15日、国連のエマーソン特別報告者は、パキスタンで米軍が実施している無人機攻撃について「パキスタンの主権を侵害している」とする声明を出しました。
無人攻撃機はオバマ大統領になってからテロ対策として、パキスタンをはじめ各地で積極的に使用されるようになりました。ひそかに他国の領空を侵犯し遠隔操作でミサイルを発射するやり方は、当然多数の民間人を巻き添えにします。
これについて、国連の人権高等弁務官事務所が専門の調査チームを設け、無人機による攻撃で市民がどのくらい巻き込まれ犠牲になっているのか被害の実態調査を行い、国際法に違反していないか年内に報告書を提出することになっていました。※2
今回の市民被害の報告はパキスタンに限定されたものになっていますが、無人機の攻撃によって少なくとも2200人が殺害され、そのうち市民の犠牲者は400人以上ということです。
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※1 2013年1月26日 「米
無人攻撃機の犯罪性にようやく国連のメスが」
※2 2013年2月25日 「米無人機攻撃による死者総数は4700人」
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無人機攻撃は主権の侵害 国連特別報告者
産経新聞 2013年3月16日
対テロと人権の関係を担当する国連のエマーソン特別報告者は、パキスタンで米軍が実施している無人機攻撃について「パキスタンの主権を侵害している」とする声明を出した。国連が15日発表した。
エマーソン氏は声明で、パキスタンが国内での米国による無人機使用に同意していないことは明確だと指摘。選挙によって選ばれた国民の代表の承諾なく実行されているとして、主権侵害に当たる理由を説明した。(共同)
国連 米無人機攻撃で市民400人死亡
NHK NEWS web 2013年3月16日
アメリカがパキスタンに潜むテロリストを狙って行っている無人機による攻撃について、国連の調査チームは市民400人以上が巻き込まれて死亡したことを明らかにしたうえで、攻撃はパキスタンの主権を侵害していると指摘しました。
アメリカはパキスタンに潜むテロリストを狙って上空から無人機による攻撃を行っていますが、国連の人権高等弁務官事務所はことし1月、国際法に違反している可能性があるとして、専門のチームを立ち上げて調査に乗り出しています。
現地で調査を行ったチームは15日、声明を発表し、パキスタン政府の推計として、2004年以降、無人機による攻撃で少なくとも2200人が殺害され、このうち400人以上は巻き込まれた一般市民だとしています。
そのうえで、「アメリカによる無人機攻撃はパキスタン政府の同意を得ずに実行されている。パキスタンの主権を侵害している」と指摘しました。
調査チームはアフガニスタンやイエメンでもアメリカによる無人機攻撃の実態を調査するほか、アメリカ政府からも意見を聴取し、ことし10月に国連総会へ報告書を提出する予定です。
アメリカのオバマ政権は、無人機攻撃を対テロ作戦の要と位置づけて各地で増やしていますが、報告書の内容次第では無人機の運用を制限するよう国際的な圧力が強まることも予想されます。