2022年6月30日木曜日

ツイッター社による言論統制 NHK報道の紹介に警告と処罰(世に倦む日々)

 世に倦む日々氏がツイッター社から言論統制を受けたことをブログに発表しました。

 それによると、NHK-BSが6月24日の番組で「仏TV局がリシチャンスクの住民を取材し証言を撮った映像」を紹介し、その証言の一部53秒のカットに編集した動画がツイッターに投稿されて話題になりました。それで世に倦む日々氏もその動画をツイッターで紹介したところ、ツイッター社から「センシティブ(⇒微妙で慎重を要するな内容が含まれている可能性があるため  」との警告文が届き、添付した動画が見られなくされたということです。
 それに対して同氏は2回クレームをつけたのですがツイッター社から回答はなく、動画は不開示のままということです。氏は、不開示にした理由について 「おそらく誰か有力者が手を回し、例えばウクライナ大使館に通報し、そこからツイッター日本法人に要請が出て」この分に至ったのではないかと推測しています。リシチャンスクの住民の多くがロシア支持であることを示すのはウクライナに取って不都合だからというわけです。
 これまではこの種のニュースは悉く「ロシアによるプロパガンダ」として一蹴してきたし実際それで済んでいたのですが、いまやそれでは済まされない状況に立ち至ったのでした。
 それにしても日本の公共放送が行ったものを、「センシティブな内容が含まれている可能性がある」の一言で不開示にするのは不当な言論統制に他なりません。
 世に倦む日々氏は、「なぜ、NHKの報道を紹介しただけのツイートがルール違反となり、警告を受け、制裁まで受けるのか。ロシアTV局発の報道動画のリンクなら、規制対象になることも一定程度分かるが、フランス24NHKは西側の報道機関である。西側を代表するマスコミではないか。どなたか説明をお願いしたい。ツイッター社がやったことは、中国政府がやっていることと同じではないか」と結んでいます。
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ツイッター社による言論統制 - NHKの報道を紹介したら警告と処罰を受けた
                          世に倦む日々 2022-06-29
ツイッター社から言論統制を受けた。初めての経験である。その経過の報告をしたい。6月26日にNHK-BS1のワールドニュースの動画を紹介した投稿を発したところ、翌27日夕刻には 引用ツイート を見られなくされた。その投稿には、ツイッター社から「センシティブな内容が含まれている可能性があるため、このツイートに警告を表示しています」のアラームが付された。アラームの記載は外からは見えないが、外部の視線からは、リンクした動画が隠され、「センシティブな内容が含まれている可能性のあるメディアです」と要注意の勧告が示されている。

アラームの下に「この警告に異議申し立てをする」という表示があり、それをクリックして「異議申し立て」を二度ほど送信したが、ツイッター社から何も応答や連絡はなく、アラームは解除されず、引用ツイートが不表示となる不具合も続いたままだ。ツイッター社から説明がなく、何が起きたのか分からないが、客観的事実としては明らかな言論統制であり、一方的で恣意的な制裁としか言いようがない。発信したツイートは、添付動画含めて、どこから見てもツイッターのルールには違反しておらず、抵触を拡大解釈する余地もない

あからさまな言論の自由の侵害だ。動画はNHK-BSが6月24日の番組内で放送したもので、フランスのTV局がリシチャンスクの住民を取材し証言を撮った映像であるその一部が53秒のカットに編集され、ツイッター上に投稿されていて、先週から注目され話題になっていた。重要な情報だと思われたので、私も動画を共有して周知と回覧に及んだのだが、思いのほか大きな反響を呼び、怒涛の如く多くの引用ツイートが書き込まれる次第となった。RT数は現在2290件で、QTW数は144件である。フォロワー数が28万人しかいない無名アカウントの私のツィートとしては、きわめて例外的な「バズった」発信結果となった。

なぜ、ツイッター社がこの投稿に対して統制と処罰に及んだのか。理由や根拠は不明だが、経緯を思い描けば、おそらく誰か有力者が手を回し、例えばウクライナ大使館に通報し、そこからツイッター日本法人に要請が出て、かかる処罰に至ったという展開が考えられる。全くの想像であるけれど、そうした仮定と推理でも置かないかぎり到底あり得ない不条理な事件である。誰かを誹謗中傷したわけでもない。流言飛語の類でもない。虚偽はない。暴言の要素もない。日本の公共放送が流した国際ニュースを拡散しただけ。どこに非があり、警告を受ける過失や侵害の事実があるのだろう。全く理解できないし納得できない。

このフランスTV局の報道では、大勢のリシチャンスク住民がカメラの前に立ってロシア支持を表明している。ある女性がこう言っている。「私たちを攻撃し子供たちを殺しているのはウクライナ軍です」。もう一人の女性はこう言っている。「ロシア人は私たちの友人です。彼らと一緒になりたいのです。ロシアが勝利してここで権力を掌握するのを望んでいます」。フランスTV局の記者は、リシチャンスクに残っている住民の大半は、ウクライナ軍に敵意を持った親ロシアの立場だとレポートしている。確認しておきたいが、6月24日時点でリシチャンスクはキエフ政権側の支配地域の中にある

すなわち、フランスTV局の記者が入った時点で、そこは未だロシア軍の占領地域ではない。したがって、住民がロシア軍に脅され強制されてかかる証言を発しているとは考えられない。証言は真実であり、偽りのない彼らの認識と意思がストレートに表明されている。元から親ロシア派の住民であり、またあるいは、今回の戦争を通じてロシア寄りの立場になった人々である。ウクライナ軍の攻撃により被害を受けて、キエフ政権への支持から離れた人々だ。同様の動画は、マリウポリの住民証言を始め、3月以降多くSNSに上がっていた。だが、日本のマスコミが取り上げることはなく、それらは「ロシア側のプロパガンダ」として一蹴され無視されていた。

6月に入り、ドンバスの戦況はロシア軍優勢となり、ウクライナ軍の苦戦が西側でも報道されるようになった。前線兵士が次々と脱走し、ゼレンスキーへの不満と批判がSNSに上がり、戦死者が1日100人から200人出ている。その事実が明らかになった。日本のマスコミの「専門家」は、その原因を火力火砲の数量差に求め、装備弾薬で優越するロシア軍が勝っているのだと説明、間もなく西側から大量の最新兵器が到着するから、そうなればウクライナ軍が反撃して押し戻すと口を揃えて言っていた。早く武器を送ってやれと。私には、その解説内容が訝しく思われた。10対1も火力に差があるという話は誇張だろうと。

武器の差を劣勢の理由にするのは、西側大本営のプロパガンダではないかと疑念を感じた。ドンバス地域の戦闘で勝敗を分け、両軍の作戦の成否を分けているのは、実は現地住民の支持の差に拠るのではないか。そう前線の戦況の実態を観測していた。そのことは、単に東部ドンバスだけでなく、マリウポリ攻防戦も同じだったのに違いない。そこにはロシア語を話すロシア系住民が多くいる。彼らは8年前のマイダン革命(ロシア系への迫害と排斥)に反発していて、ロシア軍の侵攻を受け入れる態度になるのだろう。そのことの真否は戦争が終わった後でしか明らかにならないし、事実確定しないだろうが。

ウクライナ兵の士気低下は、単に装備戦力の貧弱が原因なのではなく、前線住民がウクライナ軍に対して親近的でなく、反ロの敵意とナショナリズムを共有する同志ではないことが問題なのではないか。そのように見当をつけて眺めていたのだけれど、フランスTV局の取材とNHKの報道はその仮説を証明する材料となった。ドンバスの現在の住民にとって、ウクライナ軍は正義と解放の軍隊ではなく、逆に、ロシア系住民の住むアパートに砲撃し、銃撃を浴びせて殺傷する恐怖の軍隊なのだ。おそらく、ウクライナ軍の作戦上の認識と判断において、現地のロシア系住民は攻撃対象たる敵勢力の位置づけなのだろう。

リシチャンスクの住民が証言しているように、実際には、多くの住民がウクライナ軍の攻撃によって犠牲になっている。マリウポリの民間人犠牲者は、大雑把にカウントして、半分は、敵性住民扱いされ、アゾフ大隊の砲撃と掃討に巻き込まれた不幸な人々だったのではないか。基本的に、東部南部の戦闘は8年前からの内戦の延長で、親ロシア派軍とアゾフ大隊が殺し合いを演じ、住民が巻き込まれて被害を出していたのである。住民とシンパと民兵。三者の差はアナログ的でグラデーション⇒境界が曖昧的なもので、画然と線が引かれるものではない。純粋なノンポリなどいない。誰だって平和を望みながら、状況と情勢の中で政治的な立場を持つのである

気づく変化として、ツイッターのアカウントにわんさと貼られていたウクライナのシンボルマークが、徐々に視界から減っている。少しずつだが、青と黄色のアイコンの繚乱が目立たなくなってきた。全盛期を100とすると、現在は80ほどの感触だろうか。流行というものは恐ろしい。3月4月は誰もが迷わずウクライナ支持の旗幟を鮮明にし、多数派に与し、西側の正義を咆哮し、マスコミにデビューした防衛研陣笠族にエールを送っていた。悪の帝国たるロシアに憎悪を吐きつけ、ロシア寄りの臭いのする不逞分子をネット上で摘発し、「陰謀論者」と難癖をつけ、ツイッター広場で小突き回す粛清運動に躍起になっていた

ずいぶん情景が変わった。欧米ではウクライナ疲れが言われている。ゼレンスキーがテレビに登場して何か言うのを聞くのが、欧米市民はすでに飽きた気分になっている。ウクライナへの応援運動は、マスコミと政府が上から煽って焚きつけるだけの政治に変わってきた。自由と民主主義のイデオロギーの鼓吹と奉祝と同義になり、庶民がよく自己同一化できないものになった。戦争プロパガンダを拡散しているのはロシアだけでなく、西側・ウクライナも同じだという醒めた見方が広がり、どっちもどっちと相対化する中立的傍観の視角が定着してきた。このトレンドは続き、西側大衆のウクライナへのコミットはさらに電圧と周波数を弱くするだろう。

今後の人々の関心と懸念は、電気代とガソリン料金と食料品価格に向かい、インフレ問題にフォーカスし、さらに、秋以降はスタグフレーションと世界恐慌への不安に支配されるところとなるだろう。とまれ、最初に戻って、今回のツイッター社の対応と処置は不審で、政治的な背景と権力の陰険な思惑を感じさせる。なぜ、NHKの報道を紹介しただけのツイートがルール違反となり、警告を受け、制裁まで受けるのか。ロシアTV局発の報道動画のリンクなら、規制対象になることも一定程度分かるが、フランス24やNHKは西側の報道機関である。西側を代表するマスコミではないか。どなたか説明をお願いしたい。ツイッター社がやったことは、中国政府がやっていることと同じではないか。

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