福島原発の作業現場ではいまも高放射線下での作業員の死亡が続いています。
溶融(メルトダウン)した燃料がいまどこにあるのかは依然として不明で、原子炉の周りから溢れ出る汚染水は既に26万立方メートルに達し、2年後にはその3倍に達するということです。
従って貯蔵用のタンクの増設を進め、地下水位を下げるための井戸を掘りました。
除染作業には4次下請けが動員され、そこでは粗雑な作業が指示されているということです。
いまも周辺の汚染度について驚くべき数値が確認されています。
要するに原子炉周りがどうなっているのかも、周辺の汚染がこの先一体どのように推移するのかも不明のままです。福島原発の事故からもう2年になりますが、この先の見通しがついたということは殆どなくて、いまも震災直後の応急手当てが連綿として続いているという感じしかしません。
以下にここ2、3日の福島のニュースを紹介します。
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福島第一原発の男性作業員 体調不良で死亡
NHK NEWS web 2013年3月1日
東京電力福島第一原子力発電所の復旧作業に当たっていた50代の男性作業員が、体調不良を訴えて病院に運ばれ、27日夜、死亡しました。
東京電力は、「診断書を確認していないため、男性の死因は公表できない」としています。
東京電力によりますと、今月25日の午前9時すぎ、福島第一原発3号機の原子炉建屋で、カバーを設置する準備作業を行っていた50代の男性作業員が、福島県広野町にある会社の資材置き場で体調不良を訴えて一時心肺停止状態となり、いわき市の病院に運ばれました。
その後、27日午後11時半すぎに、男性が亡くなったと会社から東京電力に連絡があったということです。
この男性は、おととし6月から福島第一原発の復旧作業に当たっていて、これまでの被ばく量は、作業員の通常時の年間限度となっている50ミリシーベルトより低い、25ミリシーベルト余りだということです。
東京電力は、「診断書を確認していないため、男性の死因は公表できない」としています。
福島第一原発では事故のあと、これまでに男性作業員5人が心筋梗塞などで亡くなっています。
手抜き除染「断ればクビになるかと」 作業員ら会見
朝日新聞 2013年3月1日
福島第一原発周辺の除染で働いた40~50代の男性3人が28日、国会内で記者会見し、「手抜き除染」を指示された状況を語った。作業員が公の場で「手抜き」を告白するのは初めてだ。
3人は昨年11月、福島県田村市の山林の川沿いの斜面で下請け会社の班長から指示され、本来は回収しなければならない枝や葉を川に流した。40代男性は「『いいのかな』と思いながら枝葉を川に落としました。断るとクビになるかもしれないし。目の前で班長自身もやっていました」と証言。50代男性は「指示を受け、まずいんじゃないか、と同僚と顔を見合わせました。工期が迫り、早くやらないとならないから回収せずに流せ、ということです」と語った。
環境省はこの場所での手抜き除染について「断定するには至らなかった」と結論を避けている。別の40代男性は「環境省は自分に1時間以上も聞き取りをしたのに、結局、自分の証言を認めていない」と話した。
増え続ける汚染水、福島第1原発 事故2年、溶融燃料手つかず
東京新聞 2013年3月1日
東京電力は1日、福島第1原発事故発生から2年を前に廃炉に向けた作業現場の状況を報道陣に公開した。放射性物質を含む汚染水は増え続け、敷地内には貯蔵タンクが立ち並ぶ。溶けた燃料をどうやって取り出すかはまだ検討段階で、長期的取り組みを着実に進められるかが課題だ。
11月には4号機の原子炉建屋上部にある使用済み核燃料プールから燃料の搬出を始める予定で、クレーンを備えた新たな設備の建設が建屋のそばで進む。
一方、保管中の汚染水は26万立方メートル。貯蔵容量はあと6万立方メートルしかない。東電は2015年には70万立方メートル分のタンクが必要として、増設を進める。 (共同)
井戸12本の掘削完了 増え続ける汚染水対策
東京新聞 2013年3月2日
今週(2月23日~3月1日)、東京電力福島第一原発の専用港内でとったアイナメから、魚類では過去最大値となる1キログラム当たり51万ベクレルの放射性セシウムが検出された。
国が定める一般食品の基準値の5100倍に当たる。東電は港外に魚が出ないよう、堤防の間に網を設置しているほか、港内の魚の捕獲を進めている。
福島第一では増え続ける汚染水の問題が深刻だが、水量を増やす原因になっている建屋地下に流入する地下水を減らすための井戸12本の掘削工事が終わった。井戸から地下水をくみ出し、汚染がなければ、海に放出する計画。
一方、事故収束に当たってきた作業員約2万1千人の被ばく線量の記録が、データを一元管理する公益財団法人「放射線影響協会」に提出されていないことが発覚した。
2011年3月の事故後の10年度分と11年度分が未提出のままで、約2万1千人のうち約1万7千人は下請け会社の作業員だった。東電は「事故後の混乱で、紙で管理していた記録の電子化に手間取った」と説明。今月中に提出の予定。
魚から51万ベクレルの放射性セシウム
NHK NEWS web 2013年2月28日
東京電力福島第一原子力発電所の専用の港で、魚が外に出るのを防ぐ網にかかったアイナメから、これまでで最大となる1キログラム当たり51万ベクレルの放射性セシウムが検出され、東京電力は、魚が港の外に出るのを防ぐ対策を強化するとともに、港の中で魚の駆除を進めることにしています。
東京電力福島第一原発に面した専用の港で捕獲された魚介類からは、非常に高い濃度の放射性セシウムが検出されるケースが相次ぎ、東京電力は今月8日、魚が港の外に出るのを防ぐ網を設置しました。
東京電力が今月17日に網を引き上げて、かかった魚を調べたところ、アイナメ1匹から1キログラム当たり51万ベクレルの放射性セシウムが検出されました。
この値は、魚から検出されたものとしては最大で、国の食品基準の5100倍に当たります。
また、網が設置される前の去年12月に捕獲されたムラソイ1匹から検出された、これまでの最大値、1キログラム当たり25万4000ベクレルのおよそ2倍になります。
東京電力は、魚が港の外に出るのを防ぐ対策をさらに強化するとともに、港の中で魚の駆除を進めることにしています。
東京電力の新妻常正常務は「魚の移動を防いだり駆除したりといった対策を、計画的に、かつ前倒しして取り組んでいきたい」と話しています。
コクチバスから4千ベクレル超 環境省、福島の生物調査
東京新聞 2013年3月1日
環境省は1日、福島県の河川や湖、海域で昨年夏に採取した魚類や甲殻類、昆虫に含まれる放射性セシウム濃度の測定結果を公表した。真野ダム(飯舘村)のコクチバスから、国が定める一般食品の基準値(1キログラム当たり100ベクレル)を大幅に超える1キログラム当たり4300ベクレルを検出した。
ほかに真野ダムのナマズで1980ベクレル、イワナで1590ベクレル、新田川(南相馬市)のニゴイで1620ベクレルなど。海域では相馬市沖のイソガニで300ベクレルを検出した。
調査は昨冬、昨春に続き3回目。 (共同)
福島の山林の生物、セシウム蓄積 カエル6700ベクレル
東京新聞 2013年3月2日
東京電力福島第1原発から西に約40キロ離れた福島県二本松市の山林で、カエルから1キログラム当たり最高6700ベクレル超のセシウム137が検出されるなど、食物連鎖の上位の生き物に高濃度の放射性物質が蓄積する傾向があることが2日、東京農工大と北海道大の研究チームの調査で分かった。
境優・農工大特任助教は「地面に落ちている葉などの濃度に応じて生物の濃度が高くなるほか、食物連鎖で濃縮している可能性がある」と指摘。陸の生物は、狩猟対象の鳥獣など一部を除きデータが少なく、調査結果は放射性物質が生物にどう蓄積するかを解明する手がかりになる。 (共同)