2013年3月13日水曜日

96条が改正されれば日本の基本構造が破壊されると


 312日の「澤藤統一郎の憲法日記」(ブログ)に、憲法96条改正の狙いを、自民党改憲草案の全体象との関係から分かりやすく解説した記事が載りました。
自民党改憲案は日本国憲法の基本設計を根本から崩そうとするもので、96条が「改正」されれば、その後は日本の基本設計・基本構造を破壊する大津波が押し寄せると述べています。

以下に事務局が要約したものを掲載します。
短いブログですからどうぞ原文もお読みください。
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要約版:事務局) 自民党改憲草案の全体象と96条改正
澤藤統一郎の憲法日記 2013312

日本国憲法の理念は国民主権、基本的人権の尊重、そして恒久平和主義。この3本の柱が、立憲主義という基礎の上にしっかりと立てられている。堅固な基礎と3本の柱の骨組みで建てられた家には、国民の福利という快適さが保障される。それが現行日本国憲法の設計図。
ところが自民党の改憲草案は、下記のようにその基本設計すべてを攻撃する。 

(1) 基礎となっている立憲主義を壊そうとする。
個人の尊厳を守るために国家権力の恣意的な発動を制御するシステムとして憲法を作るのが近代立憲主義。これをねじ曲げて国民に義務を課し説教をする憲法に変えようとする。

(2) 3本の柱を細く削ろうとしている。
① 「公益・公序」によって基本的人権を制約する。これは権力をもつ側にとって最高に便利。国民の側からは危険極まる改正案。
9条を改憲して軍隊をつくり海外でも軍事行動ができるようにする。
③ 国民主権国家を「天皇を戴く国家」「天皇は日本国の元首」に変える。天皇の憲法尊重・擁護義務もはずされる。

(3) その結果出来る社会では、経済的強者に利潤追求の自由をこれまで以上に保障する。日本国憲法は、経済的強者を制約し弱者は保護し資本主義社会の矛盾を緩和する福祉国家を目標としたが、こんどは新自由主義による弱肉強食の競争至上主義。国民には自助努力が強調されて、労働者の労働基本権も生活困窮者の生存権も切り詰められる。 

提案者自身も本気でこの改憲案がそのまま現実化するとは思っていないかもしれないが、96条の改正手続条項の改正だけは実現まで漕ぎつけたいと思っているに違いない。96条の改正は内堀を埋めるようなもの。そうなれば9条を含む本丸の落城が危ぶまれる。96条改正だけを見るのではなく、そのあとに押し寄せようとしている恐るべき大津波を警戒しなければならない。