2013年7月11日木曜日

自民改憲草案は安倍首相側近グループが主導

 
 自民党の改憲草案は、安倍首相の側近グループによって主導されたことが明らかになりました。
 安倍氏自身は起草委員会のメンバーではなく出席していなかったのですが彼の意向をうけて「大きな声で主張」するたちにより、2005年の案にはなかった国防軍の登場する9条改定案となり、96条の改憲発議要件も安倍氏のグループが繰り返し「過半数」に改定することを求めたため、委員会では最後までまとまらなかったのものが、最終的に推進本部の総会で決まったということです。
 さらに人権条項に「公益及び公の秩序」の文言を組み入れ国による人権制限を可能にしたのも、改正条文を仕上げた起草委員会事務局長の礒崎陽輔参院議員(安倍首相補佐官)の書き込みによるものでした。
 自民党の改憲草案が発表されて「立憲主義に反する」と批判が起きたときに、礒崎氏は「立憲主義は大学で習わなかった」とツィッターで反論して、その認識がなかったことを暴露しました。

 以下にしんぶん赤旗の記事を紹介します。
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自民改憲案 安倍側近グループが主導 国防軍・96条・人権制限に着手  起草メンバーら証言
しんぶん赤旗 2013年7月10日
 国防軍創設や「公益及び公の秩序」の名による基本的人権の大幅制限、過半数で改憲発議できるようにする96条改定―。こうした内容を盛り込んだ自民党「憲法改正草案」(2012年4月発表)を主導したのは安倍晋三首相側近グループだった、という舞台裏が同党憲法改正推進本部メンバーら関係者の証言からわかりました。

 自民党が昨年4月28日に決定した憲法改正草案をまとめたのは同党憲法改正推進本部(保利耕輔本部長)。原案作成には29人の衆参議員メンバーによる起草委員会(委員長=中谷元・元防衛庁長官)が当たりました。
 起草委員会メンバーだった一人は「安倍さんはメンバーではなく出席していなかったが、安倍さんの意向をうけて発言する人はいた」と振り返ります。

05年にはなかった
 憲法改正推進本部関係者は「05年に発表した自民党新憲法草案には国防軍などはなかった。ところが、安倍さんのグループが起草委員会メンバーに多数入って9条や96条の改正条文について大きな声で主張していた。古屋圭司さん(国家公安委員長)などはその一人だった」と語ります。
 起草委員会は12回開催され、改正条文を文章に仕上げたのは同委員会事務局長の礒崎陽輔参院議員(安倍首相補佐官)でした。
 古屋、礒崎両氏をはじめ起草委員会では安倍中核グループ「創生『日本』」に所属するメンバーが12人も占めていました。

2分の1にと固執
 96条改正が盛り込まれた経過について中谷起草委員長はノンフィクション作家・塩田潮氏のインタビュー(『サンデー毎日』7月7日号)に答えて、「推進本部の原案をつくった保利耕輔さん(本部長。元文相)や私などは慎重派で、いまのままでいいという考えだった。ところが安倍さんに近い人たちが入ってきて毎回、改正条項にこだわり始め、2分の1にと主張した。最後までまとまらず、結局、推進本部の総会で最終決着した」と内情を明かしています。

 人権条項について「公益及び公の秩序」の文言を組み入れ国による人権制限を認めるとした点については憲法改正推進本部幹部が5月の東京都内の講演で「礒崎君が書き込んだ」と語っています。
 
 安倍首相は、自民党の憲法改正草案について問われると、「谷垣禎一総裁時代に党としてまとめたもの」と答えます。自民党憲法改正草案の作成過程にかかわりが薄いといわんばかりです。一連の経過と関係者の証言から、安倍氏グループ主導の改憲草案という性格が濃厚です。