「日本は2%台を維持している」というのが岸田首相の言い分ですが大ウソで、食料品・光熱費・家賃・住居費を合成した「生活費」物価指数は4月で前年比4.4%増になっています。原材料の高騰を反映する価格転嫁が進めば、秋以降には消費者物価指数の上昇率が10%台になってもおかしくありません(経済ジャーナリスト・井上学氏)
逆進性のある消費税(海外では付加価値税)は、戦争などの“有事”には引き下げるのが世界の常識で、すでに付加価値税の減税を実施・予定している国は、89カ国に激増している(共産党 大門実紀史議員)にもかかわらず、岸田首相にはその意思がありません。
それは現状の税率を維持すれば、物価上昇率1%につき約2000億円も税収が増える(国民負担が増える)からで、弱者いじめの冷酷な政治の典型です。
日刊ゲンダイが報じました。
そしてこのさなかに年金の引き下げが行われました。来年度も引き下げられるということです。これは安倍政権時代に決められたものですが、これまた理屈に合わない弱者いじめの政治です。岸田首相は15日の記者会見で、バイデンと同様、「ロシアによるウクライナ侵略が世界各国で国民の懐を直撃している」と発言しましたが、それも少しはあるとはいえ、決定的なのはアベノミクスの継続が引き起こしている極端な円安が原因です。
OECD(経済協力開発機構)によるとこの25年間で、諸外国では賃金の上昇が物価上昇率を上回っているのに対して、日本だけが名目賃金が0.96倍に低下する一方で物価は1.04倍となって庶民を苦しめています。
この異常な事態を解決するには、共産党が主張するように大企業の莫大な内部留保を活用するしかありません
日刊ゲンダイのもう一つの記事「これを仕組んだのは安倍自民党 世にもふざけた年金減額 庶民は決起を」を併せて紹介します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「弱者いじめ」の岸田政権! 世界でも稀にみる“スカスカ”物価高対策、消費減税スルー&年金減額の愚
日刊ゲンダイ 2022/06/16
「日本は2%台を維持している」──。物価高騰の抑制をアピールする岸田首相の意に反し、身の回りの品物はもっと上がっているとの実感を抱く人も多いはず。すでに「生活費」物価指数は4%台に上昇。消費税が生活苦に加勢している。
◇ ◇ ◇
4月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)の上昇率は前年比2.1%。しかし、日経新聞が食料品(飲料含み酒類除く)と光熱費・家賃・住居費を合成した「生活費」物価指数を計算すると、4月は前年比4.4%増と15日付1面で報じていた。
4月時点で生活費の上昇率は、岸田首相が強調する「2%台」の2倍に達したわけだが、値上げラッシュはまだ序の口だ。
「4月まではウクライナ戦争前の原油高や資材価格の高騰を受けたもの。戦争の影響が末端価格に波及するのはこれからです。価格転嫁が進めば、秋以降には消費者物価指数の上昇率が10%台になってもおかしくありません」(経済ジャーナリスト・井上学氏)
加えて、厄介なのが消費税だ。岸田首相は消費減税を完全否定。税率を維持すれば、物価上昇率1%につき約2000億円も国民負担が増える計算だ。
89カ国が付加価値税減免
コロナ禍以降、各国は日本の消費税にあたる付加価値税の減税を進めてきた。ドイツは付加価値税の標準税率を19%から16%へ、軽減税率を7%から5%に引き下げ。英国も飲食や宿泊、娯楽産業の付加価値税を20%から5%と4分の1に下げた。中国や韓国も中小企業に対して付加価値税の納税減免を実施した。
13日の参院決算委員会で大門実紀史議員(共産)は、付加価値税の減税を実施・予定している国は、昨年3月の56カ国から89カ国に激増していることを指摘。物価高騰下の消費税率維持は、世界に逆行している。
「低所得者ほど負担が重くなる付加価値税は、コロナや戦争など“有事”には引き下げるのが世界の常識なのに、岸田政権はスルー。15日から年金の支給額が減額されましたが、諸外国は物価上昇に対応して増額しています。これほど弱者をいじめる政権は世界でも岸田政権くらいでしょう」(税理士で立正大法制研究所特別研究員の浦野広明氏=税法)
15日の会見で岸田首相は「有事の価格高騰」と口にしたが、物価対策の中身は空っぽ。大半が既存の仕組みで実現できる「平時」の対策だ。
参院選で自公を勝たせたら、国民生活はボロボロになる。
これを仕組んだのは安倍自民党 世にもふざけた年金減額 庶民は決起を
日刊ゲンダイ 2022/ 6/16
(記事集約サイト「阿修羅」より転載)
急激な物価高騰に苦しむ庶民の暮らしは置き去り。物価対策はロクに打たれないまま、通常国会が15日、閉会した。22日に公示される参院選(7月10日投開票)に向け、与野党ともに事実上の選挙戦に突入したが、下馬評通りに自民党が大勝する事態になれば、庶民を顧みない「地獄の3年間」が待ち受けることになる。
岸田首相は15日の記者会見で円安には触れようとせず、「ロシアによるウクライナ侵略が世界各国で国民の懐を直撃しています。まさにロシアによる価格高騰、有事による価格高騰です」と強弁していたが、バカを言ってもらっちゃ困る。ウクライナ戦争による資源や食糧の需給逼迫が原因のひとつではあるが、決定的なのはアベノミクスの継続が引き起こしている過剰な円安だ。一時、1998年10月以来となる1ドル=135円台半ばまで下落し、140円台が目前に迫っている。異次元緩和で市場をジャブジャブにして投機マネーを大暴れさせ、日米の金利差拡大を傍観しているからだ。この9年余り、待てど暮らせどトリクルダウンは起きず、その一方で非正規雇用は約4割に増大。賃金が目減りする中、より深刻な打撃を食らっているのが約4051万人の年金生活者だ。
公的年金は15日支給分(4月、5月分)から前年度と比べ0.4%減額された。国民年金の満額は月259円減の6万4816円となり、厚生年金のモデル世帯(夫婦2人の標準)は月903円減の21万9593円。年間ではそれぞれ3108円、1万836円のマイナスだ。実際に支払われる金額は保険料の支払期間などで異なるが、減額は2年連続である。これを仕組んだのはほかならぬ安倍自民党。世にもふざけた年金減額に庶民は決起しなきゃウソだ。
25年間で英米の賃金は2倍超
天井知らずの物価高騰で先行きは見通せないのに、なぜこのタイミングで年金支給額が引き下げられるのか。第2次安倍政権下の2016年に年金制度が改悪されたからだ。「年金カット法」との反発を無視し、自公与党などが強行採決した。毎年改定される年金額は、物価と賃金の動向で増減が決まる。総務省がまとめた前年平均の全国消費者物価指数(生鮮食品を含む総合指数)がベースとなる物価変動率は、マイナス0.2%。厚生年金の標準報酬をもとに、2年度前から4年度前までの3年間を平均して物価を考慮した実質賃金変動率は、マイナス0.4%だった。コロナ禍の影響があるとはいえ、2018~2020年度に賃金が下がったため、年金が減額されたのだ。OECD(経済協力開発機構)によると、名目賃金は1995~2020年にかけて米国2.23倍、英国2.08倍、ドイツ1.64倍に上昇。最低賃金を一気に引き上げた韓国は2.92倍にアップした。物価上昇率はそれぞれ1.7倍、1.64倍、1.41倍、1.92倍。物価上昇を賃金上昇が吸収する「良いインフレ」が起きていた。かたや名目賃金0.96倍、物価1.04倍の日本は異常だ。
アベノミクス批判を許さない安倍元首相は「雇用が増えた」「デフレからインフレに変えることができた」と吠えているが、全くのデタラメ。自民党を支える大企業にとって好都合の低賃金労働者を増やし、インフレに耐えられない国民を量産してきたのだ。一体何のために2度も消費税を引き上げたのか。安倍政権下の2014年に5%から8%へ、2019年には10%に増税されたが、社会保障費は際限なく削られようとしている。賃金が上がらないような経済政策をやっておきながら、現役世代の給与にスライドさせ、年金を減らす悪魔のような手法を有権者はまさか黙認するのか。
内部留保に課税しなければ賃上げは実現しない
この国の経済をズタズタにし、国民生活を疲弊させ続けている安倍は相変わらず都合の悪い事実には頬かむり。それでいて、ウクライナ戦争に飛びついて台湾有事をあおり、米国や保守層の歓心を買おうと防衛費倍増の旗を猛烈に振っている。アベ一派のゴリ押しによって、防衛費は「5年以内にGDP比2%以上」が既定路線になりつつある。2022年度当初予算は約5兆4000億円。2027年度までに11兆円規模にするということだ。5兆円あれば、年金生活者全員に毎月1万円を上乗せ払い、あるいは消費税の税率を10%から8%の引き下げてもお釣りが出る。医療費の国民負担額もほぼタダにできる。それなのに、国民から吸い上げた血税が暮らしにしっかりと振り向けられることはない。
立教大大学院特任教授の金子勝氏(財政学)はこう言う。
「現役世代の賃金が上がらなければ年金減額に歯止めがかからず、消費を冷やし、賃金が下落する悪循環に陥ります。岸田政権が掲げる『新しい資本主義』の目玉である賃上げ促進税制は絵に描いた餅。対象と見込まれる黒字企業は大企業の9%、中小企業の3%に過ぎません。諸外国並みのマトモな賃金アップを実現するには、アベノミクスで潤う企業が貯め込んでいる480兆円超の内部留保を吐き出させる以外に手はない。賃上げを実施しない企業の内部留保に課税するのです。このままいけば、少なくとも来年度も年金は減額されるでしょう。参院選で自民党を勝たせれば、この国の経済は立ち直れないほどぶっ壊れてしまいますよ」
医療費窓口負担は倍増
賃金アップなどかけ声だけ。岸田は「物価・賃金・生活総合対策本部」の設置を表明したが、選挙対策のうわべだけ。岸田大ボラ政権は安倍政権のやり口をしっかり踏襲している。10月からは75歳以上の医療費窓口負担も倍増する。盗っ人たけだけしい自民党政権によって、国民全体からの収奪が着々と進められているのだ。政治評論家の本澤二郎氏はこう言った。
「自民党政権は〈年金暮らしの高齢者はさっさと死ね〉と言っているに等しい。性懲りもなくアベノミクスでこの国の景気は上向き、世の中が良くなったと喧伝していますが、それを裏付けるデータはひとつもない。それでもケロリとしているのは、自民党は政治家ではなく、政治屋の集団だから。国民の代表ではなく、利権屋の代表なのです。利権屋から見れば、羊のようにおとなしい有権者なんてちょろいものなのでしょう。三権の長である細田衆院議長に持ち上がったセクハラや選挙買収疑惑は、事実であれば議員辞職に値する不祥事にもかかわらず、本人は説明責任を果たさず、自公与党は野党が提出した不信任決議案を数の力で抑え込んだ。総裁派閥のホープと称された魔の3回生議員にいたっては、買春を疑われるようなハレンチ行為を報じられながら離党してトンズラを決め込み、自民党は見て見ぬふりをしている。野党が政権打倒に向けて本気で戦わず、大手メディアは大本営発表を垂れ流し。こんな状況をいつまでも許せば、この国はゆでガエルから抜け出せません」
参院選は岸田の8カ月間の政権運営に審判が下る選挙だ。思い切り鉄槌を下さなければ、国民の命も、暮らしも、雇用も、経済もメチャクチャになる。