2024年9月24日火曜日

立憲民主党凋落の歩み(植草一秀氏)

 23日、立民党の代表が野田佳彦氏に決まりました。昔の名前で出ていた人で、民主党政権退場後、国民から二度と民主党が顧みられなくなった原因を作った「張本人」でした。

 決選投票のもう一方の枝野幸男氏も似たようなもので、国民の大部分が何も期待していない人たちです。
 枝野氏が早々に立民党代表選に名乗りを挙げたのは、このところの補選や首長選で自民党が連戦連敗していることから、いよいよ政権を取れるチャンスなのかと期待して、それなら自分が出ないと とでも思ったのでしょうか。
 立民党にも優秀な若手がいるので、今回はそうした人材が新しい代表になるチャンスでした。ところが思いがけずに、とっくに用済みのロートルが2人もシャシャリ出て来たので遠慮するしかなかったのでしょう。老害の恐ろしさです。

 植草一秀氏が掲題の記事を出しました。
 かつての民主党野田政権が どんな風に選挙で惨敗して野に下ったのかを簡潔に説明する中で、立民党がこの先勢力を伸ばす可能性はないことを明言しています。
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立憲民主党凋落の歩み
                植草一秀の「知られざる真実」 2024年9月23日
二つの党首選が決着を迎える。
立憲民主党は本日、9月23日に新党首を選出する。かつての民主党を崩壊させた者が昔の名前で出ている「ふてほど選挙」。不適切にもほどがある。
野田佳彦氏は2012年12月に総選挙を強行した。年内選挙を強行した最大の理由は小沢新党に巨額の政党交付金が渡るのを阻止することだったと見られる。同時に民主党自身も議席を激減させたから民主党が受領する政党交付金も激減した。

党首の野田佳彦氏はこの年の8月に消費税大増税法制定を強行。
かつて「シロアリを退治しないで消費税を引き上げるのはおかしい」と絶叫したのは野田佳彦氏自身だった。
2009年の総選挙で民主党は「シロアリ退治なき消費税増税を認めない」と公約した。
この公約を破棄して「シロアリ退治なき消費税大増税」を法定化したのが野田佳彦氏である。

最初に消費税率10%を公約として提示したのは菅直人氏。2010年6月8日に発足した菅直人内閣は政権発足から10日も経たぬ6月17日に参院選公約発表会見を行い、ここで消費税率10%への引き上げを公約として提示した。
菅直人内閣は7月11日実施の参院選を菅直人内閣への信任投票だと位置づけた。
このことを明言したのが枝野幸男幹事長(当時)である。
菅民主党は2010年7月参院選で惨敗。この選挙結果を受けて菅直人氏は首相を辞任するべきだったが、1年以上も首相の座に居座った。

野田佳彦氏は財務省に誘導されて「転向」した。
2011年の民主党代表選で野田氏の当選を手助けしたのは財務省である。
野田氏は財務相や総理のポストというエサを鼻先にぶら下げられて「転向」した。
そして消費税大増税法制定を強行。民主党政権を粉々に破壊した。
同時に、消費税増税反対を貫いた小沢新党を殲滅するために2012年内の選挙を強行した。

この野田佳彦氏が2012年総選挙の総括もせぬまま、党首選に出馬した時点で、この党の未来は完全に閉ざされたと言ってよいだろう。
立憲民主党は2017年に創設された。希望の党騒動があり、かつての民主党が分離した。
守旧勢力が国民民主党、改革勢力が立憲民主党に分離したとして歓迎された。
改革勢力と見なされた立憲民主党は共産党を含む野党共闘を主導すると判断されて躍進した。

立憲民主党躍進に尽力したのが共産党である。共産党を含む野党共闘を支援する主権者に支えられて立憲民主党は野党第一党に躍進した。
しかし、立憲民主党党勢拡大に転機が訪れた。2021年総選挙で枝野幸男氏が野党共闘を否定。共闘の対象は国民民主と連合であり、共産、れいわ、社民は共闘の対象でないとした。
この「転向」によって立憲民主党支持者が一斉離反。21年総選挙で立憲民主党は惨敗。
枝野氏は引責辞任した。この点を総括しないまま、今回の代表選に名乗りを上げた。

後継代表に就任した泉健太氏は反共産の姿勢をより強化した。
その結果、22年参院選でさらなる大惨敗をもたらした。
この3名が党首選の主要候補者になっている時点で立憲民主党の未来は閉ざされていると言って過言でないだろう。

最大の争点は消費税減税。2012年の過ちを認定し、消費税率を5%に戻すことを出発点にすべきだ。党首選で消費税減税に言及しているのは吉田晴美候補一人。
野田佳彦氏に至っては日米地位協定改定すら公約としない。
立憲民主党が終焉することになる公算が高い。

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