2013年3月11日月曜日

「非常時大権」はもっての外


 自民党の石破幹事長が大災害時に国民の権利を一時的に制限する措置(いわゆる「非常時大権」)がとれるようにするために、憲法改正の必要があると述べました。

 これは自民党の憲法改正草案にうたわれているものですが、そもそも自民党の改憲草案には「国民の義務」に関する記述が多く、当初から「立憲主義」にもとるものという批判がありました。そして起草者たちには「立憲主義」の認識がなかったということも明らかにされています
531日付「自民党の憲法改正草案は非常に反動的」
(青字のURLをクリックすると同記事にジャンプします。以下同) 

 政府や与党の首脳が国民の主権を縛ろう、縛ろうとする立場から憲法の「改正」を主張するなどは、正に立憲主義にもとるもので、公務員の憲法尊重擁護義務(99条)にも反し不見識のそしりを免れません。
 そもそも先の大震災で海外の人たちを讃嘆させたのは、大震災時における日本人の冷静さ・我慢強さ・規則正しさであり、何らの混乱もありませんでした。

逆に震災から1週間経っても2週間経っても各所の緊急避難所に食料さえ届かなかったという「政治不在」こそが大問題でした。その間ある政府首脳などは、「原発には詳しい」と自称して、その面でのパフォーマンスにうつつを抜かしていたのではなかったでしょうか。
憲法を「改正」して政府に「非常時大権」を持たせるなどはとんでもない主張です。 

以下にNHKニュースを紹介します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
大災害時権利制限へ憲法改正を
NHK NEWS web 2013310

自民党の石破幹事長は仙台市で講演し、大規模な災害などに適切に対応するためには、政府が国民の権利を一時的に制限する必要があるとして、憲法を改正し根拠となる条文を盛り込むべきだという考えを示しました。 

この中で自民党の石破幹事長は、東日本大震災に関連し、「国民の生命・財産が危機にさらされた時や国家が存亡の危機にさらされたときに、国民の生命・財産を守り、平穏に回復させるため、国民の権利を一時的に制限するのは、どの国でも当たり前のことだ」と述べました。

そのうえで石破氏は、「憲法に必要な条文が盛り込まれていないのは、憲法ができたときに日本が独立国家ではなかったからだ。国家が独立した以上、必要な条文を持つ憲法を作ることが、自民党の第1の目的だ」と述べ、憲法を改正し、政府が大規模な災害などの際に国民の権利を一時的に制限する条文を盛り込むべきだという考えを示しました。