安倍政権は、外国人労働者の受け入れ拡大を目指し、出入国管理及び難民認定法(入管法)の改正を来年4月までに行おうとしています。
政治・経済学者の植草一秀氏は、これは安倍政権が大資本・ハゲタカ資本にカネの力で支配されているからで、彼らの目的は労働コストを圧縮すること(そうなれば労働者の賃金レベルはますます低レベルに固定される)にあり、安倍政権の「働き方改革」の実態も、大資本が労働者を最小の費用で使い捨てにする制度を確立しようとするものであるとし、そもそも「人手不足」と言われるものの実態は「賃金不足」であり、経営側が自分たちは億単位の高額な報酬を得、大幅な内部留保も達成しながら、利益を労働者の賃金に反映しないから人も集まらないのであり、もしも労働者の賃金や身分の安定を拡充すれば人手不足もたちどころに解消すると述べました。
そして、12年12月の第2次安倍内閣発足以降、大企業の企業収益は史上空前の水準になり、企業の内部留保も17年度末には446兆円に達したが、その一方で、労働者の実質賃金は第2次安倍内閣発足後に約5%も減少していることを明らかにしました。
その安倍政権は前述の本筋への回帰を見せないまま今度は消費増税を明言しました。
しかし消費税が導入された1989年度と2016年度の税収構造を比較すると、税収規模は89年度が54・9兆円、16年度が55・5兆円でほぼ同一であるものの、所得税は21・4兆円→17・6兆円、法人税は19・0兆円→10・3兆円と、合わせて12・.5兆円も減じたのに対して、消費税だけは3・3兆円→17・2兆円と13・9兆円も増えました。
要するに消費税で税収が増えた分、所得税と法人税を減らしたというのがこの税制改悪の実態です。これこそは逆進性を持つ大衆課税で大企業と高額所得者の減税分を賄うというもので、到底許されないものです。
ブログ:植草一秀の「知られざる真実」を紹介します。
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深刻なのは「人手不足」でなく「賃金不足」だ
植草一秀の「知られざる真実」 2018年10月18日
安倍内閣が人の輸入を拡大しようとしている。
国内の人の値段が高いから、安い価格の人の輸入を拡大しようとしている。
人の値段を下げること。これが安倍内閣の目標である。
なぜ、人の値段を下げようとしているのか。それは、大資本が要請しているからだ。
大資本の究極の要請は労働コストの圧縮だ。安倍内閣が強行制定した「働かせ方改悪」の目的もこれだ。
「働き方改革」という言葉で偽装しているが、実態は大資本が労働者を最小の費用で使い捨てにする制度確立を目指しているだけなのだ。
安倍内閣が推進している労働規制緩和は、
1.正規から非正規へのシフト推進
2.長時間残業合法化
3.定額残業させ放題雇用の拡大
4.解雇の自由化
5.外国人労働力の導入拡大
の五つを目的とするものである。
電通の長時間残業で過労死された高橋まつりさんは安倍内閣の「働かせ方改悪」法強行制定のために、単に利用されただけだった。
過労死された方の遺族は法律強行制定を阻止するために遺影を掲げて国会本会議を傍聴したが、安倍内閣は遺族の声も無視して法律強行制定に突き進んだ。
安倍内閣は大資本の手先となって、ひたすら労働コスト削減と労働者を消耗品のように使い捨てにできる制度確立に邁進している。
安倍内閣がこの方向にひた走るのは、大資本がカネの力で安倍内閣を支配してしまっているからだ。
安倍内閣が日本の主権者国民の利益ではなく、ハゲタカ資本の利益を優先するのも、ハゲタカ資本がカネの力で安倍内閣を支配してしまっているからなのだ。
目に見える世界だけを見ても、このことは立証できる。
日本では最高裁が企業献金を合法としてしまったために、大資本が献金という「賄賂」で政治を支配してしまっている。
目に見えぬ世界では、国内大資本だけではなく、ハゲタカ資本がカネの力で安倍内閣を支配下に置いてしまっていると考えられる。
「人手不足」と言われるが、真実は違う。真実は「賃金不足」なのだ。
過酷な労働を担う人を安価な賃金で雇おうとするから人が集まらないのだ。
「人手不足」を叫んでいる企業が求人の際に、時給を倍にしてみるがいい。
あっという間に求職者が殺到するはずだ。
「人手不足」ではなく「賃金不足」だから人が集まらないのだ。
働く人への処遇=賃金や身分の安定を拡充すれば、人手不足は解消する。同時に、格差が縮小する。
人手不足を叫ぶ前に、億円単位の経営者の役員報酬を削減して、末端の労働者の時給を上げてみれば良い。労働者の労働条件は改善し、所得格差も縮小する。
2012年12月の第2次安倍内閣発足以降、大企業の企業収益は史上空前の水準に達して、企業の内部留保も2017年度末には446兆円に達した。
その一方で、労働者の実質賃金は第2次安倍内閣発足後に約5%も減少した。
大資本だけが潤い、労働者の処遇は改善しないどころか、転落しているのである。
税制もひどい。消費税が導入された1989年度と2016年度の税収構造を比較してみよう。
税収規模は1989年度が54.9兆円、2016年度が55.5兆円で、ほぼ同一である。
しかし、税収の構成比は激変した。
所得税 21.4兆円 → 17.6兆円
法人税 19.0兆円 → 10.3兆円
消費税 3.3兆円 → 17.2兆円
これが税制改悪の実態だ。
この27年間の変化は法人税が9兆円減り、所得税が4兆円減った一方で、消費税だけが14兆円増えた
というものなのだ。
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