大阪府労働委員会は25日、大阪市の橋下徹市長が昨年2月に実施した組合活動に関する職員アンケートは不当労働行為の支配介入に当たると認定しました。
このアンケート調査は、弁護士資格を持つ橋下徹市長が、同じく弁護士資格を持ち法科大学院教授の野村修也氏に実務を依頼して行ったもので、なぜ共に法律のプロでありながらこのように憲法に抵触することを・・・と理解に苦しむものでした。
それにしても労働委の裁定も随分と悠長なものです。
※ アンケート内容に関する参考記事も添付しました。
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職員アンケートは不当労働行為 大阪市に誓約文命令
東京新聞 2013年3月25日
大阪府労働委員会は25日、大阪市の橋下徹市長が昨年2月に実施した組合活動に関する職員アンケートは労働組合法が禁じる不当労働行為の支配介入に当たると認定。「今後このような行為を繰り返さないようにする」との誓約文を市労働組合連合会(市労連)など組合側に手渡すよう市に命令した。
アンケートは2011年の市長選をめぐり組合が前市長の支援活動をした疑いがあるとして、橋下市長が業務命令として約3万2千人の職員に実施。正確に回答しない場合は処分対象になると明記した。
橋下市長は25日「きちんとした第三者機関で判断されたわけで、大変申し訳なく思っている。異議はなく、組合に対し謝罪しなければならない」と述べた。 (共同)
参考記事
【主張】 大阪市職員アンケート 異常極まる橋下流思想調査だ
しんぶん赤旗 2012年2月16日
「大阪維新の会」代表の橋下徹氏が市長の大阪市で、職員の労働組合への参加や政治・選挙活動へのかかわりを調査するアンケート調査が行われており、憲法違反の思想調査そのものだと、労働組合や弁護士、法律家団体などから批判が相次いでいます。
調査は任意ではなく、「市長の業務命令」で強制されているものです。正確な回答がなければ処分の対象になりうるとまで脅しており、異常極まる調査です。憲法違反の調査は直ちに中止すべきです。
憲法への違反は明らか
職員アンケート調査は16日までの1週間を調査期間に、大阪市の全職員を対象に行われています。調査項目は22項目にのぼりますが、インターネットを使った回答は答えたくない項目を飛ばせば次に進めず、全項目への回答を強制される徹底ぶりです。
労働組合について、「活動に参加したことがあるか」「誰に誘われたか」「組合加入にどんなメリットがあるか」「組合にどんな力があると思うか」などの質問は、職員が自由に労働組合に参加し、活動することに介入するものです。
憲法は労働者が自由に労働組合をつくり、団結して活動することを保障しています。大阪市の職員も例外ではありません。誰に誘われて活動しているのか、どんなメリットがあると思うかなどと質問するのは、職員が労働組合に参加し活動すること自体を妨害することになります。労働組合運動の抑圧は、労働基本権を踏みにじる不当労働行為です。
「特定の政治家を応援する活動に参加したか」「誰に誘われたか」などの質問は、憲法が保障している思想・信条の自由や、政治活動の自由、選挙活動の自由を侵害します。質問は「職場の関係者から投票を依頼されたことはないか」「いわゆる『紹介カード』を受けとったことはないか」などとまで具体的な回答を求めています。
公務員はその地位を利用した選挙活動は制限されていますが、個人としての政治活動や、どの候補を支持し誰に投票するのかはまったく自由です。質問は市役所の仕事と関係のない場での活動についても回答させるもので、思想・信条の自由を踏みにじっています。そのうえ「職場で選挙が話題になったことはないか」と聞くのは自由にものもいえない職場を作る狙いとしかいいようがありません。
橋下市長は職員に「自らの違法行為」について真実を報告すれば、懲戒処分の量定を「軽減」するなどと「自白」を勧めています。こうした形で「自白」や「密告」を奨励すること自体、調査の異常さを浮き彫りにするものです。
市民の信頼取り戻せぬ
橋下氏は市長就任以来、職員による違法・不適切な政治活動、組合活動を批判してきました。しかし、「市役所ぐるみ選挙」などの異常を正し市政に対する市民の信頼を取り戻すことと、大阪市の全職員を対象に、職員一人ひとりの思想にまで立ち入って調査するのは、何の関係もありません。
職員が自由にものがいえ、市民全体の「奉仕者」としてのびのびと仕事ができる職場をつくることこそ市民の願いにこたえます。
異常な調査を続けること自体許されません。職員へのアンケートは直ちに中止し、提出済みの回答も破棄すべきです。