレ朝、TBS、朝日、毎日も、安倍晋三の親衛隊になり、安倍晋三の子分が社内を牛耳り、安倍晋三に忠実で安倍晋三を崇拝する若手が出世して行った。今回の様子を見ていると、マスコミは12年の再現を狙っていて、小泉進次郎をあのときの安倍晋三の子分が社内を牛耳り、安倍晋三に忠実で安倍晋三を崇拝する若手が出世して行った。今回の様子を見ていると、マスコミは12年の再現を狙っていて、小泉進次郎をあのときの安倍晋三にしようとしている。
小泉進次郎と言えば「進次郎構文」の爆笑ネタで揶揄われる滑稽な政界ピエロで、仲間も実績もなく、実力も資質もなく、こんな男が何で急に総裁選レースの首位に飛び出すのだろうと私には不思議でならない。どう考えてもこれは仕込みの政治であり、マスコミの謀略であり、マスコミが菅義偉や財界やアメリカと謀って動かしている政治だ。8/14 の岸田退陣表明の後、急に世論調査で小泉進次郎が飛び出し、石破茂に次ぐ二番手になり、9月に入ってマスコミが本命の地位を既成事実化する報道を撒き散らした。9/6 に記者会見して世論調査でトップに立った。この政治過程を面妖で不自然だと疑う証拠情報を幾つか提示しよう。今年2月に毎日新聞が「次の首相にふさわしい人」の世論調査の順位を並べている。1位が石破茂で25%、2位が上川陽子で12%、3位が高市早苗と小泉進次郎で同率で9%という結果だ。
今年1月の週刊女性の「首相になってほしい議員ランキング」では、1位が石破茂で142票、2位が高市早苗で97票、3位が野田聖子で88票、5位が河野太郎で52票となっている。何と、小泉進次郎はベスト10の中にも入ってない。女性に人気がないのか。少し古い記事だが、文藝春秋が22年1月に上げた「次の総理ランキング」がある。1位が林芳正で31票、2位が河野太郎で18票、3位が茂木敏充で16票、4位が岸田文雄で9票、5位が高市早苗で8票、6位が石破茂で6票となっている。小泉進次郎はランキングの中に入ってない。この文藝春秋と週刊女性の人気番付が、今年の夏までの小泉進次郎の政治家としての相場だったような印象がある。つまり、総理候補としては圏外で論外の存在だった。二番手でも穴馬でもなかった。「進次郎構文」では不安すぎるという見方が定着していたはずだった。
9/9 の報道1930に出演した朝日新聞の秋山訓子は、9/6 の小泉進次郎の会見に対して、「すごく印象が良くて」「進次郎さん分かりやすくて物凄く準備していた」「ものすごく練習していた」「この人努力したんだなと世の中の評価も上がった」などとベタ褒めの賛辞を言い、マスコミが出す小泉進次郎の高支持率をエンドースするコメントを垂れていた。朝日だと箔がつく。権威の保証が付き、マスコミの「世論調査」が正当化される根拠となる。秋山訓子は、この任務のために 9/9 の報道1930に登壇したに違いない。まさに目の前で、テレビで、支配層による計画的な政治が実行され、目的を射止めるべく役割を持った者たちが精力的に動いている。1か月半後の選挙結果を固めるために。田崎史郎が動き、後藤謙次が動き、秋山訓子と松原耕二が動いて、小泉進次郎の新総裁新総理を実現するべく奔走している。
記者会見場の派手な演台装飾も、銀座や横浜の(サクラの)人集めと絵作りも、菅義偉が差配してカネを撒き、電通が請け負って蠢いているのだろう。驚いたのは、小泉進次郎が目玉として打ち上げた政策で、解雇規制見直しを「聖域なき規制改革」と称して持ってきた。1年以内に実現すると言う。今まで、こんな公約を選挙で語った政治家を見たことがない。狼狽する。解雇規制撤廃を提唱すれば、「改革の旗手」として世間の支持が集まるのだろうか。腰を抜かしそうになったが、マスコミも野党も特に緊張が走らず、連合が反発せず、立憲民主党から反論が出ない。立憲民主党の代表選が進行中で候補4人が出ずっぱりだが、小泉進次郎の解雇規制見直しを厳しく非難する場面がなかった。まさか賛成なのだろうか。15年前だったら、連合が糾弾する前に日弁連が制止の勧告を上げただろう。時代が変わったと痛感する。
解雇規制の緩和・撤廃は財界がずっと待望してきた目標で、竹中平蔵が要求し続けて来た猛毒の新自由主義政策だ。今の日本の大企業が社内に余剰人員を抱えているのは事実で、人件費の高い50代以上の正社員を整理したいという動機と欲望は確実にあるだろう。この政策が実現すると、働き盛りの世代で大量の失業者が発生する。企業は、手にしたこの解雇権を武器に、解雇が嫌なら賃金削減に応じろと社員と組合に迫ることができ、労働者は正社員から非正規に移ることを強要される。泣き寝入りを選ばざるを得ない。こうして企業は労賃切り下げの新たな手段と環境を手にすることができ、人件費のコストカットで純利益を上げ、株価を上げることができる。フローの利益剰余金すなわちストックの内部留保を膨らますことができる。その結果、日本の総雇用者所得は減り、名目賃金も減る。賃金は上がるどころか下がる。
一方、立憲民主党の代表選の方は、9/7 に告示され、9/23 に投票される。先週末から今週初にかけてテレビ番組で討論会が生放送されたが、自民党総裁選の告示日の 9/12 以降は、誰も興味・関心を持たなくなり、マスコミの話題から外れるだろう。マスコミは野田佳彦が新代表になるだろうと予告し、怪しい「世論調査」の数字を見せ、これまた既定事項のように世論の空気を固めている。討論会を見た印象としては、政策が大きく右寄りに旋回していて、枝野幸男が新党を立ち上げた17年秋当時の路線と方向性は完全に消えていた。自民党と全く同じになり、自民党と同じ政策だから安心してくれとメッセージを発している。嘗てあれほど強く拒絶し反対していた安保法制を認める方針に転じ、43兆円の軍事費や敵基地攻撃能力も認めている。経済安保にも賛成で、安保政策では自民党と何の違いもなく、4人とも一致。
また、消費税についても5%減税の政策を撤回した。これまで党内で消費税減税の代名詞のような存在だった小沢一郎が、ここへ来て持論を否定、野田佳彦とくっつき、立憲民主党の転向を象徴する絵を世間に見せた。驚くと同時に失望させられる。また、原発政策も転換し、原発ゼロの訴えをやめ、再稼働容認の立場となった。枝野新党の決起以来、自民党との間で対立軸を構成していた基本政策の悉くを、ここで明確に転換し、党全員で右に寄り、国民民主党と同期させ、自民党との互換性をアピールする図となった。4人の中では相対的に左寄りと目されていた吉田晴美も、他3人と対立する政策姿勢の強調がなく、単に紅一点の演出役として党に貢献し、功労者として出世しようとする思惑が透けて見える。脱力する。最低賃金1500円を付録的に言い添えているのは、野田佳彦にその役割を指示されたのではないか。
今回の立憲民主党の代表選には、以前のような路線衝突や権力闘争の側面が全くない。本来、この党には右と左の対立が本質的に内在し、それが代表選で浮上して摩擦し紛糾するのが常だった。今回は競争がない。代表選の討論会は、4人が仲良しグループを際立たせる懇談会になっていて、候補同士の対立点や差別化を示すのではなく、一緒に自民党の裏金問題を攻撃し、自民党総裁選の欺瞞(選挙前のウソ公約)を衝く場となっている。自民党を批判する機会として活用していて、政策は自民と共通ですから、裏金問題で怒っているなら立憲に票を下さいと訴求している。政策は国民民主と同じですから安心安全ですとアナウンスし、共産と手を組むような誤りは絶対に二度と犯しませんとコミットしている。その戦略と態度で4人の足並みが揃っていて、水面下で事前に打ち合わせて協調しているかの如くだ。シビアな論争と国民生活の代弁と反ネオリベの旗幟を期待した私は大いに落胆させられた。
野田佳彦が代表になったら、すぐに小泉進次郎と合意して、消費税15%引き上げを決定するのではないか。増税を固めて選挙(来夏の参院選)の争点から消すのではないか。9条改憲についても、総選挙の後、与野党合意に踏み出して国会発議に出るかもしれない。今、1か月半先の総選挙に向けて、序盤戦が始まっているが、日本共産党やれいわ新選組が主張するような政策課題や国民生活の窮状は、マスコミの表面で全く説明されず、黙殺されたまま、置き去りにされたままだ。自民党批判は裏金問題ばかりにフォーカスして埋めている。能登の震災の問題も、自民党の候補たちが自己宣伝の材料に利用するだけで、被災者が自己責任で切り捨てられて復旧が途絶している実態が争点にならない。自衛隊は発災時に全く救命出動せず、工兵を使って道路復旧もしなかったのに、風呂焚きで頑張ったとマスコミに賞賛させて英雄になっている。
7月の都知事選で、勝利できないまでも拮抗・惜敗の結果に持ち込めていれば、このような悲惨な事態にはならなかっただろう。野田佳彦の右派路線で立憲民主が全党結束する最悪の展開にはならなかったと思われる。わずか2か月前の出来事だが、蓮舫と日本共産党が しばき隊選挙 の自滅と暴走をしなければ、もう少し左派の政策論と対立軸がマスコミで注目される政治の季節を迎えられていた。4月の3補選後の野党優勢の政治状況のまま、多数庶民からの熱い期待を受け、秋の決戦に臨めていた。覆水盆に還らずだ。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。