2022年6月15日水曜日

15- コケにされた為替当局 世界が食い物 日本市場(日刊ゲンダイ)

 日本がいわゆる「利上げ」が出来ないのは、国債の残高が1000兆円を超えている中で利上げをすればその利子が莫大になって、利払いだけで国家財政が窮地に陥るからです。国債がそんなに積みあがった理由は偏にアベノミクスによるもので、国がどんなに借金してもそれが外国からではなく日銀など国内からの借金であれば、国が破綻することはないとして歯止めをつけなかったためです。

 その結果いまは円安を防ぐ手段がなくなって、結局輸入に依存する諸物資の値上がりを阻止する手段がなくなりました。目下の物価上昇はまだまだ「序の口」に過ぎず、この先どこまで上がるか見当もつかないということです。
 そもそもアベノミクスの「異次元金融緩和」には軟着陸の方法論(手段)がなく、正次元に戻そうとした時点で大波乱が生じるというのが識者の一致した見方でした。それに対して安倍元首相は2年間でデフレ脱却を達成できなかったのを反省するでもなく、延々と8年以上も続けたのですからそれに由来する悲劇の大きさは推して知るべきです。また延々と日銀総裁の座に留まり続けた挙句、今後も現政策を継続し来年春に退職しようとしている黒田氏も無責任というしかありません(本来であれば正次元に着陸して、その火の粉をまともに浴びるべきなのですが、そんなことはもはや小さな事になってしまいました)
 日刊ゲンダイが「コケにされた為替当局 世界が食い物 日本市場」とする記事を出しました。コケにされた・・・というのは、「財務省、金融庁、日銀の三者が臨時会合を開き『急速な円安を憂慮している』『必要な場合には適切な対応を取る』と声明を出したばかりなのに円安が全く止まらなかった」ことを指していますが、それは最早小手先の所作でどうかなるような次元を超えていることの証しでもあります。
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コケにされた為替当局 世界が食い物 日本市場
                          日刊ゲンダイ 2022/6/14
                       (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
 円の急落に歯止めがかからない。13日円相場は、とうとう1ドル=135円まで下落。心理的な節目とされた135円をあっさり突破してしまった。135円台は、日本が金融危機に陥った1998年以来、実に24年ぶりの円安水準である。今年に入って20円以上も下落している。異常なスピードだ。
 先週金曜日、急ピッチで進む「円安」を食い止めようと、財務省、金融庁、日銀の3者が臨時会合を開き「急速な円安を憂慮している」「必要な場合には適切な対応を取る」と声明を発表したばかりなのに、完全にコケにされた形である。
 円が急落した直接の原因は、ただでさえ広がっている日米の金利差が、さらに拡大する可能性が高まったことだ。
 アメリカが10日に発表した5月の「米消費者物価指数」は、前年同月比8.6%上昇と、40年5カ月ぶりの高い伸び率だった。インフレを抑えるために米連邦準備制度理事会が積極的な利上げに動くのは間違いない。
 円安はイコール、日本円が叩き売られているということだ。この円安はどこまで進むのか。
「節目だった135円を突破し、次の節目が見えない状況です。あっという間に136円、137円と進む可能性があります。最悪なのは、日本には円安を止める手だてがないことです。日本も利上げに動けば円安にブレーキがかかるでしょうが、きのうも日銀の黒田総裁は『粘り強く金融緩和を続ける』と国会で答弁している。利上げに動く気がない。これでは、高金利に向かうドルが買われ、低金利を維持する円が売られる動きは止まらないでしょう」(経済評論家・斎藤満氏)
 市場では1ドル=140円、150円の声も上がっている。実際、6カ月で20円の下落ペースでは、年末に150円近くになっていてもおかしくない。「伝説のディーラー」と呼ばれた経済評論家の藤巻健史氏は、「いずれ1ドル=400~500円」「この円安は序章に過ぎません」と警告を発している。

日本の「バーゲンセール」が始まる
 この円安が、日本経済に打撃を与えるのは間違いない。このままでは、日本は世界中から食い物にされる恐れがある。
 円の価値が下がるということは、外国から見れば、日本のモノはなんでも安く買えるということだ。1ドル=100円だった為替水準が1ドル=200円になれば、ドル換算なら半値で買えることになる。
 いまでも日本を訪れた外国人は「日本はホテル代も食事代も異常に安い」と驚いている。恐らく、日本円が強かった時代、海外旅行した日本人がモノの安さに驚いたのと同じ感覚なのだろう。
 ヤバイのは、通貨の相対的な実力を測る「実質実効為替レート」が、50年前の水準まで下がっていることだ。国際決済銀行の試算によると、今年1月時点の日本円の「実質実効為替レート」は「67.55」と、1972年6月の「67.49」以来の低水準だった。95年4月につけた「150.85」の半分以下まで日本円の価値は落ちているということだ。
「海外から見たら、日本は『大バーゲンセール』をしているようなものです。一流企業も一等地も格安で手に入れられる。トヨタやホンダといった企業でさえ買収のターゲットになりかねない。もし、日本の優良企業が次々に買収されることになったら、高い技術力や優秀な人材まで流出することになります。アベノミクス以降、日本は“円安政策”を進めてきましたが、通貨の下落というのは、本当は恐ろしいことなのです」(斎藤満氏=前出)
 どこかで「円安」をストップしなければ、日本はなにもかも外国に奪われてしまうのではないか。

輸入物価高騰が庶民を直撃
 円安の悪影響は当然ながら庶民生活にも及ぶ。輸入物価が上がるからだ。
 すでに電気代やガス代に加え、食料品や日用品とあらゆるモノの値段が高騰している。これ以上、円安が進み、インフレが進んだら、もう庶民生活は持たないのではないか。
 帝国データバンクが上場する食品企業105社を調べたところ、年内の値上げ品目は1万を超えるという。これまでは食用油や小麦粉の価格上昇の影響が大きかったが、夏以降は原油高の影響がより鮮明に出てくるそうだ。コストを吸収しきれなかった企業による再値上げ、再々値上げも予想されている。
 実際、コスト増加分を企業が本格的に価格転嫁するのはこれからだ。5月の「企業物価指数」は、前年同月比9.1%増だった。これで15カ月連続の上昇である。帝国データバンクが今月3~6日に実施したアンケートによれば、仕入れコスト上昇分を価格転嫁できた企業は全体の44.3%止まりだ。この先、企業物価上昇の影響が、消費者物価に波及してくるに違いない。
 みずほリサーチ&テクノロジーズの試算だと、4月以降、平均で1ドル=130円程度で推移した場合、今年の家計の出費は2人以上の世帯で、前年比6万円も増えるという。経済ジャーナリストの荻原博子氏はこう言う。
「円安の最大の要因は、欧米各国が利上げに踏み切る中、日銀だけが低金利を堅持していることです。欧米と違って日本は景気が回復していないから、景気に冷や水を浴びせかねない利上げに、日銀はとても踏み切れない。もはや手の打ちようがないということでしょう。黒田総裁は来春の任期まで緩和策を堅持し続けるつもりでしょう。となると、物価高はまだまだ続く恐れがあります。岸田首相は海外に比べて、日本の物価高はまだ低水準だと釈明していますが、各国は賃金も上昇している。物価だけ上がり、賃金が上がらない日本とは事情が違います」

まだアベノミクスを続ける狂気
 この地獄のような円安、狂乱物価を止めるには、失敗だらけのアベノミクスを続けようとしている岸田首相と黒田総裁を降ろすしかない。でなければ、土地も企業も海外に買収され、庶民生活もニッチもサッチもいかなくなってしまうだろう。
 アベノミクスの失敗はハッキリしている。安倍政権の8年間で賃金は全く上がらなかった。異次元緩和を続け円安誘導したものの、潤ったのは輸出大企業だけだった。内部留保ばかりが積み上がり、労働者の賃金は低迷し続けた。この4月の実質賃金も前年同月比1.2%のマイナスだった。
 なのに、岸田は、円安を招いているアベノミクスを続けようとしているのだから話にならない。
「この期に及んで岸田首相は、国民に投資を促し、『資産倍増計画』を唱えているのだから、どうかしています。いったい、国民の何割が投資にお金を回す余裕があると思っているのでしょうか。物価高に苦しむ弱者に寄り添う発想がない。このまま岸田政権に任せていたら、庶民生活は苦しくなるばかりです」(荻原博子氏=前出)

 共同通信が11~13日に実施した世論調査では、岸田の物価対策について「評価しない」が64.1%、参院選の投票の際に物価高を考慮するかについては「考慮する」が計71.1%だった。今度こそ国民は意思表示するべきだ。