2013年3月7日木曜日

「聖域なき関税撤廃」を誓約させられたのが日米共同声明と


5日の衆院本会議で、「日米の共同声明」とそこで述べられている「TPPの輪郭(アウトライン)」を読み合わせれば、日米共同声明で確認されたのは“「聖域なき関税撤廃」が前提ではないことが確認された”どころか、「聖域なき関税撤廃」を誓約させられたのではないかとする質問が出され、安倍首相はまともに答えられなかったということです。
 欺瞞の実態が徐々に明らかにされて行きます。

 以下にしんぶん赤旗の記事を紹介します。
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志位委員長の代表質問 衆院本会議
   しんぶん赤旗 201336

 日本共産党の志位和夫委員長が5日の衆院本会議で行った安倍晋三首相に対する代表質問は次の通りです。 

(前 略)
TPP―「聖域なき関税撤廃」を誓約させられたのが日米共同声明ではないか
 TPP(環太平洋連携協定)参加につきすすむ総理の姿勢に、「公約破りのTPP参加は許せない」「自民党も民主党と何ら変わらない」という怒りの声が全国で広がっています。 

「『聖域なき関税撤廃』は前提でないことを確認した」―― 国民を欺くもの
 総理は、施政方針演説で、「TPPについては、『聖域なき関税撤廃』は、前提ではないことを、先般、オバマ大統領と直接会談し、確認いたしました」とのべました。しかし、これは国民を欺くものであります。

 日米首脳会談を踏まえて発表された「日米の共同声明」の冒頭には、TPP交渉に参加する場合には、第一に、「全ての物品が交渉の対象となること」、第二に、「20111112日にTPP首脳によって表明された『TPPの輪郭(アウトライン)』において示された包括的で高い水準の協定を達成していくこと」を、両政府が「確認する」と明記されています。

 それでは201111月の「TPPのアウトライン」には何と書かれているか。「関税並びに物品・サービスの貿易及び投資に対するその他の障壁を撤廃する」――関税と非関税障壁の撤廃がTPPの原則だと書かれています。

 さらに同時期に外務省がまとめた報告書は、「TPP協定交渉においては、高い水準の自由化が目標とされているため、従来我が国が締結してきたEPA(経済連携協定)において、つねに『除外』または『再協議』の対応をしてきた農林水産品(コメ、小麦、砂糖、乳製品、牛肉、豚肉、水産品等)を含む940品目について、関税撤廃を求められる」と明記しています。

 すなわち、日米共同声明で確認されたのは、TPPに参加する場合には、全ての物品を交渉の対象とし、関税と非関税障壁を撤廃し、「高い水準の協定」――すなわち、これまで「聖域」としてきた農林水産品の関税を撤廃する協定を「達成」することにほかなりません。

 総理、“「聖域なき関税撤廃」が前提ではないことが確認された”どころか、「聖域なき関税撤廃」を誓約させられたのが、日米共同声明ではありませんか。
   (以下略)
 

安倍政権の政治的ゆきづまり示す 首相答弁 志位委員長が感想
    しんぶん赤旗 201336

 日本共産党の志位和夫委員長は5日、国会内で記者会見し、同日の代表質問に対する安倍晋三首相の答弁について「聞いたことにちゃんと答えない『すり替え』と『自己矛盾』が全体の特徴だったと思います」と述べました。 

 このなかで志位氏は、一例として環太平洋連携協定(TPP)をあげ、「聖域なき関税撤廃」を誓約させられたのではないかという日米共同声明の核心を突く質問にもすり替えの答弁でごまかし、自民党のTPPをめぐる5項目の公約がオバマ大統領から保障されたのか否かという事実関係すら明らかにしない不誠実な答弁だったと指摘し、改めてTPP協定の交渉参加は反対だと表明しました。 

 消費税増税、原発、沖縄基地負担問題などどの問題でも、すり替えと自己矛盾の答弁を繰り返したことに言及し、「国政の一番の基本の質問に対して、自己矛盾とすり替えでしか答えられないのは、いかに政治的に行き詰まっているかを証明してみせた答弁です」と指摘し、「引き続きこの政権とは正面から堂々と対決していきたい」と表明しました。