2022年6月29日水曜日

米国を含む西側の情報機関や特殊部隊がウクライナで活動している(櫻井ジャーナル/マスコミに載らない海外記事)

 バイデンは巧みに且つ熱心にプーチンをウクライナ侵攻に誘導しましたが、その一方で米軍は派遣しないと公言していました。米露間の戦争は他の戦争と同様にあってはならないことなのでそれは当然なのですが、実際には米国を含む西側の情報機関や特殊部隊がウクライナで活動していることを西側も報道するようになってきました。公然の秘密ということでしょうか(その一方で停戦への動きは見られないのは残念なことです)。
 櫻井ジャーナル」が取り上げました。 
 「マスコミに載らない海外記事」も「ウクライナにはCIA要員が、うようよいると認めた欧米当局」とする記事を出しましたので併せて紹介します。 
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米国を含む西側の情報機関や特殊部隊がウクライナで活動していると西側も報道 
                         櫻井ジャーナル 2022.06.28
 アメリカの情報機関CIAだけでなく、イギリス、フランス、カナダ、リトアニアの特殊部隊員がウクライナ国内で活動しているとニューヨーク・タイムズ紙が伝えている​。またウクライナ西部で同国の特殊部隊を訓練していたアメリカ陸軍の第10特殊部隊グループはドイツで訓練の準備を秘密裏に進めているともいう。すでに知られていたことだが、アメリカの有力メディアが伝えたところが興味深い。
 ル・フィガロ紙の特派員、ジョージ・マルブルノはウクライナで取材を終えて帰国した後、アメリカ陸軍のデルタ・フォース(第1特殊部隊デルタ作戦分遣隊)やイギリス陸軍のSAS(特殊空挺部隊)が戦闘に参加していると伝えていたが、こうしたことも続いているだろう。

 2013年11月から14年2月にかけてバラク・オバマ政権はネオ・ナチを利用してクーデターを実行、ビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除することに成功した。それ以降、ウクライナはナチズムの影響下に入ったが、ウクライナ南部のクリミアや東部のドンバス(ドネツクとルガンスク)を制圧することに失敗している。このクーデター当時に副大統領だったジョー・バイデンは昨年、大統領に就任した。それ以降、アメリカ政府はドンバスとクリミアを制圧しようと動き始める
 ウクライナの東部や南部はヤヌコビッチの支持基盤であり、住民の多くはクーデターに反発、ドンバスでは戦闘が始まった。そうした住民は「反クーデター」であり、「反ナチ」である。「親ロシア」という表現は適切でない。
 こうした反クーデター派の住民にはネオ・ナチから命を狙われていたベルクト(警官隊)隊員のほか、軍の将兵やSBU(ウクライナ保安庁)の隊員も合流、新兵が多いクーデター軍はドンバスで劣勢になった。
 そこで​オバマ政権はクーデター体制をテコ入れするためにCIAやFBIの専門家数十名を顧問として送り込み​、​傭兵会社「アカデミー(旧社名はブラックウォーター)」の戦闘員約400名をウクライナ東部の制圧作戦に参加させた​という。また​CIAは2015年からウクライナの特殊部隊員をアメリカ南部で訓練している​という。
 アメリカ/NATOはクーデター体制へ兵器を供給してきた。​今年2月24日にロシア軍がウクライナを攻撃し始める前から西側は兵器をウクライナの西端、ポーランドとの国境近くにあるヤボリウ基地で一旦、保管していた​。そこでは携帯式対戦車ミサイル「ジャベリン」などを使った軍事訓練が行われているとロイターは2月4日に伝えている。つまり西側の教官がそこにはいた。​その基地をロシア軍は3月13日に巡航ミサイルで攻撃​している。

 オバマ政権が2013年11月にウクライナでクーデターを始めた背景には1992年2月に「DPG草案」(通称ウォルフォウィッル・ドクトリン)という形で作成された世界制覇プランがある。その背後にはイギリスの支配層が19世紀に始めた長期戦略があることも本ブログでは繰り返し書いてきた。
 ウォフフォウィッツ・ドクトリンは1991年12月にソ連が消滅してアメリカが「唯一の超大国」になったという認識に基づく。旧ソ連圏の復活を阻止するだけでなく、潜在的ライバルである中国やEUを潰し、覇権の基盤になるエネルギー資源を支配しようとしたのだ。自立した日本がアメリカのライバルに成長することも許されない。
 このドクトリンが前提にしていた「ソ連の消滅」は今も変化ないが、米英金融資本の属国になったロシアが21世紀に入って曲がりなりにも自立、筋書きが狂い始めた
 そこでネオコンはロシアを再び属国にしようと必死になる。2008年8月、北京で夏季オリンピックが開催される前日にジョージア軍を利用して行った南オセチアに対する奇襲攻撃の目的もそこにある。2014年のクーデター後にロシアと中国は「戦略的同盟関係」を結び、アメリカは中国も相手にせざるをえなくなった。中国との戦いでは日本が前面に出されるだろう。明治維新の直後と似た状況だ。


ウクライナにはCIA要員が、うようよいると認めた欧米当局
                マスコミに載らない海外記事 2022年6月28日
                 ケイトリン・ジョンストン 2022年6月26日
 アメリカ諜報カルテルが、ウクライナで起きていることに関する機密情報を得るのにてこずっているという以前の報道と矛盾するように思われるが、ウクライナはアメリカと同盟諸国の特殊部隊とスパイでいっぱいだとニューヨーク・タイムズは報じている
 これは明らかに、これはアメリカ代理戦争ではないという主張に対する最後のとどめの一撃でもあるはずだ。
 「特殊部隊ネットワークがウクライナへの武器の流れを調整していると当局者」という題の記事で、匿名の欧米当局者が、ニューヨーク・タイムズ速記者経由で、我々に次のことを伝えてくれる。

 東部ウクライナを掌握するための粉砕作戦で、ロシア軍が前進する中、アメリカとヨーロッパの当局者によれば、猛攻撃に抵抗するウクライナの能力は、兵器、諜報と訓練の提供を急いでいる奇襲隊とスパイの秘密ネットワークを含め、これまで以上にアメリカと同盟諸国の支援に依存している。
 こうした作業の多くが例えば、ドイツ、フランスやイギリスの基地など、ウクライナの外で行われている。バイデン政権は、ウクライナにアメリカ兵を派遣しないと宣言したが、現在と元の当局者によれば、CIAメンバーが、密かに、主として首都キーウで活動し続け、多くを指揮し、アメリカは極めて大量の諜報情報をウクライナ軍と共有している
 同時に、イギリス、フランス、カナダとリトアニアを含め、他のNATO加盟諸国から数ダースの特殊部隊が、ウクライナ内で活動している。

 CIAとアメリカ特殊部隊が、ウクライナで軍事行動を行っている事実の暴露は、ウクライナにアメリカ地上軍は送らないというバイデン政権の戦争開始時の主張はウソになり、NATO力が核保有超大国に対する作戦に、それほど関係しているという自認は、我々誰も気楽でいられない、核攻撃の応酬を見る可能性がより近いことを意味する。

 このニュースはアメリカ諜報カルテルのいつもの行動について何か知っている人々は誰も驚かないが、興味深いことに、それは我々が3週間前に同じ「ニューヨーク・タイムズ」に聞かされた話を否定している。
 「アメリカ諜報機関が、ウクライナの作戦について欲しいものより情報は少なく、ロシア軍や、彼らが計画する作戦やその成功と失敗に関する情報を遙かに多く持っている」とNYTは今月早々我々に言った。「アメリカ当局者は、ウクライナ政府が彼らの作戦計画について、彼らに機密ブリーフィングの詳細をほとんど与えないと言い、ウクライナ当局がアメリカ人に全てを話しているわけではないことを認めた。」
 アメリカ諜報機関が、自身が物理的にいる国で、何が起きているかに関する情報を手に入れるのに苦労することありそうもないように思われる。当時この奇妙な「我々は我々の代理戦争で何が起きているか知らない」説は、戦場でのウクライナの失敗について、アメリカに一見もっともらしい反証を与えるべく推進されていたMoon of Alabamaは論じたが、その時以来、事態は益々悪化するばかりだ
 すると彼らは、なぜ今我々にこの全てを話しているのだろう? ウクライナでのアメリカと同盟諸国の直接的な役割を我々が益々受け入れるようにされている可能性がある。
 
 先日Antiwarのダニエル・ラリソンがTwitterでこう書いた。「4月のタカ派:それを代理戦争と呼ぶな! 5月のタカ派:もちろんそれは代理戦争だ! 6月のタカ派:それは彼らの戦争ではない、それは我々の戦争だ!」
 これこそ、正確に起きたことだ。4月、報道機関に、これがアメリカとロシア間の代理戦争であるという考えは「本当ではない」とバイデン大統領は言い、ロイド・オースティン国防長官は、これが代理戦争かどうか尋ねられると「そうではない、これは明らかにウクライナの戦いだ」と言った。主流メディアは、ウクライナ人から彼らの「行為主体性」を奪うという理由で、依然この主張を、ロシア政府による「非難として描き、帝国の言説歪曲者連中は、その言葉を使う誰でも頻繁に注意している

 それから5月が過ぎ去り、突然「ニューヨーカー」が明確に我々に、アメリカは「ロシアと全面的代理戦争」だと言い、アメリカ下院議員セス・モールトンのようなタカ派は「我々はウクライナ人を支援するため戦争をしているだけではない。我々はロシアと基本的に、いくぶん代理を通してだが戦争をしており、我々が勝つことは重要だ。」などと言っている
 そして6月には、我々がマックス・ブートのような戦争タカ派がしゃしゃり出て、これは実際アメリカの戦争だと言っている今、アメリカがロシアに「衝撃的損失」を与えるために、戦争を劇的に拡大させることが重要だ。
  https://twitter.com/MaxBoot/status/1538849455348359170
 それで、アメリカがロシアに対し戦争をしているという、以前には考えられなかった考えは、カエルがゆでられていることに気付かないほどゆっくりと加熱され、次第に、当たり前化された。もしその考えが十分当たり前にできれば、たとえそれらエスカレーションが極端に精神的に異常であっても、より大きなエスカレーションへの大衆の同意は、おそらく間もなく得られるだろう。
 3月、ウクライナがこの紛争で持っている唯一の「行為主体性」は中央情報局の類だと私は言ったが、帝国政府支持者が私を激しく叱りつけた。彼らは私がそれほど悪い、間違ったことを言うと信じることができなかった。今彼らは、中央情報局が、ウクライナで本当に作戦を行い、現地で諜報活動を指揮していると言われたのだが、これが、何らかの形で彼らの内省を促すだろうことを私は疑っている。
        (中 略)

記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com/2022/06/26/western-officials-admit-ukraine-is-crawling-with-cia-personnel/