2013年3月10日日曜日

日本の対応の遅れを懸念 シュラーズ・ベルリン自由大教授

 ベルリン自由大学ミランダ・シュラーズ教授が、「事故から2年になるのに日本で原子力エネルギーの将来が決まらないのは驚きだ」と対応の遅れを懸念し「50基の原発すべてを再稼働させる必要はない」と断言しています。

ドイツは諮問機関「倫理委員会」の勧告に基づいて、2022年までにすべての原発の閉鎖=「脱原発」を決めましたが、ミランダ・シュラーズ教授はその倫理委員会の委員を務め2011年6月に来日して「なぜドイツは原発を止められたのか」などの講演を行いました。
その講演によればドイツでは原発の是非を諮問する先を、元環境相やドイツ研究振興協会の会長、カトリック司祭、財界人、消費者団体など17人の委員がいたものの、原子力の研究者は1人もいない「倫理委員会」に委ねました。それはどのようなエネルギー政策を求めるかは、社会、消費者が決めるべきとの考えからで、何かというと直ぐに「原子力むら」のメンバーと経済界に決めさせようとする日本との決定的な違いがそこにありました。

講演の概要は下記の記事に収録されています。
918日付「独首相が原発ゼロ目指す日本の決断を歓迎 政府は面映ゆいのでは?」


同教授は福島原発震災後の20128月にも来日して、福島県などを訪れるなどたびたび日本を訪れています。 
 以下に時事通信の記事を紹介します。
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日本の対応の遅れを懸念=危険性高い原発は閉鎖を-
シュラーズ・ベルリン自由大教授
時事通信 201339

 【ベルリン時事】 東京電力福島第1原発の事故を受け、ドイツは2022年までの脱原発を決めた。一方、日本は30年代の原発稼働ゼロを目指すとした民主党政権の方針の見直しに入る。ドイツ政府に脱原発を提言した諮問機関の委員で、たびたび訪日しているベルリン自由大学のミランダ・シュラーズ教授(環境政策)は「事故から2年になるのに日本で原子力エネルギーの将来が決まらないのは驚きだ」と対応の遅れを懸念する。

 教授は、経済産業省や電力会社は原発の再稼働を目指しているが、「大多数の国民は反対している」と指摘。「日本はこの2年間、原発依存度を大幅に減らしながら何とかやってきた。50基の原発すべてを再稼働させる必要はない」と断言する。旧式のほか、活断層や人口密集地、大規模地震の発生予測地域に近い原発の恒久的閉鎖を訴え、「減原発」は節電や再生可能エネルギー開発の動機付けにもなると強調した。

 一方で、「全国規模の節電意識が電力需要の大幅な減少につながった」と述べ、事故をきっかけとした日本人の意識改革を評価。「原子力エネルギーについて、賛成派と反対派が自由に議論するようになった」と変化を感じている。

 ドイツの総電力に占める再生可能エネルギーの割合は、2000年の6%から12年は22%まで上昇した。教授は「日本が同様にできない理由はない」と力説。「日本は風力、太陽光、地熱、バイオマスの資源が豊富で、大きな可能性を秘めている」と語り、エネルギー転換を急ぐよう呼び掛けた。風力や太陽光の発電施設、送電網の建設には莫大(ばくだい)な費用がかかる。「エネルギー転換は安くはない」と認めつつ、「将来への投資。新技術開発の機会でもある」と訴えた。