2022年6月23日木曜日

フランス左派連合が大躍進 仏総選挙 マクロン氏の与党過半数割れ

 19日に行われたフランス国民議会(577議席)総選挙の決選投票で、4月の大統領選で再選されたばかりのマクロン大統領(中道)の与党連合が過半数を大きく割り込み、245議席に留まりました。極左政党の「不屈のフランス」を率いるメランションが左派勢力の選挙協力を実現させ131議席を獲得し野党第1勢力に躍り出て、ルペン党首が率いる極右「国民連合」は過去最多となる89議席を獲得しました。与党連合は他の政党との連携を模索するとみられています
 植草一秀氏が「フランス左派連合が大躍進」とする記事を出しました。

 それとは別に南米コロンビアで19日に行われた大統領選決選投票で、左派のグスタボ・ペトロ 元ボゴタ市長(62)が勝利し、保守的な同国では初の左派政権となります。
 ペトロ氏は貧富の格差の是正に力点をおき、閉鎖的な経済政策を掲げてきた。石油の新たな探査活動中止、歴代政権が重視してきた自由貿易協定(FTA)の見直し、富裕層への課税強化を主張しています
 中南米ではこのところ左派の勢いが増していて、21年7月にはペルーで急進左派のカスティジョ政権、22年3月にはチリで左派のボリッチ政権が発足し今年10月に予定されるブラジルの大統領選では、左派のルラ元大統領が世論調査での支持率で優位にたっているということです。
 日経新聞の記事を併せて紹介します。
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フランス左派連合が大躍進
                植草一秀の「知られざる真実」 2022年6月21日
6月19日に行われたフランス国民議会(下院、577議席)総選挙の決選投票が即日開票された。
国営テレビの予測では、4月の大統領選で再選された中道のマクロン大統領の与党連合が第一党を維持したものの過半数を大きく割り込んだ。
極左政党の「不屈のフランス」を率いる大統領選に出馬したメランションが左派勢力の選挙協力を実現させた左派連合は131議席程度を獲得し、野党第1勢力に躍り出た
「不屈のフランス」は中道左派の社会党や環境政党などと格差是正に力点を置く共通公約を掲げた。
マクロン大統領の与党連合(中道右派)は過半数(289)を大幅に割り込み、245議席にとどまった。前回選挙の350議席を大幅に下回る敗北
下院議長や会派代表、環境相、保健相といった大物候補の落選が相次いで伝えられている。
4月の大統領選で決選投票に進んだルペンが率いる極右政党「国民連合」は前回8議席の10倍以上となる89議席程度を獲得する見通し。

左派連合が最大野党勢力になり、極右政党「国民連合」が第3勢力に躍進する。
マクロンが率いる「共和国前進」などの与党連合は2017年の総選挙では約6割の議席を獲得し、議会主導権を掌握した。
ところが、今回総選挙での獲得議席は過半数を大幅に割り込み、政権運営は極めて厳しい状況下に置かれることになる。
法案可決には野党の支持が不可欠になり、大統領2期目の政権運営は不安定になる。

フランス総選挙には大きな特徴がある。
フランスでは国民議会の議員選挙にも「決選投票」制度が導入されている。
下院議員選挙制度が「小選挙区2回投票制」になっている。
一つの選挙区からただ一人の当選者を選出するのは日本の小選挙区制と同じだが、1回の投票だけで当選者を決定しない。第1回投票で過半数の票を得た候補者がいない場合、1週間後に第2回投票を実施して当選者を決定する
ただし、2回目の投票は1回目の投票で12.5%以上の票を得た候補者による決選投票になり、上位2名による決選投票ではない。
欧州では20世紀初めころまでは2回投票制が主流だったが、現在も2回投票制を維持しているのは先進国ではフランスのみ。
費用と時間、労力がかかるため敬遠されているが、民意を議会議席数に正確に反映させるための方法だ。

日本では米国に隷従する政治体制を維持するために、米国の支配勢力は明確な戦術を採用している。それは、反与党勢力の分断
日本の衆参両院選挙で勝敗のカギを握るのは当選者が一人だけ選出される小選挙区や1人区。
この選挙区で与党が勝利するために最重要の戦術が野党分断だ。
野党を分断し、同一選挙区から複数の野党候補者を擁立させると与党候補が勝利しやすい。

得票率で与党と野党が同水準であるのに、獲得議席数に2対1程度の大差が生じるのは、小選挙区や1人区選挙の特性を与党勢力が活用しているからだ。
国民の政治思潮が均質で政党の主張に大きな差異がない場合は、小選挙区制の制度下で「二大政党体制」が構築される可能性が高まる。
米国では民主、共和の二大政党体制が、英国では保守、労働の二大政党体制が確立された。
しかし、主権者の政治思潮が多様化する場合、多数の政党が存立し得る。
この場合に民意を国会議席配分に正確に反映させるには制度対応を工夫する必要がある。
一つの方策はフランスのような決選投票制度の導入。
もう一つの方策は比例代表制を選挙制度の中核に据えること。
欧州で決選投票制度が廃止された大きな背景は、各国が比例代表選挙制度を導入したからだ。
日本においては、野党が乱立する状況下で小選挙区制度が基軸に置かれている。
この制度に対応して野党が議席拡大を図るには野党の共闘が必要不可欠になる。
逆に与党が優勢を維持するためには野党の分断が最重要になる。
この目的からCIAは戦術の中心に野党分断を置き続けてきたと考えられる。
日本でも「決選投票制度」の導入または比例代表選挙中心制度への移行を検討するべきだ。
しかし、権力を維持したい与党が賛同しないことが予想される。
この現状を踏まえれば、どうしても野党勢力の共闘強化が重要になる。
野党共闘を妨害する勢力を明らかにし、その障害を取り除くことが重要だ

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コロンビア大統領選、左派ペトロ氏が勝利宣言 中南米
                         日経新聞 2022年6月20日
【ボゴタ=宮本英威】南米コロンビアで19日、大統領選の決選投票が行われた。開票状況を受けて、左派のグスタボ・ペトロ元ボゴタ市長(62)が勝利宣言した。保守的な同国ではこれまで右派や中道右派が政権を担っており、初の左派政権となる。貧富の格差是正を期待する貧困層や若年層の支持が広がった。
選挙管理委員会によると、開票率100%で、ペトロ氏の得票率は50.44%、実業家で独立系のロドルフォ・エルナンデス氏(77)は47.31%となった。
ペトロ氏は「今日は人々のお祝いの日だ」とツイッターに投稿して、勝利宣言した。同氏は元左翼ゲリラで、上院議員などを長年務めてきた経験豊富な政治家だ。貧富の格差の是正に力点をおき、閉鎖的な経済政策を掲げてきた。石油の新たな探査活動中止、歴代政権が重視してきた自由貿易協定(FTA)の見直し、富裕層への課税強化を主張している。

18日にツイッターに投稿した動画では「コロンビアの真の変化を実現する」と訴えた。今回が3回目の立候補で、2018年の前回選挙では決選投票で、現職で右派のドゥケ氏に敗れた。
コロンビアではこれまで長く右派が政権を担ってきた。南米では米国の親密国として知られる。歴代政権下で十分に貧富の格差が縮小しなかったことや増税案への反発から、21年4月には抗議活動が大規模化。保守政権への不満は強く、今回の選挙では中道右派の候補が決選投票に残れなかった。伝統的な政治勢力と距離を置く候補者同士による決選投票になった。
エルナンデス氏は「選挙の結果を受け入れる」と述べ、敗北を認めた。同氏は自身が創業した建設会社の経営や北部ブカラマンガ市長を務めた経験がある。選挙戦の当初は泡沫(ほうまつ)候補とみられていたが、巧みなSNS(交流サイト)戦略で支持を広げてきた。汚職撲滅を徹底的に訴えて無党派層への浸透を図ってきたが、及ばなかった
今回の選挙は現職ドゥケ氏の任期満了に伴い実施された。有権者は約3900万人。次期大統領は8月に就任する。
5月29日の1回目投票には6人が立候補していた。過半数の得票を獲得した候補者はなく、得票率40%で首位のペトロ氏、28%で2位のエルナンデス氏が決選投票に進んでいた。

中南米では左派の勢いが増している。21年7月にはペルーで急進左派のカスティジョ政権、22年3月にはチリで左派のボリッチ政権が発足した。今年10月に予定されるブラジルの大統領選では、左派のルラ元大統領が世論調査での支持率で優位にたっている。