2013年3月16日土曜日

思想信条の自由を侵すことがらが


防衛省が防衛に関わる秘密を扱う職員を選別する際、事前に本人の同意がないまま、事実上の思想・交友調査をしている疑いが明らかになりました。これは憲法が保障する思想信条の自由や門地による差別の禁止に抵触するものです。

 この配偶者などまで含めて職歴、活動歴、信用状態等のプライバシーを調べる公務員の「適正評価」、「人的管理」は、憲法違反が濃厚な「秘密保全法」にも盛り込まれると考えられています。
117日付「『秘密保全法』が動き出そうとしています」

 また大阪府では、国歌の起立斉唱の確認書に署名しなかった高校教諭が再任用されませんでした。これも憲法の保障する思想信条の自由に反するもので、こうした風潮が強まっていることは大いに警戒すべきです。 

 以下に毎日新聞と東京新聞の記事を紹介します。
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防衛省:思想・交友調査の疑い 秘密扱う職員選別の際
毎日新聞 20130315 

 防衛省が防衛に関わる秘密を扱う職員を選別する際、事前に本人の同意がないまま、所属する宗教・政治団体や交友者、配偶者の結婚前の本籍地を含む「身上明細書」を提出させ、事実上の思想・交友調査をしている疑いが強いことが分かった。憲法が保障する思想信条の自由や門地による差別禁止に抵触する恐れがある。

 15日の衆院内閣委員会で、赤嶺政賢氏(共産)が内部告発文書とみられる身上明細書を示して質問した。左藤章防衛政務官は「具体的な運用に関することは控えたい。思想信条の自由、法の下の平等の原則を踏まえている」と答弁した。
 身上明細書によると、親族や外国人を含む交友者の住所、生年月日、勤務先▽政治・経済・宗教を含む所属団体▽刑事処分歴▽アルコール・薬物・精神障害の治療歴▽配偶者の国籍、婚姻前の本籍や住所、職業などを記入させ、真実だと誓わせている。

 防衛省は特別防衛秘密、防衛秘密を扱える職員約6万人を「秘密取扱者適格性確認制度」に基づいて選別。調査はこの制度に基づくとみられるが、根拠法令はない。
 政府が準備する秘密保全法制を巡っては、11年に制度のあり方を議論した有識者会議が、秘密を取り扱う公務員らを選別する手続きで、本人の同意を取り、調査項目を明示するよう提言している。秘密を取り扱う公務員であっても、憲法に保障される人権に配慮し、無制限の情報収集を戒めている。  【青島顕】
 

確認書拒否なら再任用せず 君が代不起立で大阪教委
東京新聞 2013315 

 大阪府教育委員会が2月、昨春の入学式で国歌斉唱時に起立せずに戒告処分を受けた府立高の女性教諭を、再任用しなかったことが15日分かった。府教委側が提出を求めた「今後職務命令に従う」との確認文書の提出を拒んだのを理由とした。

 処分された志水博子教諭(60)が、府の開示文書をもとに記者会見で明らかにした。志水教諭らによると、府内の君が代不起立をめぐる再任用拒否理由の開示は初めて。
 開示文書などによると昨年4月、処分後の研修で渡された「入学式や卒業式での起立斉唱を含む職務命令に従う」との文書に署名押印せず、憲法を順守すると書き換え提出。 (共同)