東電は、福島原発事故は事前の備えが十分であれば「防げた事故だった」と総括したうえで、東電の組織問題などの改革プランをまとめ、29日、公表するということです。
事故直後から一貫して「想定外の津波による事故」として、自己の免責を主張して来た姿勢がようやく改められることになりました。
ここまで丁度2年、随分と時間が掛るものです。
また今年は節電を要請しないことも明らかにしました。
これは原発を稼働しなくても火力・水力だけでピーク需要を賄える現実がある一方で、いつまでも節電を訴えていては減収で自分の首を絞めることになるためで、ここでも「原発を稼働しないと電力が賄えない」という当初からの主張を改めざるを得なくなりました。
火力・水力だけでピーク需要を賄えることは、当初から多くの識者から言われていたことでこれもまた遅きに失しました。
以下にNHKの「原発事故 事前の備え十分なら防げた」の記事と、東京新聞の「東電 節電要請 原発なしで回避へ」の記事を紹介します。
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原発事故 事前の備え十分なら防げた
NHK NEWS web 2013年3月29日
おととし3月の原発事故について東京電力は、想定を超える津波が事故の原因ではなく、事前の備えが十分であれば「防げた事故だった」と総括したうえで、事故で明らかになった組織の問題などを具体的に改善する6つの対策を盛り込んだ改革プランをまとめ、29日、公表します。
福島第一原発の事故について東京電力は、去年まとめた社内事故調の最終報告では、事故を防げなかった原因が十分、分析されず、自己弁護に終始していると批判を浴びたことから、社内の特別チームで検証作業を進めていました。
29日に公表される検証結果と改革プランによりますと、まず事故の総括として、地震や津波への配慮が足りず、継続的に安全性を向上する努力が不足したことによって深刻な事故を招いたとして、事前の備えが十分であれば「防げた事故だった」と結論づけました。そのうえで、事故で明らかになった組織の問題などを具体的に改善する6つの対策を盛り込んだ改革プランを示しています。
この中では、まず経営側の問題を挙げて、原発という特別なリスクを扱う会社でありながら、経済性を最優先するあまりリスク管理が甘くなっていたとして、海外の専門家をトップにした内部組織を設置し、経営とは独立した立場で安全の取り組みを継続的に監視するとしています。
また、事故対応が混乱した反省に立ち、1人の責任者が管理する人数を最大7人以下に制限するなど、緊急時の指揮命令系統を明確にするほか、実効性のある訓練を繰り返すとしています。
このほか、事故のあともトラブルの公表などが遅れていることについて、「考え方や判断の尺度が社会とずれていた」と認め、専門の部署を新たに設けて、こうした社内体質の改善を進めるとしています。
この改革プランは、29日に開かれる第三者で作る改革監視委員会に報告され、東京電力は、来月から本格的に実行に移すとしています。
東電 節電要請 原発なしで回避へ
東京新聞 2013年3月29日
東京電力は28日、2013年度の電力需給見通しを発表した。今夏の最大供給力は、新たに石炭火力発電所二基が加わり、最大需要を大きく上回る見通し。昨夏に続いて原発なしでも、数値目標を掲げた節電要請は回避できる見込みだ。
今夏の最大需要は、企業の生産が増えるなどして、昨夏の4911万キロワットをやや上回る4982万キロワットと予想。一方、供給力は、原発の再稼働時期が分からないため、「未定」とした。
ただ、原発が動いていなかった昨夏の供給力は、渇水による水力発電の減少で想定を300万キロワット程度下回ったが、最大で5453万キロワットを確保。数値目標を定めない節電要請にとどめた。
さらに今年は、4月から広野火力6号機(福島県)と常陸那珂火力2号機(茨城県)の試運転が始まり、計160万キロワットが加わる。震災後に一時的に設置した小さな発電機44万キロワット分を廃止するものの、水力発電が平年並みに稼働すれば、単純計算で5800万キロワット以上の電力を確保できる見通しだ。
一方、同社は収支改善のため、停止中の柏崎刈羽原発(新潟県)の早期再稼働を主張。しかし、原子力規制委員会が規制基準を決めるのは7月以降で、新潟県の理解も得られていない。再稼働が遅れると、火力発電の燃料費負担が膨らみ再値上げが必要になるとの見方もあるが、同社は「昨年値上げしたばかりなので現時点で言及できる状況ではない」としている。