復興庁の調査で、大震災から1年以上経過した後で震災に関連して死亡した福島県の35人は、全員が原発避難者であることが分かりました。
被災者の大部分は今なお仮設住宅生活で、少しでも住み心地の良い公共住宅への転居が実現できていません。
そうした中で、『生きているうちに今の避難先から出られない』という不安・ストレスにさいなまれ、希望や生きる意欲が持てない状況が大いに関係していると見られています。
以下に東京新聞の記事を紹介します。
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対象全員が原発関連死 長引く避難、福島の犠牲者 復興庁調査
東京新聞 2013年3月30日
東日本大震災から1年以上経過した後で震災関連死した福島県の35人は、全員が原発避難者であることが29日、復興庁の調査で分かった。先行きの見えない長期の避難生活での死だった。自殺者も1人いた。報告書の中で、医療関係者は「天災と人災では影響の尾の引き方が違う」とし、人災の側面が強い原発事故で人々がストレスなどにさいなまれる特異性を指摘した。
震災や事故後の避難中などに亡くなった震災関連死の認定数は、宮城、岩手、福島の被災三県で2554人で、半数以上の1337人を福島が占める。本紙の調べでは福島の震災関連死者のうち、少なくとも789人は原発避難者だった(いずれも3月10日までの集計)。
今回、復興庁が調査したのはこのうち、震災から1年が経過した昨年3月11日から同9月末の半年間の福島の震災関連死者。この時期の全国の関連死者40人中、35人が福島に集中していたためだ。死亡に至る経緯などを市町村や医療機関から聞き取り、分析した。
35人は南相馬市、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、浪江町、葛尾村、飯舘村の八市町村の出身。50代が一人で、ほかは60歳以上だった。複数回答による死亡原因の調査では、避難所生活での肉体的・精神的疲労が45%で一番多く、避難所などへの移動中の疲労が24%だった。
報告書の中で、福島県の医療関係者は「『生きているうちに今の避難先から出られない』という不安や、生きがいも、希望も、生きる意欲も持てないというメンタル面の影響も大きい」と指摘している。
医療関係者は、2011年12月~12年2月の施設での死亡率が前年同期比1・2倍になっている現状を挙げ「全体の死亡リスクがあがった。死亡は氷山の一角」とも懸念している。
同庁の担当者は「仮設住宅より住み心地の良い公共住宅の早期再建が必要。国として財政支援をしたい」と話している。