マレーシアで15日から開かれているTPP交渉に、日本は23日の午後から参加しました。
この参加により、これまでの交渉経過をまとめた数千ページにおよぶ電子資料の閲覧が可能になりましたが、守秘契約によって交渉内容を公表できない他、協定発効後も4年間は交渉関連文書が秘匿されます。
一体これまでにそんな交渉や協定があったでしょうか。正当なものであるならば何故秘匿する必要があるのでしょうか。しかも4年間も。
それは公表したが最後、相手国の国民の大反対にあって、交渉がまとまらなくなるからに他なりません※。
※ 2013年4月12日「TPPの先行モデルはMAI」
日本政府はコメなど最低限5品目を関税撤廃の除外品目にするとしていますが、実現の見込みはありません。これらのことは交渉参加を表明した時点で分かっていたことでした。政府は国民を欺いてきたことに対してどのようにして責任を取るつもりでしょうか。
政府はまた「TPPに参加することによってアジアの成長力を取り込む」とも言いましたが、一体どんな成長力をどのようにして取り込もうというのでしょうか。空虚きわまる表現というしかありません。その上TPPの事前交渉では、アメリカは日本車に対して現行どおりの関税を今後30年間維持するということも決まりました。
いま日本の取るべき行動は、交渉の席を蹴って脱退することしかありません。
それが国益を守るための唯一の方法であり、「国益を守り抜く」と公言してきた安倍首相のとるべき道です。
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TPP交渉 日本参加 守秘契約署名 交渉内容非公表に
しんぶん赤旗 2013年7月24日
【コタキナバル=面川誠】日本政府は23日午後、マレーシアのコタキナバルで15日から開かれている環太平洋連携協定(TPP)交渉に初めて参加しました。同日は、知的財産権、政府調達、原産地規則、環境、制度的事項の5作業部会の交渉に加わりました。
日本は約100人の交渉団を参加させていますが、今回の第18回会合では関税撤廃や金融サービスなど7分野の交渉はすでに終わっています。24日午後と最終日の25日には、交渉の現状を各国が日本交渉団に説明する「日本セッション」が開かれます。
日本政府はコメなど5品目を関税撤廃の除外品目にするとしていますが、実現は見込み薄です。
安倍晋三首相は2月の日米首脳会談で、すべての関税・非関税障壁の撤廃を原則とする「TPP輪郭」を確認済み。すでに交渉に参加している国の交渉関係者の一人は記者団に、「日本に認める関税例外品目は一つに限る、というのが米国の立場だ」と述べました。
23日午後、日本の参加を承認する米議会の手続きが終わったことを米交渉官が「協定寄託国」のニュージーランドに伝えました。これを受け、日本の鶴岡公二首席交渉官が、交渉の守秘契約に署名し、12番目の交渉国資格が認められました。
これにより、日本政府団は、これまでの交渉経過をまとめた数千ページ分におよぶという電子資料の閲覧が可能になりましたが、守秘契約によって交渉内容を公表できないほか、協定発効後も4年間は交渉関連文書が秘匿されます。
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TPP説明会 業界から不満の声
NHK NEWS WEB 2013年7月24日
マレーシアで開かれているTPP=環太平洋パートナーシップ協定の交渉会合に、日本が23日から合流したことを受け、政府は、現地を訪れている業界団体向けに説明会を開きましたが、出席者からは、十分な情報提供がないことに不満の声が聞かれました。
政府が開いた説明会には、TPPの交渉会合の情報収集のためマレーシアを訪れているJAグループや酪農関係の団体、日本商工会議所などの担当者およそ40人が出席しました。
この中で、政府の担当者は、初めて交渉に参加した23日は5つの部会に出席したことや、テキストと呼ばれるこれまでの交渉内容を記した資料を読み込んでいる最中で、交渉の詳細は把握できていないことなどを説明しました。
また、交渉の具体的な内容については、守秘義務が課されているため、話せないことを説明するにとどまりました。
これに対して出席者からは「いつ、どうやって国民に情報を提供していくのか」とか、「国民的議論を踏まえたうえで交渉を進めてほしい」など、十分な情報提供がないことへの不満の声が聞かれました。
説明会に出席した経団連の国際経済本部の上田正尚副本部長は「過去の通商交渉と違って、相当の守秘義務が課されているので、各国の業界団体と連携して、全体像を把握していきたい」と話していました。