2013年3月14日木曜日

日本は10月のTPP協定締結前にはテーブルに着けない


シンガポールでTPP交渉を見守っていたニュージーランドの教授が、日本のTPP交渉参加に対して、同国は日本の参加を望んでいないとする意見表明をおこないました。

残念ながら日本が参加することで、ほぼ決まっている農産物などの関税に影響を与える可能性は皆無なので、それは杞憂にすぎないのですが、教授は意見表明のなかで、「アメリカは10月に協定をまとめたがっているので、日本はその前に交渉のテーブルに着ける可能性はない。日本は、自分達が受け入れようとしている法律文書を見ることを許されないまま、これまでに合意された全てのことを受け入れることになる」と語っています。 

 それにしても「関税の撤廃=貿易の円滑化」はTPP協定の24分野あるうちの一つに過ぎず、米国の狙いは日本の全ての非関税障壁を解除させることにあるとこれまでも言われてきました。それなのに日本のマスメディアはTPPというと、すぐに「一部農産品の関税の堅持」(関税の聖域化)に絞って報道するのみで、それ以外の事柄には目を向けようとしないのはなぜでしょうか。
TPP協定に参加すると、国内法制をTPP協定と整合するように変えることが強制されると言われますが、国会で制定された法律を無条件に書き変えさせる協定だとしたら、まさに憲法をも凌駕するものではないでしょうか。
※貿易にとどまらず、薬品の認可や価格、食の安全表示の仕方、金融や輸送、知的財産、紛争処理等々あらゆる分野におよぶ
 首相といえども、独断でそんな協定を結ぶことは許されていません。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
ニュージーランドは、日本のTPP交渉への参加を望んでいない
マスコミに載らない海外記事 2013314
2013311日プレス・リリース ジェーン・ケルシー教授 

シンガポールで、最新のTPP交渉を見守っているジェーン・ケルシー教授によると、新たに選出された安倍首相が、一年以上のはっきりしない臆測を終わらせ、来週、日本の正式な環太平洋連携協定(TPP)交渉参加希望を発表するものと予想されている。
 “日本の発表で、TPPはアジア太平洋自由貿易圏における金字塔的基準の実現に一歩近づいたという主張が飛び交うだろう。それは現実のごまかしだ”とケルシー教授は語っている。

ケルシー教授によれば、“アメリカのオバマ大統領は、今年10月に協定をまとめたがっている。アメリカがルールを変えない限りは、それ以前に日本が交渉の席につける可能性はない”。カナダとメキシコが、オークランドでの交渉に参加することを認められるまで、一年以上かかったが、日本の参加は、それよりずっと複雑だと教授は語っている。

参加希望表明は、長く困難なプロセスの第一歩だ。安倍政権は、大規模な抗議行動、与党内の分裂の脅威と、7月の参議院選挙に直面して、重要な関心分野で可能な約束で、11の政党各党を説得する必要がある。彼の党の綱領は、米、牛肉、酪農製品や砂糖などの重要な製品を、交渉から除外すると約束しているが、これはオーストラリア・日本間の自由貿易交渉を長年行き詰まらせている問題だ。

カナダとメキシコ同様、日本は、自分達が受け入れようとしている法律文書を見ることを許されないまま、これまでに合意された全てのことを受け入れなければなるまい
日本が全ての政党を納得させても、アメリカでは、更に、交渉90日前の議会への通知と、協議プロセスがある。日本参加に反対して、自動車産業や労働組合等の強力な組織が、議会の議場にどっと流入するだろう。

 “ニュージーランド政府は、日本の参加希望について、好意的に語ろうとはするだろうが、ケルシー教授によれば、実際には全ての重要な問題が解決されるまでは、日本を交渉の席にはつかせたくない”のだ。
これには理由が二つある。日本は経済大国で、本当の交渉力と、保護すべき多くの重要な国内の利益があることだ。日本の積極的な参加は、交渉を複雑化させ、10月に政治的に協定とりまとめをするという現在の目標を到底実現不可能にしてしまう

“ニュージーランドにとって重要なことに、アメリカは、重要な農産物の特別扱いに対する日本の要求を支持することを示している。これは、アメリカ自身の交渉戦略を強化しよう。16回の交渉後も、彼等はいまだに、ニュージーランド酪農製品輸出の意義のある市場アクセスについて協議することを拒否している。”
 “同時に、主要経済・政治大国としての日本が、すでに決まったことに、そのまま署名するだろうとは思われない。まとまったTPPに、たとえ日本が同意したとしても、日本はいくつかの点の交渉再開を主張するだろう。