2日付の「天木直人のブログ」に「米国市民団体がTPP秘密交渉を告発した驚愕の報道内容」という記事が載りました。天木直人氏はレバノン大使時代に小泉首相(当時)のイラク戦争賛成を批判する公電を川口外相宛に2通送り、外務省を辞めさせられた経歴をもつ正義感です。
同氏は、TPPの最大の問題はその交渉内容が公表されないことであり、その理由は内容が公表されればそれぞれの国民がみずからの利益を奪われることを知り、交渉が暗礁に乗り上げるからだと述べています。
またTPP協定の危険性の最大のものは、悪名高いISD条項(投資家対国家間の紛争解決条項)であるとして、米国の市民団体がTPP協定の秘密性と危険性をいち早く見抜いて告発した(11月6日以前)ことに驚いています。
そして告発のTV番組を撮ったUチューブ(15分22秒)を紹介しています(記事中のURLをクリックすればご覧になれます)。
一体,交渉過程では勿論、締結後4年間も公表できない協定とは何でしょうか。
それは米市民団体が指摘する通りまさに「ドラキュラ」であるからで、陽の目にさらしてしまえばとても生き永らえるものではないからです。
アメリカはこれまで毎年日本に「年次改革要望書」を突き付けて、アメリカ(の企業)が有利になるような制度改革の要求を執拗に続けて来ましたが、TPPの構想を生み出してからはピタリと止めました。それはTPP協定が結ばれISD条項さえあればアメリカの全ての要求が満たされるからに外なりません。
いま、自民党が衆院選で掲げたTPP交渉参加の6項目の基準
1. 「聖域なき関税撤廃」を前提とする限り、交渉参加に反対する。
2. 自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。
3. 国民皆保険制度を守る。
4. 食の安全安心の基準を守る。
5. 国の主権を損なうようなISD条項は合意しない。
6. 政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる。
をめぐって、自民党内で「1」項のみが公約だとする安倍首相らと、「2~6」項も当然公約であるとする良識派の間で論争が起きているということです。
公約であるか否かもさることながら、それ以前の問題として何が国益であるかを考えればそんなことは小学生(高学年)でも判断できることです。アメリカが自動車の関税を撤廃できない以上、日本だってバーターでコメの関税くらいは守れるだろうという見通しは訪米以前から立っていました。しかしそれが一つかなえられたからと言って、あとはアメリカの望むままでいいなどとは『絶対に』言えません。
アメリカは最初からコメ以外の金融や保険、医療制度、国民皆保険制度等々、いちいち挙げれば切りがありませんが、そういう広い範囲に狙いがあったと言われています。
一体安倍首相は何を血迷ってそんなTPP交渉に飛び込もうとしているのでしょうか。
以下に天木氏のブログを紹介します。同氏のブログは有料のため普段は一部しか掲載されませんが、この記事は全部が表示されましたのでそのまま紹介します。
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米国市民団体がTPP秘密交渉を告発した驚愕の報道内容
天木直人のブログ 2013年3月2日
TPP交渉の最大の問題はその交渉内容が公表されないことである事を知っている人は少ないと思う。
なぜ交渉内容が公表されないのか。それはその内容が公表されればそれぞれの国民がみずからの利益を奪われる事を知って怒り出すからだ。交渉が中止に追い込まれかねないからだ。
そしてTPP協定の危険性の最大のものは、企業が国を相手取って訴訟を起こせるといういわゆる悪名高いISD条項(投資家対国家間の紛争解決条項)が盛り込まれている事にある。
このTPP協定の秘密性と危険性をいち早く見抜いて告発したのが米国の市民団体であったということは何と言う皮肉だろうか。
私は読者の一人からの情報提供で以下のようなサイトの存在を知った。
まずこれを黙ってみていただきたい。
ここで流されている米国の報道録画は衝撃的だ。
この録画を日本の国民が知ったらTPP協定などとんでもないという事になる。
これまでの国内の議論がすべて吹っ飛ぶ事になる。
なにしろオバマ政権そのものが米国議会に隠してTPP交渉を進めていたからだ。
ひょっとして米国議会はオバマ大統領に(から?)TPP交渉の交渉権を剥奪するかも知れない。
ただでさえオバマ政権と議会は財政削減などで緊張関係にある。
もし議会がオバマ大統領にTPPのさらなる交渉を許すとすれば、他国との交渉で徹底的に米国企業と米国民の利益を確保することを命じる時だ。
しかし米国がそのような態度でTPP交渉に応じるなら、そしてその事を各国の国民が知る事になれば、各国政府はそんな米国の交渉を許すはずはない。
だから各国の政府もまた、自らの国民に隠して米国とTPP交渉を行なって来たに違いない。米国と結託して国民を裏切ってきたのだ。
しかし情報は必ず漏れる。各国の政府はみずからの国民の突き上げを食らって米国との交渉で抵抗を示すしかない。
オバマ政権が10カ国とのTPP協定交渉に手間取っている理由はここにある。
そんなTPP交渉に、国民を欺いて参加する事を宣言する安倍首相は、この映像が全国の国民の知るところになれば、売国奴呼ばわりされるだろう。
何が「日本を取り戻すか」だ、「日本を売り渡す」だろう、と反発をくらう。
一つのユーチューブの画像が野田政権を倒した例を我々は知っている。
あの公約違反はしませんと叫んだ選挙前の野田演説だ。それを繰り返し流された野田首相は、その公約を破って消費税増税に突き進んだ事によって自滅した。
この映像が繰り返しユーチューブで流されたら安倍首相は窮地に立たされることになる。
TPPに反対する国会議員はこの映像を国会で取り上げろ。
日本のメディアはもはや嘘を言い続けて安倍政権を擁護する事はできない。
そんな事をすればメディアもまた売国奴呼ばわりされることになる。
米国の市民団体が告発したTPP秘密交渉を報じたこのユーチューブの画像が安倍自民党政権を倒す事になるかも知れない予感がする(了)。
事務局追記
動画に示される字幕の中から主なものを拾うと下記のようになります。
「TPPの正体は、表向きは貿易協定ですが、実質は企業による世界統治」
「全26章の内、貿易関係は2章のみ、他はみな企業に多大な特権を与え、各国政府の権限を奪うもの」
「600人の企業顧問にはTPP草案へのアクセス権を与えながらTPPを監視する立場にある上院貿易委員会のワイデン委員長はカヤの外です。ワイデン氏は、核関連の機密も知る立場なのに貿易協定(TPP)という名の『企業の権利章典』は見られない」
「TPP交渉内容は、締結後4年間は非公開という密約もあった」
「TPPの狙いは貿易ではなく、セメントのような作用です。一度固まったらおしまい、全員が同意しないと変更できない(し離脱もできない)」
「司法の2重構造ができる。国民は国内法や司法をつかうが、企業は別建ての司法制度を持ち、いんちき国際法廷(世界銀行の一画にある組織)に加盟国の政府を引きずり出し、勝手に集めた3人の弁護士が判事役を務めて当該政府に無制限の賠償を命じる」
「既存の国内法が改変され進歩的な良法が無くなるばかりか、新法の制定さえもできなくなる。医薬品や種子の独占権が強化され、医薬品価格つり上げのため後発医薬品を阻止する案まである。各国の金融規制も緩和させられ高リスク金融商品も禁止できない」
「TPPは企業に凄まじい権力を与える。密室だから過激になった。だから陽の目にさらして分析することが重要。何が起きているか人々に知ってほしい」