2013年3月17日日曜日

TPP参加への首相の説明は全部ウソ


 TPPが完全秘密主義をとっているのは、もしも内容が明らかになれば関係国の国民が黙っていないので、交渉がまとまらなくなるからだと言われています。そんな協定のどこに正当性があるというのでしょうか。
またそんな秘密主義の交渉の末席に加わったからといって、どうして交渉の過程をその都度国民の前に明らかに出来るというのでしょうか。国民を欺くにもほどがあります。

既に殆どの条文が決まっていてそれに無条件に従わされることが明らかな協定で、どうして日本の「聖域」が守れるというのでしょうか。どうして日本の国益が守れるというのでしょうか。

TPP関係国のGDPが世界の3分の1を占めるというのは、要するに日本とアメリカのGDPを合わせると世界の3分の1になるということであって、何か大きなグループに日本が入るということではありません。 

15日の安倍首相のTPP参加への説明は全てウソと言っても過言ではありません。盟友の麻生副総理も菅官房長官もTPP参加には反対だったそうです。それなのにどうして大ウソをついてまで参加するのでしょうか。

マスメディアが奇妙な沈黙を守っているなかで、地方紙の社説がたまりかねたかのように首相発言の虚偽性を暴露しています。
既報の北海道新聞に続いて琉球新報の社説を紹介します。
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【社説】 TPP参加表明 あまりに拙速、無謀だ
琉球新報 2013316 

 経済分野の外交交渉で、戦後これほど不透明だったものがあるだろうか
 安倍晋三首相が環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加を表明した。公約違反の疑いは濃厚で、参加の理由も説得力を欠く。拙速だ。参加の方針を撤回し、国民的議論を尽くすのが筋であろう。

TPPは完全秘密主義で、全てが妥結するまで国民には交渉内容が一切分からない。物品・サービス・知的財産など21もの分野にわたる膨大な項目を一括して妥結した後、初めて国民が知る仕組みだ。一括妥結の後だから、そこから個別の項目を変更するのはまず不可能だ。およそ国民主権、民主主義に反すると言うほかない。

自民党のTPP対策委員会はコメや麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖を念頭に、重要5品目と国民皆保険制度について「聖域確保ができなければ交渉脱退も辞さない」と決議したが、その場合は脱退すると決めたわけでもない。後で約束違反を問われないよう、逃げ道を用意したのではないか。
TPPの例外枠は1%程度とされる。重要5品目を合計すれば1%を大きく上回る。本当に「聖域を確保できる」のか

安倍首相は参加表明の会見で「今がラストチャンスだ。参加すれば(日本が)重要なプレーヤーとしてルール作りをリードできる」と述べたが、これも疑わしい。2011年に参加したカナダとメキシコには先行国の交渉内容を見直すことが許されないと明らかになった。そこから2年後の日本がなぜ「リードできる」のか

首相は「参加は国家百年の計だ。国益になるだけでなく世界の繁栄につながる」と述べたが、中国・ロシア・インドネシア・タイなど環太平洋の主要国が軒並み見送った交渉への参加が、なぜ世界の繁栄につながるのか

政府が公表したTPPの影響額の試算では、農水産業の生産額は3兆円落ち込む一方、輸出拡大でGDPは32兆円増えるという。だが、11年に農水省は農水産業が79兆円の打撃を受けると試算していた。わずか2年でこれほど振れる試算を信用できるだろうか

遺伝子組み換え食品の表示義務が撤廃されてしまわないか。医療保険も、民間主体の米国流を押し付けられないか。疑問はきりがない。やはり無謀と言うほかない