TPP交渉参加に関する先の日米共同声明が「聖域なき関税撤廃」を誓約させられたものと暴露される※一方で、今度は遅く交渉に参加した国には、「それ以前に決定したことに対して、再交渉は要求できない」し、「新たな交渉事項に関しても交渉終結権=拒否権を持たない」という条件が付されることが明らかになりました。
※3月7日付「聖域なき関税撤廃」を誓約させられたのが日米共同声明と」
要するに「それまでに合意された事項については無条件に従う」し、「参加後の交渉のなかで同意できない事柄が生じてもそれを拒否することはできない」ということです。
「無理矢理参加させられた挙句、それまでに決まっていたことには勿論、その後決まることにもただ従うしかない」、この暴力団の掟と見紛うばかりの「決まり」が、これから交渉に参加する国を待ち受けているわけです。しかも参加を表明すると同時に、上記の条件を受諾する旨の「念書」を先発の全メンバー国と交わし、そのこと自体が極秘扱いになるということです。
こうした重要な情報を政府はなぜ公表しないのでしょうか。
また以前にアメリカ寄りの学者や前原氏のような議員が、「まず参加して、いやなら脱退すれば良いではないか」と盛んに発言しましたが、当時から外務省はそんなことができる組織ではないと語っていました。並みの「秘密結社」などは及びもつかないTPP組織で、そんな気楽な出入りが許される筈もありません。
以下に東京新聞の記事を紹介します。
追記 3月4日付「韓米FTAで韓国に数千億円の損害賠償請求が」
の記事で、カナダが損害賠償金を支払わされたことを述べて、
「そういうことがあったためにカナダはTPPへの参加を拒否しています」
と書きましたが、実際にはカナダは11年11月に参加を表明し、昨年10月から交渉に参加していました。従って同記事を
「そういうことがあったためにカナダはTPPへの参加を拒否していましたが、 昨年10月にメキシコと共に交渉に参加しました。」と訂正いたします。(記事訂正済み)
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TPP参加に極秘条件 後発国、再交渉できず
東京新聞 2013年3月7日
環太平洋連携協定(TPP)への交渉参加問題で、2011年11月に後れて交渉参加を表明したカナダとメキシコが、米国など既に交渉を始めていた9カ国から「交渉を打ち切る権利は9カ国のみにある」「既に現在の参加国間で合意した条文は原則として受け入れ、再交渉は要求できない」などと、極めて不利な追加条件を承諾した上で参加を認められていた。複数の外交関係筋への取材で7日分かった。
各国は今年中の交渉妥結を目指しており、日本が後れて参加した場合もカナダなどと同様に交渉権を著しく制限されるのは必至だ。
関係筋によると、カナダ、メキシコ両政府は交渉条件をのんだ念書(レター)を極秘扱いしている。交渉全体を遅らせないために、後から参加する国には不利な条件を要求する内容だ。後から入る国は参加表明した後に、先発の国とレターを取り交わす。
カナダなどは交渉終結権を手放したことによって、新たなルールづくりの協議で先発9カ国が交渉をまとめようとした際に、拒否権を持てなくなる。
交渉参加に前向きな安倍晋三首相は、「『聖域なき関税撤廃』が前提ではないことが明確になった」と繰り返しているが、政府はカナダとメキシコが突きつけられた厳しい条件を明らかにしていない。日本がこうした条件をのんで参加した場合、「聖域」の確保が保証されない懸念が生じる。
カナダ、メキシコも一部の農産品を関税で守りたい立場で、日本と置かれた状況は似ている。国内農家の反対を押し切り、対等な交渉権を手放してまでTPPの交渉参加に踏み切ったのは、貿易相手国として魅力的な日本の参加とアジア市場の開拓を見据えているからとみられる。
先にTPPに参加した米国など9カ国は交渉を期限どおり有利に進めるため、カナダなど後発の参加国を「最恵国待遇」が受けられない、不利な立場の扱いにしたとみられる。
<TPP交渉参加国> 2006年、「P4」と呼ばれたシンガポールとニュージーランド、チリ、ブルネイによる4カ国の経済連携協定(EPA)が発効。これに米国、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシアが10年に加わり、9カ国に拡大した。その後、カナダとメキシコも参加を表明し、12年10月の協議から11カ国で交渉している。